伊豆沼・内沼いきもの図鑑

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サカマキガイ

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生物名 サカマキガイ
分類 貝類
サカマキガイ科
学名 Physa acuta
生息地 川・湖・沼・湿地
見られる季節
全長 殻高10mm前後
えさ 主に付着藻類などを歯舌で擦り取って食べる。
説明 殻は殻高10mm前後、殻径5mm前後の紡錘形で、左巻き。体層は殻高の2/3~4/5を占め、殻は薄いが表面は滑らかで光沢がある。また殻頂付近が浸食され欠けていることもある。殻そのものは薄茶色、黄褐色などであるが、生時は泥などの付着や軟体部が透けて見える事により黒っぽい。殻の形態は環境によっても変化する。

軟体は墨色に近い暗色であるが、時に淡色の個体が現れることもある。頭部にある1対の触角は細長い鞭状で、平たい三角形をしたモノアラガイ科の触角とは似ておらず、ヒラマキガイなどのそれに近い形である。他の基眼亜目の貝類と同様に、触角の基部内側に目がある。足の後端は尖る。外套膜の左右の縁部には指状の突起が何本かあり、生きている時には殻口の内縁と外縁から多少殻を覆うように伸びているのが観察される。これは偽鰓(ぎさい)とも呼ばれ、有肺類であるサカマキガイが二次的に発達させた鰓器官であると考えられている。偽鰓はヒラマキガイ科の一部など、他の淡水有肺類にもさまざまな形のものが見られ、水中での呼吸に役立っている。しかしよく発達した肺ももっており、背中付近の外套腔の入り口付近に弁で開閉する呼吸口があり、空気呼吸もする。このため溶存酸素の少ない水域でも水面に呼吸口を開いて呼吸することで生活ができる。
分類に重要な生殖器では、陰茎鞘は筋肉質で一連の部分からなっており特に分化は見られない。陰茎鞘よりずっと太い包皮には、その外側にやや歪んだドーム状の包皮腺が付属している。
雌雄同体で他個体との交尾もするが、しばしば自家受精もする。卵生で、透明なゼラチン質の卵嚢(あるいは卵嚢塊)を水中の物体に付着させる。水温が一定以上であればほぼ1年を通して繁殖し、水槽内などでは瞬く間に増えることもある。水面に逆さにぶら下がって移動する生態も有名であるが、サカマキガイも含め、淡水生の有肺類は蹠面(せきめん:足の裏面)の繊毛運動で移動するため、足の裏を観察してもカタツムリなどのように筋肉運動が帯状に見えることはない。
有肺類でありながら、水を満たして密封した容器内で何日も平気で活動できることも知られている。これは先述の偽鰓や皮膚呼吸などで酸素を取り入れているからだと考えられる。主に付着藻類などを歯舌で擦り取って食べるが、食性は幅広く、植物遺骸や動物の死体、デトリタス、浄化槽内の微生物層などもよく食べるため、一見餌が無さそうな所でも生息していることがある。他の個体が死ぬとすぐにその肉を他の個体が食べることもよくあるが、これは同じような環境で見られるヒメモノアラガイでも観察される。このような呼吸法や食性の幅の広さ、自家受精による産卵などによって、劣悪な環境や不安定な水域での繁殖も可能となり、世界各地に分布を拡大した。日本のものも1935年~1940年ごろ、水草などと共に持ち込まれたとされる外来個体群である。動物の死体の他、その個体が弱っている場合においても、これを食べることが観察される。
お役立ちメモ 和名は、殻が多くの巻貝類とは逆の左巻きであることに由来する。

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