宝台院御筆扇子
この扇子の作者は、涌谷城主・伊達安芸宗重(あきむねしげ)の次男である宗元(むねもと)の妻・宝台院(ほうだいいん)によるものです。
宝台院の父は岩出山城主・伊達弾正宗敏(だんじょうむねとし)。
いずれも伊達家一門の家柄です。
扇面には新古今和歌集の中の「大江山(おおえやま)かたぶく月は影さえて鳥羽田(とはた)の面(おも)に落(おち)つる雁(かり)がね」の和歌と、大江山へと傾いてゆく月の光が、鳥羽の田に鳴きながら飛ぶガンの姿を映し出している情景が描かれています。
酒呑童子(しゅてんどうじ)の伝説でも有名な大江山ですが、和歌の世界を表現したこの扇面からは晩秋の静かな風情が感じられます。