秋草蒔絵唐櫃(からびつ)~桃山の美~
豊臣秀吉の十六寵姫(じゅうろくちょうき)の一人で佐沼亘理家初代宗根の生母であった香の前の所有品として伝えられてきました。
唐櫃(からびつ)とは脚がついた櫃(ひつぎ)で衣装や文書を入れるのに用い、旅の際に持ち運ばれた道具です。
この唐櫃は菊(きく)・楓(かえで)・萩(はぎ)などの秋草が描かれており、秀吉の正室・北政所(きたのまんどころ)が建てた高台寺(こうだいじ)(京都)の霊廟(れいびょう)にみられる「高台寺蒔絵(まきえ)」と同様の絵柄などであることなどから、安土桃山時代の漆(うるし)工芸品と推察されます。
漆工芸品は湿度に敏感な資料の一つで、温度約20℃、湿度60%前後で保存管理されています。