第7章 武力攻撃災害への対処

更新日:2022年4月8日

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第7章 武力攻撃災害への対処

 第1 武力攻撃災害への対処

市は、武力攻撃災害への対処においては、災害現場における通常の対応とともに、特殊な武力攻撃災害への対応、活動時の安全の確保に留意しながら他の機関との連携のもとで活動を行う必要があり、武力攻撃災害への対処に関して基本的な事項を、以下のとおり定める。

 1 武力攻撃災害への対処の基本的考え方

  • (1)武力攻撃災害への対処
    市長は、国や県等の関係機関と協力して、本市の区域に係る武力攻撃災害への対処のために必要な措置を講ずる。
  • (2)知事への措置要請
    市長は、武力攻撃災害への対処に関する措置を講ずる場合において、武力攻撃により多数の死者が発生した場合や、NBC攻撃による災害が発生し、国民保護措置を講ずるため高度な専門知識、訓練を受けた人員、特殊な装備等が必要となる場合など、市長が武力攻撃災害を防除し、及び軽減することが困難であると認めるときは、知事に対し、必要な措置の実施を要請する。
  • (3)対処に当たる職員の安全の確保
    市は、武力攻撃災害への対処措置に従事する職員について、必要な情報の提供や防護服の着用等の安全の確保のための措置を講ずる。

 2 武力攻撃災害の兆候の通報

  • (1)市長への通報
    消防吏員は、武力攻撃に伴って発生する火災や堤防の決壊、毒素等による動物の大量死、不発弾の発見などの武力攻撃災害の兆候を発見した者から通報を受けたときは、速やかに、その旨を市長に通報する。
  • (2)知事への通知
    市長は、武力攻撃災害の兆候を発見した者、消防吏員、警察官から通報を受けた場合において、武力攻撃災害が発生するおそれがあり、これに対処する必要があると認めるときは、速やかにその旨を知事に通知する。

 第2 応急措置等

市は、武力攻撃災害が発生した場合において、特に必要があると認めるときは、自らの判断に基づき、退避の指示や警戒区域の設定を行うことが必要であり、それぞれの措置の実施に必要な事項について、以下のとおり定める。

 1 退避の指示

  • (1)退避の指示
    市長は、武力攻撃災害が発生し、または発生するおそれがある場合において、特に必要があると認めるときは、住民に対し退避の指示を行う。
    この場合において、退避の指示に際し、必要により現地調整所を設けて(または、関係機関により設置されている場合には、職員を早急に派遣し)、関係機関との情報の共有や活動内容の調整を行う。
  • (2)退避の指示に伴う措置等
    • 1)市は、退避の指示を行ったときは、市防災行政無線、広報車等により速やかに住民に伝達するとともに、放送事業者に対してその内容を連絡する。また、退避の指示の内容等について、知事に通知を行う。
      退避の必要がなくなったとして、指示を解除した場合も同様に伝達等を行う。
    • 2)市長は、知事、警察官、自衛官から退避の指示をした旨の通知を受けた場合は、退避の指示を行った理由、指示の内容等について情報の共有を図り、退避の実施に伴い必要な活動について調整を行う。
  • (3)安全の確保等
    • 1)市長は、退避の指示を住民に伝達する市の職員に対して、二次被害が生じないよう国及び県からの情報や市で把握した武力攻撃災害の状況、関係機関の活動状況等についての最新情報を共有するほか、消防機関、県警察と現地調整所等において連携を密にし、活動時の安全の確保に配慮する。
    • 2)市の職員及び消防職団員が退避の指示に係る地域において活動する際には、市長は、必要に応じて県警察、自衛隊の意見を聞くなど安全確認を行った上で活動させるとともに、各職員が最新の情報を入手できるよう緊急の連絡手段を確保し、また、地域からの退避方法等の確認を行う。
    • 3)市長は、退避の指示を行う市の職員に対して、武力攻撃事態等においては、必ず特殊標章等を交付し、着用させる。

 2 警戒区域の設定

  • (1)警戒区域の設定
    市長は、武力攻撃災害が発生し、またはまさに発生しようとしている場合において、住民からの通報内容、関係機関からの情報提供、現地調整所等における関係機関の助言等から判断し、住民の生命または身体に対する危険を防止するため特に必要があると認めるときは、警戒区域の設定を行う。
  • (2)警戒区域の設定に伴う措置等
    • 1)市長は、警戒区域の設定に際しては、市対策本部に集約された情報のほか、現地調整所における県警察、自衛隊からの助言を踏まえて、その範囲等を決定する。また、事態の状況の変化等を踏まえて、警戒区域の範囲の変更等を行う。
      NBC攻撃等により汚染された可能性のある地域については、専門的な知見や装備等を有する機関に対して、必要な情報の提供を求め、その助言を踏まえて区域を設定する。
    • 2)市長は、警戒区域の設定に当たっては、ロープ、標示板等で区域を明示し、広報車等を活用し、住民に広報・周知する。また、放送事業者に対してその内容を連絡する。
      武力攻撃災害への対処に関する措置を講ずる者以外の者に対し、当該区域への立入りを制限し、もしくは禁止し、または当該区域からの退去を命ずる。
    • 3)警戒区域内では、交通の要所に職員を配置し、県警察、消防機関等と連携して、車両及び住民が立ち入らないよう必要な措置を講ずるとともに、不測の事態に迅速に対応できるよう現地調整所等における関係機関との情報共有にもとづき、緊急時の連絡体制を確保する。
    • 4)市長は、知事、警察官、自衛官から警戒区域の設定を行った旨の通知を受けた場合は、警戒区域を設定する理由、設定範囲等について情報の共有を図り、警戒区域設定に伴い必要な活動について調整を行う。
  • (3)安全の確保
    市長は、警戒区域の設定を行った場合についても、退避の指示の場合と同様、区域内で活動する職員の安全の確保を図る。

 3 応急公用負担等

  • (1)市長の事前措置
    市長は、武力攻撃災害が発生するおそれがあるときは、武力攻撃災害を拡大させるおそれがあると認められる設備または物件の占有者、所有者または管理者に対し、災害拡大防止のために必要な限度において、当該設備または物件の除去、保安その他必要な措置を講ずべきことを指示する。
  • (2)応急公用負担
    市長は、武力攻撃災害への対処に関する措置を講ずるため緊急の必要があると認めるときは、次に掲げる措置を講ずる
    • 1)他人の土地、建物その他の工作物の一時使用または土石、竹木その他の物件の使用もしくは収用
    • 2)武力攻撃災害を受けた現場の工作物または物件で当該武力攻撃災害への対処に関する措置の実施の支障となるものの除去その他必要な措置(工作物等を除去したときは、保管)

 4 消防に関する措置等

  • (1)市が行う措置
    市長は、消防機関による武力攻撃災害への対処措置が適切に行われるよう、武力攻撃等や被害情報の早急な把握に努めるとともに、県警察等と連携し、効率的かつ安全な活動が行われるよう必要な措置を講じる。
  • (2)消防機関の活動
    消防機関は、その施設及び人員を活用して、国民保護法のほか、消防組織法、消防法その他の法令に基づき、武力攻撃災害から住民を保護するため、消防職団員の活動上の安全確保に配意しつつ、消火活動及び救助・救急活動等を行い、武力攻撃災害を防除し、及び軽減する。
    この場合において、消防本部及び消防署は、その装備・資機材・人員・技能等を活用し武力攻撃災害への対処を行うとともに、消防団は、消防長または消防署長の所轄の下で、消防団が保有する装備・資機材等の活動能力に応じ地域の実状に即した活動を行う。
  • (3)消防相互応援協定等に基づく応援要請
    市長は、当該市の区域内の消防力のみをもってしては対処できないと判断した場合は、知事または他の市町村長に対し、相互応援協定等に基づく消防の応援要請を行う。
  • (4)緊急消防援助隊等の応援要請
    市長は、(3)による消防の応援のみでは十分な対応が取れないと判断した場合または武力攻撃災害の規模等に照らし緊急を要するなど必要と判断した場合は、緊急消防援助隊の編成及び施設の整備等に係る基本的な事項に関する計画及び緊急消防援助隊運用要綱に基づき、知事を通じまたは、必要に応じ、直接に消防庁長官に対し、緊急消防援助隊等による消火活動及び救助・救急活動の応援等を要請する。
  • (5)消防の応援の受入れ体制の確立
    市長は、消防に関する応援要請を行ったとき及び消防庁長官の指示により緊急消防援助隊の出動に関する指示が行われた場合、これらの消防部隊の応援が円滑かつ適切に行なわれるよう、都道府県知事と連携し、出動部隊に関する情報を収集するとともに、進出拠点等に関する調整や指揮体制の確立を図るなど消防の応援の受入れに関して必要な事項の調整を行う。
  • (6)消防の相互応援に関する出動
    市長は、他の被災市町村の長から相互応援協定等に基づく応援要請があった場合及び消防庁長官による緊急消防援助隊等の出動指示があった場合に伴う消防の応援を迅速かつ円滑に実施するために、武力攻撃災害の発生状況を考慮し、都道府県知事との連絡体制を確保するとともに、消防長と連携し、出動可能な消防部隊の把握を行うなど、消防の応援出動等のための必要な措置を行う。
  • (7)医療機関との連携
    市長は、消防機関とともに、搬送先の選定、搬送先への被害情報の提供、トリアージの実施等について医療機関と緊密な連携のとれた活動を行う。
  • (8)安全の確保
    • 1)市長は、消火活動及び救助・救急活動等を行う要員に対し、二次被害を生じることがないよう、国対策本部及び県対策本部からの情報を市対策本部に集約し、すべての最新情報を提供するとともに、県警察等との連携した活動体制を確立するなど、安全の確保のための必要な措置を行う。
    • 2)その際、市長は、必要により現地に職員を派遣し、消防機関、県警察、自衛隊等と共に現地調整所を設けて、各機関の情報の共有、連絡調整にあたらせるとともに、市対策本部との連絡を確保させるなど安全の確保のための必要な措置を行う。
    • 3)被災地以外の市長は、知事または消防庁長官から消防の応援等の指示を受けたときは、武力攻撃の状況及び予測、武力攻撃災害の状況、災害の種別、防護可能な資機材、設備、薬剤等に関する情報を収集するとともに、出動する要員に対し情報の提供及び支援を行う。
    • 4)消防団は、施設・装備・資機材及び通常の活動体制を考慮し、災害現場においては、消防本部と連携し、その活動支援を行うなど団員に危険が及ばない範囲に限定して活動する。
    • 5)市長、消防長または水防管理者は、特に現場で活動する消防職団員、水防団員等に対し、必ず特殊標章等を交付し着用させるものとする。

 第3 生活関連等施設における災害への対処等

市は、生活関連等施設などの特殊な対応が必要となる施設について、国の方針に基づき必要な対処が行えるよう、国、県、その他の関係機関と連携した市の対処に関して、以下のとおり定める。

 1 生活関連等施設の安全確保

  • (1)生活関連等施設の状況の把握
    市は、市対策本部を設置した場合においては、当該生活関連等施設の安全に関する情報、各施設における対応状況等の必要な情報を収集する。
  • (2)消防機関による支援
    消防機関は、生活関連等施設の管理者から支援の求めがあったときは、指導、助言、連絡体制の強化、資機材の提供、職員の派遣など、可能な限り必要な支援を行う。また、自ら必要があると認めるときも、同様とする。
  • (3)市が管理する施設の安全の確保
    市長は、市が管理する生活関連等施設について、当該施設の管理者としての立場から、安全確保のために必要な措置を行う。
    この場合において、市長は、必要に応じ、県警察、消防機関その他の行政機関に対し、支援を求める。
    また、このほか、生活関連等施設以外の市が管理する施設についても、生活関連等施設における対応を参考にして、可能な範囲で警備の強化等の措置を講ずる。

 2 危険物質等に係る武力攻撃災害の防止及び防除

  • (1)危険物質等に関する措置命令
    市長は、危険物質等に係る武力攻撃災害の発生を防止するため緊急の必要があると認めるときは、危険物質等の取扱者に対し、武力攻撃災害発生防止のための必要な措置を講ずべきことを命ずる。
    なお、避難住民の運送などの措置において当該物質等が必要となる場合は、関係機関と市町村対策本部で所要の調整を行う。

<危険物質等の種類及び市長が命ずることのできる措置一覧>
※下欄の1号、2号、3号は、それぞれ下記に掲げる措置を意味する。

1号:取扱所の全部または一部の使用の一時停止または制限
2号:製造、引渡し、貯蔵、移動、運搬または消費の一時禁止または制限
3号:所在場所の変更またはその破棄

※下欄の○は、国民保護法第103条第3項により当該措置の権限が与えられていることを意味し、それ以外の記述は、当該措置の権限を与えられている既存の個別法を意味する。

物質の種類

対象

措置

1号

2号

3号

消防法(昭和23年法律第186号)第2条第7項の危険物(同法第9条の4の指定数量以上のものに限る。)

消防本部等所在市の区域に設置される消防法第2条第7項の危険物の製造所、貯蔵所もしくは取扱所(移送取扱所を除く。)または一の消防本部等所在市の区域のみに設置される移送取扱所において貯蔵し、または取り扱うもの。

消防法第12条の3

火薬類取締法(昭和25年法律第149号)第2条第1項の火薬類

製造業者、販売業者または消費者に対して、製造施設または火薬庫の全部もしくは一部の使用を一時停止すべきことを命ずること。

火薬類取締法第45条

製造業者、販売業者または消費者その他火薬類を取り扱う者に対して、製造、販売、貯蔵、運搬、消費または廃棄を一時禁止し、または制限すること。

火薬類の所有者または占有者に対して、火薬類の所在場所の変更またはその破棄を命ずること。

火薬類を破棄した者に対して、その破棄した火薬類の収去を命ずること。

  • (2)警備の強化及び危険物質等の管理状況報告
    市長は、危険物質等の取扱者に対し、必要があると認めるときは、警備の強化を求める。また、市長は、(1)の措置を講ずるために必要があると認める場合は、危険物質等の取扱者から危険物質等の管理の状況について報告を求める。

 第4 NBC攻撃による災害への対処等

市は、NBC攻撃による災害への対処については、国の方針に基づき必要な措置を講ずる。このため、NBC攻撃による災害への対処に当たり必要な事項について、以下のとおり定める。

 1 NBC攻撃による災害への対処

市は、NBC攻撃による汚染が生じた場合の対処について、国による基本的な方針を踏まえた対応を行うことを基本としつつ、特に、対処の現場における初動的な応急措置を講ずる。

  • (1)応急措置の実施
    市長は、NBC攻撃が行われた場合においては、その被害の現場における状況に照らして、現場及びその影響を受けることが予想される地域の住民に対して、退避を指示し、または警戒区域を設定する。
    市は、保有する装備・資機材等により対応可能な範囲内で関係機関とともに、原因物質の特定、被災者の救助等の活動を行う。
  • (2)国の方針に基づく措置の実施
    市は、内閣総理大臣が、関係大臣を指揮して、汚染拡大防止のための措置を講ずる場合においては、内閣総理大臣の基本的な方針及びそれに基づく各省庁における活動内容について、県を通じて国から必要な情報を入手するとともに、当該方針に基づいて、所要の措置を講ずる。
  • (3)関係機関との連携
    市長は、NBC攻撃が行われた場合は、市対策本部において、消防機関、県警察、自衛隊、医療関係機関等から被害に関する情報や関係機関の有する専門的知見、対処能力等に関する情報を共有し、必要な対処を行う。
    その際、必要により現地調整所を設置し(または職員を参画させ)、現場における関係機関の活動調整の円滑化を図るとともに、市長は、現地調整所の職員から最新の情報についての報告を受けて、当該情報をもとに、県に対して必要な資機材や応援等の要請を行う。
  • (4)汚染原因に応じた対応
    市は、NBC攻撃のそれぞれの汚染原因に応じて、国及び県との連携の下、それぞれ次の点に留意して措置を講ずる。
    • 1)核攻撃等の場合
      市は、核攻撃等による災害が発生した場合、国の対策本部による汚染範囲の特定を補助するため、汚染の範囲特定に資する被災情報を県に直ちに報告する。
      また、措置に当たる要員に防護服を着用させるとともに、被ばく線量の管理を行いつつ、活動を実施させる。
    • 2)生物剤による攻撃の場合
      市は、措置に当たる要員に防護服を着用させるとともに、関係機関が行う汚染の原因物質の特定等に資する情報収集などの活動を行う。
    • 3)化学剤による攻撃の場合
      市は、措置に当たる要員に防護服を着用させるとともに、関係機関が行う原因物質の特定、汚染地域の範囲の特定、被災者の救助及び除染等に資する情報収集などの活動を行う。
  • (5)市長の権限
    市長は、知事より汚染の拡大を防止するため協力の要請があったときは、措置の実施に当たり、県警察等関係機関と調整しつつ、次の表に掲げる権限を行使する。
 

対象物件等

措置

1号

飲食物、衣類、寝具その他の物件

占有者に対し、以下を命ずる。

  • 移動の制限
  • 移動の禁止
  • 廃棄

2号

生活の用に供する水

管理者に対し、以下を命ずる。

  • 使用の制限または禁止
  • 給水の制限または禁止

3号

死体

  • 移動の制限
  • 移動の禁止

4号

飲食物、衣類、寝具その他の物件

  • 廃棄

5号

建物

  • 立入りの制限
  • 立入りの禁止
  • 封鎖

6号

場所

  • 交通の制限
  • 交通の遮断

市長は、上記表中の第1号から第4号までに掲げる権限を行使するときは、当該措置の名あて人に対し、次の表に掲げる事項を通知する。ただし、差し迫った必要があるときは、当該措置を講じた後、相当の期間内に、同事項を当該措置の名あて人(上記表中の占有者、管理者等)に通知する。

上記表中第5号及び第6号に掲げる権限を行使するときは、適当な場所に次の表に掲げる事項を掲示する。ただし、差し迫った必要があるときは、その職員が現場で指示を行う。

1.

当該措置を講ずる旨

2.

当該措置を講ずる理由

3.

当該措置の対象となる物件、生活の用に供する水または死体(上記表中第5号及び第6号に掲げる権限を行使する場合にあっては、当該措置の対象となる建物または場所)

4.

当該措置を講ずる時期

5.

当該措置の内容

  • (6)要員の安全の確保
    市長は、NBC攻撃を受けた場合、武力攻撃災害の状況等の情報を現地調整所や県から積極的な収集に努め、当該情報を速やかに提供するなどにより、応急対策を講ずる要員の安全の確保に配慮する。

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