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更新日:2025年2月4日
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本日ここに、令和7年登米市議会定例会2月定期議会が開会され、令和7年度一般会計予算案をはじめとする各議案のご審議をお願いするに当たり、私の市政運営に向けての所信の一端と主要施策の概要について述べさせていただきます。
なお、本施政方針は、第二次登米市総合計画に掲げる取組の推進を前提とし、所信表明における重点施策に基づき、令和7年度特に力を注ぐ取組の方向性について、お示しさせていただきます。
令和6年1月1日の能登半島地震や8月の日向灘を震源とする地震の発生、更には9月の能登豪雨など、国内では大きな地震や集中豪雨等の大規模な自然災害が頻発している状況にあります。中でも日向灘を震源とする地震の発生の際には、気象庁が初となる「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表したことや能登豪雨の被害の甚大さは記憶に新しいところであり、こうした相次ぐ災害に対し、改めて日頃の備えの重要性を再認識したところであります。
本市においては、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進みつつあるものの、市街地においては、人口減少、少子高齢化に伴うスポンジ化の進行により、まちの活気が薄れつつあると感じられます。
一方で、令和6年度における米の買入価格が上昇し、再生産が可能な水準となり、農業を基幹産業とする本市にとっては、明るい兆しも見えてきたところであります。さらに、近年のデジタル技術の目ざましい発展や持続可能な社会の実現に向けたカーボンニュートラルの機運の高まりを背景に、様々な分野で、DX、脱炭素化の動きが活発化している状況にもあります。
こうした情勢の中で、本市は令和7年4月1日をもって、市制施行から20周年の節目を迎えます。この節目となる機会を捉え、登米市市制施行20周年を祝い、記念式典をはじめ各種記念事業を実施し、更なる市民の一体感の醸成を図ってまいります。
また、本年は、私の市長としての2期目の任期が満了となる年であります。平成29年4月の市長就任以来、市民の皆様からの負託に応えるべく、常に市民が主役の市政運営を心がけ、これまで各種施策に取り組んでまいりました。
特に、所信表明において掲げた7つの重点施策に力を注ぎ、まちづくりを推進してきたところであり、令和7年度においてもこれを軸としながら、本市を取り巻く情勢を的確に捉え、市民の皆様の安全・安心に資する取組を中心に、まちのにぎわい創出や次世代への投資を進め、未来に向けたまちづくりを推進してまいる所存であります。
はじめに、基軸となる安全・安心に暮らせるまちづくりについてであります。本市では、これまで、全市民を対象とした特別定額給付金の支給など、長期化したコロナ禍にあって、困難に直面した皆様の生活の支援を行ったほか、本市独自に、医療機関や介護事業所等に対して支援金の交付や感染症対策物品を配布するなどの支援を行ってまいりました。また、コロナ禍からの回復期にあっては、不安定な国際情勢に起因する物価高騰により、市民生活や市内事業者が大きな影響を受けていることを踏まえ、市民の皆様の負担軽減と地域経済活動を下支えするため、地域応援商品券事業や燃料券事業の実施に加えて、本市独自に、保育施設への給食用食材や光熱費の価格高騰に対する支援も行ってきたところであります。さらに、農業分野においても、肥料や飼料等の生産資材やエネルギー価格の高止まりによる厳しい状況を踏まえ、特に畜産業に対する本市独自の支援策として、畜産繁殖経営緊急支援事業を実施するなどの対策を講じてきたところでもあります。
今後においても、引き続き社会情勢や景気動向を注視しながら、市民の皆様が安心して暮らせるよう、本市を取り巻く情勢に応じた支援策に取り組むとともに、国に対しても、あらゆる機会を捉え、必要な対策を要請してまいります。
次に、災害に対する備えについてでありますが、予測が困難な上に、激甚化・頻発化する近年の災害に対応すべく、大雨による被害が大きかった河川を対象として、令和2年度から令和6年度まで、堆積土砂や支障木の撤去等を実施してきたところであり、着実に災害発生のリスク軽減が図られているものと捉えております。今後においても、延長された国の緊急浚渫推進事業を最大限活用しながら、計画的な修繕や適切な維持管理に努めてまいります。
市街地における排水対策としては、現在、県において、令和7年度の完了を目指し、長沼川河川改修事業を実施しているところであります。本市においても、迫町大東地区雨水排水路整備事業や迫町佐沼中江地区の道路側溝の土砂撤去に継続して取り組んでいるところであり、県事業との相乗効果に期待しているところであります。中でも、迫町大東地区雨水排水路整備事業については、令和6年度末には長沼川放水路に接続する排水樋門を含む主要な函渠の整備が完了する見込みであり、引き続き上流部に当たる迫大東公園周辺の側溝の整備を進め、令和7年度の事業完了を目指し進めてまいります。今後においても、県が実施する長沼川河川改修事業と調整しながら、事業の進捗を図るとともに、長沼川放水路上流側整備の早期事業化及び堆積土砂撤去の実施についても、県に対し継続して強く要望するなど、市街地の浸水被害の軽減につなげてまいります。
みやぎ県北高速幹線道路については、佐沼工区開通により利便性の向上が図られてきたところでありますが、未整備となっている第Ⅴ期区間や三陸沿岸道路への直接乗り入れについては事業化されていない状況にあります。そのため、令和6年8月に民間事業者を構成員とする「みやぎ県北高速幹線道路建設促進登米市期成同盟会」を新たに設立し、県への要望活動を行ったところであり、第Ⅴ期区間のミッシングリンク解消はもとより、三陸沿岸道路の4車線化を見据えた直接乗入れが早期に事業採択されるよう、国等の関係機関に強く要望してまいります。
次に、防災・危機管理についてでありますが、消防団員が年々減少する中、今後発生が危惧される大規模災害等に備え、地域防災力の中核を担う消防団の万全な体制の構築が重要であると捉えており、令和9年度を目標として、各支団の班統合、分団統合の協議を重ね、引き続き組織の再編を進めてまいります。また、団員の確保に関しても、行政区と連携して入団の呼び掛けを行うとともに、団員を雇用する企業や消防団協力事業所等に対して、消防団活動への一層の理解促進と協力の働き掛けを行うなど、団員が活動しやすい環境を整備してまいります。
災害発生時に、避難支援を必要とする避難行動要支援者の方に対しては、一人一人について「誰が」「誰を」「どう支援するか」などをあらかじめ定める個別避難計画について、本人やご家族にその重要性等を周知し、行政区長や民生委員・児童委員などの協力をいただきながら、作成に着手したところであります。今後も引き続き個別避難計画の意義を理解していただけるよう周知に努め、全ての避難行動要支援者の計画作成を目指し、取組を進めてまいります。また、避難支援等関係者との連携と情報共有に努め、個別避難計画や避難行動要支援者名簿の活用による平時からの地域での訓練や見守り、声掛けなどの取組を促進し、地域における避難支援体制の構築に取り組んでまいります。
さらに、大規模地震や大型台風による記録的な大雨、局地的な集中豪雨など、全国各地で大きな被害が発生していることを踏まえ、自主防災組織をはじめ、市民の皆様の防災意識の向上を図るとともに、防災機能の強化に努めてまいります。なお、災害時の避難所においては、入浴や食事環境を整える防災資機材の導入や、避難行動要支援者の安否確認と支援実施者への安否情報の伝達を迅速に行うシステムの構築に取り組み、災害に強いまちづくりを進めてまいります。また、災害などで水の供給が止まった時の水道水の融通を図るため、本市新田地区と栗原市瀬峰地区の近接する配水管を緊急時用連絡管として整備を行ってまいります。
次に、社会基盤の整備についてでありますが、市道梅ノ木・平柳線をはじめとする幹線道路整備や、集落内、集落間を結ぶ道路整備に継続して取り組み、市民の皆様の安全確保と利便性の向上に努めてまいります。これまで集中整備期間として実施してきた、きめ細かな道整備事業については、計画路線の整備が完了し、市民の皆様に密着した生活道路の利便性向上が図られたものと捉えております。一方で、学校周辺の歩道内における側溝蓋版の経年劣化により、安全な通行の支障となっている事例も発生している状況にあるため、まずは危険箇所の特定を行い必要な対策を検討し、利用者の安全確保に取り組んでまいります。また、近年、地球温暖化の影響などにより道路脇の草木の繁茂が著しく、一部の市道においては、これまでの除草作業の体制では対応が困難な状況になってきていることから、除草作業の適切な体制について検討し、沿道の景観にも配慮しながら、道路利用者の安全確保に努めてまいります。
次に、公共交通についてであります。本市では、市民バスや住民バスを運行するとともに、地域コミュニティ組織が運営するデマンド型乗合タクシーの普及・拡大に取り組み、移動手段を持たない高齢者等の交通弱者の生活を支えてまいりました。将来にわたり、こうした地域公共交通を持続可能なものとするため、現在、令和7年度の計画策定に向けて「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」に基づく登米市地域公共交通計画の検討を進めているところであり、より利便性の高い公共交通を目指して、市中心部における回遊性に特化した循環型路線など新たな施策についても調査・研究を行い、コンパクトシティ・プラス・ネットワークの構築に努めてまいります。また、きめ細かな移動手段を担うデマンド型乗合タクシーについては、地域における関心も高まってきており、導入を検討している地域への丁寧な事業説明や導入に向けた手続き等の支援を行うなど、必要とされる地域で円滑に導入・運行されるよう努めてまいります。
次に、上下水道事業についてでありますが、令和5年度から実施している保呂羽浄水場の再構築事業に継続して取り組んでまいります。また、近年、頻発する地震や豪雨災害の影響等により、地表に現れない漏水が多く、有収率は低下傾向にあり、その向上対策が喫緊の課題となっていることを踏まえ、令和6年度から新たな取組として行った、人工衛星を活用した漏水調査により示された、漏水の可能性が高い場所を限定的かつ効率的に調査・修繕を行い、有収率の向上に努め、安全・安心で強靭なライフラインの構築を図ってまいります。
次に、ゼロカーボンシティの取組についてであります。本市では、地球温暖化対策の取組を市全体で推進するため、令和6年12月に第三次登米市地球温暖化対策地域推進計画を策定し、短期目標として「市の温室効果ガス排出量を2030年度までに、2013年度比で50パーセント削減」、長期目標として「2050年までのカーボンニュートラル実現」を目指すとともに、市民や事業者の皆様、市役所それぞれの取組主体におけるロードマップや有効な削減行動をお示ししたところであります。本計画の推進に当たっては、計画の周知とともに、ゼロカーボンシティとめ推進メンバー登録や登米市版CO2家計簿利用の普及を図り、見える化によるそれぞれの現状把握や目標を意識した排出量削減の取組を促進してまいります。さらに、地域等と連携したゼロカーボンシティ出前講座の実施や子どもたちに対する環境出前講座、ジュニアミーティングなどの更なる充実を図り、市民や事業者の皆様、次世代を担う子どもたちの地球温暖化防止意識を高めてまいります。
公共施設の省エネ化に関する取組としては、これまで照明設備について水銀灯などのLED化に取り組んできたところでありますが、令和9年末までに蛍光ランプの製造及び輸入が段階的に廃止されることを踏まえ、蛍光灯についても計画的にLED化を進めてまいります。また、快適な室内環境を維持しながら、建物で消費する年間一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指したZEB化などの可能性を調査するとともに、修繕等に併せた高効率設備の導入などにより電力消費量等の削減を図り、温室効果ガスの排出抑制に取り組んでまいります。
農林業分野における脱炭素化の取組としては、本市では令和6年12月に県内初となるオーガニックビレッジ宣言を行ったところであり、温室効果ガスの削減効果が期待される有機農業等の営農活動を支援する、環境保全型農業直接支払交付金事業の取組面積の更なる拡大を図り、温室効果ガスの削減につなげてまいります。また、水稲栽培における中干期間の延長がJ-クレジット制度による新たな方法論として承認されたことを受け、市内でも認証に向けた実証試験が行われ、令和7年度からの本格的な取組を目指し進めているところであり、クレジットの販売収入による農業者の所得向上にもつなげてまいります。
林業分野においては、平成25年度から、森林の二酸化炭素吸収量を企業等へ販売を行ってきたところでありますが、販売期限である令和12年度を待たずに完売する見込みとなっており、今後更なる二酸化炭素吸収量の拡大を目指し、市有林の新たなJ-クレジットの認証取得に取り組んでまいります。
次に、プラスチック系ごみの再資源化についてでありますが、本市では、令和4年度から資源ごみとして、プラスチック製容器包装類の回収を開始し、令和6年度にはプラスチック製品類を追加するなど、資源ごみの回収品目の拡大により焼却量が減少し、二酸化炭素排出量の削減につながっているところであります。今後においても、より多くの市民の皆様に再資源化に取り組んでいただけるよう、普及啓発を図ってまいります。
次に、害虫対策についてであります。近年、冬の気温上昇により越冬した害虫の大量発生が見受けられ、令和6年には本市でもアメリカシロヒトリの幼虫が大量発生し、桜など多くの樹木が被害を受けたところであります。本市ではこれまで、巣網の捕殺や薬剤散布により駆除を行っているところでありますが、今後においては、より効果的な防除方法を調査・研究するとともに、発生予想時期や発生状況を市公式ホームページ等で周知し、適期防除を促進してまいります。
次に、地域医療の充実についてであります。病院事業では、これまで入院患者数の動向を踏まえ、病床数のダウンサイジングによる看護職員の配置集約のほか、市立3病院における機能分化や連携強化、新たな加算の取得による医業収益の増加など、経営改善に向けた取組を進めてまいりました。また、市医師会の協力のもと、新型コロナウイルス感染症の流行時における診療体制を早期に構築するなど、地域において必要な医療の提供に努めてきたところであります。その結果、令和3年度には病院事業において資金不足が解消されるなど、取組による効果が見られたところであります。近年の物価高騰に伴う経費の増加などの影響により、経営を取り巻く環境は、再び非常に厳しい状況が続いておりますが、令和7年度においても引き続き、組織を挙げて経営改善に向けた取組を推進してまいります。
令和6年3月に改定した登米市病院事業中長期計画では、限られた医療資源を地域全体で最大限有効に活用することを目指しており、引き続き、市立3病院の連携を進めるとともに、市内開業医及び近隣の高次医療機関との円滑な連携について強化を図ってまいります。また、人口減少に伴う患者数の減少や医療需要の変化、不足する医療従事者、施設の老朽化など、病院事業全体で抱える課題を踏まえ、地域医療構想との整合を図りながら、今後の市立病院等のあり方について、引き続き検討を進めてまいります。
老人保健施設事業については、これまでも在宅復帰を目指す利用者にサービスを提供し、一定の成果を上げてまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響や経費の増加などにより、厳しい経営が続いております。現在も、市立病院からの入所促進などにより、利用者確保に努めておりますが、更なるコスト削減に加え、望ましい経営のあり方について検討を進めてまいります。
在宅医療に関しては、高齢化の進展に伴い、65歳以上の人口割合が増加している本市においては、在宅医療に対するニーズが更に高まっていくことが予想されます。入院を必要とする在宅療養者の受入れやリハビリなど、在宅医療を支える役割を病院事業として担うとともに、継続性のある医療の提供が図られるよう、関係機関と連携してまいります。
次に、病院事業におけるデジタル化についてでありますが、電子カルテシステムが未整備であった豊里病院への導入を進め、令和6年12月から稼働していることを踏まえた業務の効率化を推進してまいります。
医師確保の取組については、東北大学病院及び東北医科薬科大学病院並びに宮城県に対し、常勤医の派遣要請を継続するとともに、初期研修医や後期研修医の確保に努めるほか、東北医科薬科大学の東北地域医療支援修学資金や、宮城県医学生修学資金の貸付けを受けた医師についても、市立病院への配置につながるよう関係機関からの情報収集に努めてまいります。さらに、本市の医学生奨学金制度を利用した医師の受入体制の整備を引き続き進めてまいります。
地域医療人材の確保については、令和6年度より3名体制となった診療看護師が、主治医のサポート役として、複数の施設や在宅において活動を展開しております。さらに1名を養成機関に派遣しておりますが、診療看護師が活動を通して広く地域や関係機関に認知されるよう努めてまいります。
登米市民病院整備基本方針の策定に向けた取組としては、登米市民病院整備検討委員会において、求められる病院像、医療機能等についての協議や参考となる病院の視察を通して、患者様にとって利便性の高い院内の配置などについて検討を進めております。検討委員会での協議内容や進捗状況等については、議会等においてお示しするとともに、関係機関からのご意見もいただきながら、令和7年度内の策定を目指してまいります。
次に、教育振興についてであります。本市では、登米市学習スタンダードの実践により、授業に主体的に取り組み「分かった」「できた」と実感する児童生徒が増えてきています。一方で、全国学力・学習状況調査では全国及び県の平均正答率に達していない状況でもあることから、今後においては、知識及び技能を活用して課題を解決する力の更なる伸長を図るとともに、年2回実施する学力調査の結果を指導に活用するなど、教職員の授業力及び児童生徒の学力の向上に努めてまいります。また、ICT教育や教育のDX化については、デジタル教科書や学習プラットフォームの効果的な活用を促進し、個々の学習ニーズに対応した学習支援を拡充してまいります。
いじめや不登校などへの対応については、引き続き、学校、家庭、関係機関との連携や各校に配置されているスクールカウンセラーにより、個々に寄り添った相談活動に努めるとともに「さくらの木」においては、臨床心理士、スクールソーシャルワーカーによる相談活動や専門スタッフによる学習支援を充実させ、将来的な社会的自立に向けた児童生徒及び保護者への支援の充実を図ってまいります。
次に、学校再編についてでありますが、小学校再編については、令和7年4月に東和小学校を開校し、米山及び南方地域については、開校準備委員会において、校名や校歌など、開校に向けた具体的な協議・検討を進めてまいります。中田及び迫地域の小学校再編については、保護者及び地域の皆様との合意形成を図りながら取り組んでまいります。また、中学校再編については、少子化に伴い生徒数が急激に減少していることを踏まえ、生徒数の見通しに応じた中学校の適正規模、通学区域を考慮した再編計画の見直しに取り組んでまいります。
学校給食センターの再編については、西部学校給食センターとの2センター体制による安全かつ安定的な給食提供体制の構築に向けて、(仮称)東部学校給食センターの新築工事に着手してまいります。
米山地区における公共施設複合化整備事業については、複合施設の新築工事を進めるとともに、令和9年4月の(仮称)米山小学校の開校に向け、着実に事業を推進してまいります。
新図書館の整備に向けた取組としては、登米市新図書館機能検討委員会における機能やサービスの充実に向けた検討結果を踏まえ、新図書館が多くの皆様に利用される施設となるよう、読書活動の推進に取り組むとともに、(仮称)地域交流センター整備事業の中で検討を進めてまいります。
次に、地域伝承文化の継承についてでありますが、地域伝承行事や公演の情報発信、体験事業の拡充や子どもたちの発表の場を創出し、後継者の育成を図るとともに、地域で受け継がれてきた伝承文化を映像に記録し、後世に残す取組も進めてまいります。
次に、人口減少対策についてであります。移住・定住の促進に向けた取組としては、これまで、首都圏等における本市のPRや、地域おこし協力隊員による移住者の視点からのきめ細かな相談対応を行うとともに、住まいサポート事業及び空き家改修事業による住環境整備に対する支援のほか、移住体験ツアーや奨学金返還支援事業など、本市への移住・定住の促進に向けた取組を推進してきたところであります。こうした取組により、これまで着実に移住者及び定住者の創出につなげてきたところであり、令和7年度においても、取組を継続するとともに、都市部に住む方が自宅とは別に地方にも生活拠点を構える二地域居住の推進など、地方への新たな人の流れを創出し、関係人口の拡大と地域の活性化につなげてまいります。
次に、子育て支援についてでありますが、産前・産後サポート事業や産後ケアをはじめとする相談支援、子育て支援センター事業等による地域での子育て支援、結婚新生活支援事業や出産祝金、医療費助成等による経済的な支援など、結婚から妊娠・出産、子育てまで、切れ目のない支援に取り組んできたところであります。令和6年度においては、高校生年代までの子どもが居る家庭への「登米市子育て応援ロードマップ」の配布やこどもまつり等において、手厚い本市の子育て支援施策の周知活動を行ったところであり、今後も様々な機会を捉え、分かりやすい情報発信に努めてまいります。また、幼保連携型認定こども園の整備を継続し、令和3年度以降は保育所等待機児童数をゼロとするなど、保育環境の充実にも努めてきたところであります。今後においては「登米市子ども・子育て条例」に基づき、子どもが意見表明できる機会の確保に向けた取組を行うとともに、オール登米で子育て支援に取り組み、全ての子どもが安心して、健やかに成長できる地域社会の実現を目指してまいります。
次に、若者の育成・交流についてであります。本市では、令和6年度から、若者ならではの新しい視点や柔軟な発想を具現化するための支援策として、若者まちづくり事業補助金制度をスタートしました。初年度の令和6年度においては、収集したゴミを活用したアート作品の制作・展示によるエコ活動に対する意識啓発と地域環境の改善を促す取組や中高生が制作したアート作品の展示即売会及びクラフト体験会の実施など、アートに興味を持つ人々が交流する機会の創出に対し支援を行ったところであり、「若者のアイデアを後押しするまち」として動き出しました。令和7年度においても、若者がまちづくりへの想いを実践できるよう支援を継続し、その経験を生かして、持続可能なまちづくりの担い手となるような若者の育成に取り組んでまいります。
次に、男女共同参画の推進についてでありますが、市民の皆様や各種団体、企業等と相互に連携して、ワーク・ライフ・バランス研修会を開催し、引き続き働きやすい職場づくりの啓発に努めるとともに、男女労働者の均等な雇用を図るポジティブ・アクションに取り組む市内企業等を周知するなど、男女が互いに尊重し、協力し合える社会の醸成を目指してまいります。また、多様な性のあり方について、正しい知識と理解を深めていただくため、中学生や保護者を対象としたLGBTQ+研修会の開催や、夫婦、恋人等の間における暴力の根絶に向けて、高校生等を対象としたDV防止に関する研修会を開催するなど、正しい知識と理解の増進に努めてまいります。
次に、中心市街地の活性化と地域拠点の振興についてであります。本市では、将来の人口減少・少子高齢化を見据え、登米市立地適正化計画を策定し、コンパクトシティ・プラス・ネットワークの考えのもと、地域の特色を生かしながら生活に必要な都市機能の維持と各町域間を結ぶ公共交通ネットワークの充実により、コンパクトで持続可能なまちづくりに取り組むこととしております。特に、中心市街地にあっては、かつてのにぎわいが失われつつある厳しい状況にあることから、まちのにぎわいを創出すべく、まちづくりの核となる多機能型複合施設として(仮称)地域交流センターを整備することにより、利便性の高い市民サービスの提供や効率的な行政運営を推進するとともに、市内外から多くの皆様が集い、にぎわいを生む拠点施設として、中心市街地の活性化に向けた取組を進めることとしております。令和7年度は、令和6年度中に策定する基本構想及び基本計画に基づき、施設の具体的な姿を描く設計業務に着手することとしており、引き続き、議会の中心市街地等活性化特別委員会とともに議論を重ねながら、整備に向けた取組を進めてまいります。
次に、産業振興についてであります。令和6年産米の価格上昇については、再生産につながる価格水準となり、農産物価格の適正化に向けた大きな一歩であると考えておりますが、一方では、あらゆる生産資材や燃料価格の高止まりが続き、農業を取り巻く厳しい情勢に変わりはなく、引き続き国に対して、国策として農業を守っていく支援策と生産コストの上昇分が農産物価格に反映される適正な価格転嫁の仕組みづくりを強く求めてまいります。
令和6年に「食料・農業・農村基本法」が四半世紀ぶりに改正され、現在、国において基本計画の策定が進められておりますが、本市農業振興ビジョンの計画期間が令和7年度までとなっており、次期ビジョンの策定に向け、今後示される国の施策を反映させながら、次の10年の農業振興のプランニングを進めてまいります。また、令和6年に行ったオーガニックビレッジ宣言については、本市農業の強みである環境保全型農業を更にステップアップさせ、地域ぐるみで環境に配慮した農業を推進する契機にしたいと捉えており、生産者から流通、消費者まで幅広く有機農業に対する理解を深め、生産性と持続性が両立した農業を目指してまいります。
人口減少が進む中、本市の基幹産業である農業、広大な農地を未来につないでいくためには、担い手の確保が最重要課題であると捉えており、国の新規就農者育成総合対策事業とワンストップ就農相談会や登米農業マイスターによる個別指導など、本市独自の取組を組み合わせた支援策により、新規就農者の確保・育成を図るとともに、中心経営体の経営基盤強化に向けた支援や多様な担い手育成支援事業を継続してまいります。
10年後の農地利用を明確化する地域計画については、令和7年3月までの策定を目指し手続きを進めているところであり、策定後においても地域での話し合いを続け、意見を反映させた生きた計画とし、担い手が将来に向け希望をもって農業に従事できるよう取り組んでまいります。さらに、令和6年4月、スマート農業技術の積極的な活用を図るため、登米市スマート農業推進方針を策定したところであり、今後も継続してスマート農業技術の導入支援を行うとともに、遠隔監視や自動水管理システム等の導入、更にはドローンによる病害虫防除など、本市農業の特性と営農体系に合わせたスマート農業の普及推進を図り、担い手確保に努めてまいります。
農業生産基盤となる農地の整備については、現在本工事を進めている沼崎・大平地区のほか、古宿地区や米川地区においても面工事に着手するとともに、新たな地区採択も目指し、農地の大区画化と担い手への利用集積を推進してまいります。
本市農業の主軸となる主食用米の生産については、令和6年産米は令和5年産米より7,500円高い概算金となりましたが、今後もこの米価水準を維持し、農業経営の安定につながるよう、需要に応じた主食用米の生産を引き続き推進してまいります。
農業経営の改善に向けた高収益作物への転換については、畑作物産地形成促進事業や産地交付金といった各種メリット措置を活用するほか、本市独自の取組である高収益作物転換等推進事業を継続し、基幹的な転作作物である麦や大豆のほか、収益性があり、加工や業務用として需要が見込まれるばれいしょ、トマト及びピーマン等の作付拡大を推進してまいります。
近年、ニホンジカやイノシシの生息地が拡大し、捕獲頭数も急激に増加しており、農林業への被害が深刻化していることを受け、電気柵等の設置費用及び鳥獣被害対策実施隊員の捕獲活動経費に対する支援を拡充し、有害鳥獣被害防止対策の強化を図ってまいります。
防疫対策については、令和6年度、隣県の養豚場で豚熱の発生が確認されているほか、県内各地で野生イノシシの感染が報告されていること、また、高病原性鳥インフルエンザについても近隣自治体で確認されたところでもあり、今後においても、引き続き関係機関と連携しながら、衛生管理に努めてまいります。
放射性物質に汚染された指定廃棄物については、暫定集約管理を行うことで国と協議を重ねているところであり、今後も国が責任を持って早期に処理を進めるよう強く要請していくとともに、保管箇所の維持・管理に万全を期してまいります。また、土壌還元による処理を進めている8,000ベクレル以下の一般廃棄物については、令和13年度までの完了に向け、計画的に処理を進めてまいります。
林業振興については、人工林の約7割が50年生以上に成長し、本格的な利用期を迎えておりますが、木材価格の低迷や林業従事者の減少など、林業を取り巻く情勢は依然として厳しい状況にあります。このような中、大径材に対応した年間4万立方メートルの素材を製材できる大規模な製材所が令和6年から操業を開始し、川中となる加工流通体制の強化が図られたところであり、川上において素材生産の拡大を図るとともに、川下においては木材需要の拡大を図る必要があります。現在、令和8年4月の新森林組合設立を目指し、市内3森林組合による合併協議が進められているところでもあり、経営基盤を強化し、木材の安定的な供給体制の構築に努めてまいります。
FSC森林認証木材については、本市林業の強みである環境に配慮した持続的な林業の取組を積極的にPRし、東京都港区や神奈川県横浜市などの都市部に対して売り込みを図ってまいります。近年、森林の持つ地球温暖化防止機能や災害防止機能に多くの期待が寄せられており、森林環境譲与税を効果的に活用し、民有林の適正な森林整備を計画的に進め、森林の有する公益的機能の更なる強化と地域林業の活性化に取り組んでまいります。
次に、商工業振興についてであります。令和6年に実施した市内中小企業・小規模事業者の事業承継に係るアンケート調査の結果、回答のあった事業者の約3割が廃業を視野に入れており、そのうち約6割が後継者問題に直面していることから、後継者不在により惜しまれながら廃業することのないよう、必要な支援策の検討を進めていくとともに、商工会等の関係機関が一体となった相談・支援体制の構築を図り、事業承継に向けた支援に努めてまいります。
市内産食材のPRについては、首都圏等のホテルでのフェア開催やシェフの招へいを継続的に行い、米や牛肉等の通年取引へつなげてきたところであり、今後においても、本市食材の魅力を積極的に発信し続けるとともに、地元に酒蔵があることを生かした日本酒とのペアリングによるPRを新たに行い、販路拡大に努めてまいります。また、これまで、輸入小麦の代替として期待されている米粉の利用拡大を図るため、市内産米を原料とする米粉を使用した米粉スイーツなどの開発にも取り組んできたところであり、令和7年度においては、市内洋菓子店やカフェを対象に、本市が誇る米の美味しさを生かした新たな特産品や新しいメニューの商品化を進めてまいります。
企業誘致については、現在、長沼第二工業団地の2区画への立地に向け、立地を検討している企業に対し、私自身が先頭に立ち、積極的なトップセールスを行っているところであります。今後も、県や関係機関との連携を強化し、企業情報の収集に努め、早期立地に取り組んでまいります。また、雇用対策と市内企業の人材確保に向けた取組としては、就職ガイダンスを継続して開催するとともに、新たに高校1・2年生を対象とした企業説明会の開催や大学等に企業が直接出向く企業説明会を開催し、市内企業の認知度向上と若者の地元定着の促進に取り組んでまいります。
観光物産振興については、本年度、産業経済部内に観光と物産の一体的な推進を担う観光物産戦略課を新設したところであり、本市の豊かな食材と観光を結び付け、食をテーマとしたイベントの開催や各種イベント、スポーツ大会に合わせて、観光PR、はっと汁などの郷土料理の提供、地場産品の販売をセットで行うなどの取組を進めてまいりました。今後においても、各イベントの相乗効果を狙ったコラボレーションイベントの開催に取り組むとともに、地域との交流をテーマにしたスロートラベルや自然文化体験型のアドベンチャーツーリズム、伝統的な食文化に触れるガストロミーツーリズムなど地域の特性を生かした本市ならではのニューツーリズムを提案し、交流人口や関係人口の拡大に努めてまいります。
次に、健康なまちづくりについてであります。本市における健康課題として、脳血管疾患による死亡率の高さや、子ども、大人ともに肥満割合が高いことなどが挙げられており、健診や健康セミナー等を通じ、生活習慣病予防に継続して取り組んでまいりました。特に、高血圧対策として「尿ナトリウム・カリウム比」を軸とした取組を推進しており、健診における尿ナトカリ比測定や食と農の連携推進事業などによる適塩と野菜の摂取向上の普及に努めたほか、令和6年度は若い世代から適塩の重要性を理解していただくため、中学生を対象とした尿ナトカリ比測定を実施し、食生活の見える化を図ったところであります。
肥満対策としては、子どもの頃からの望ましい生活習慣の定着に向け、食と運動の教室や生活習慣病予防教室の開催のほか、運動習慣のきっかけづくりとして、ウォーキング事業を実施しており、今後は企業との連携によるスマホアプリを利用したウォーキングイベントの開催なども検討してまいります。
今後においても、市民の皆様が自らの健康に対して主体的に考え、健康づくりに向けた望ましい行動につなげられるよう取り組んでまいります。
高齢者を対象とした保健事業については、健診データ等を活用し、令和6年度は低栄養の状態に陥る可能性のある高齢者に対し、管理栄養士や保健師による相談や助言等を行い、低栄養に伴うフレイルを予防する取組を行ってまいりました。また、介護予防事業と連携し、ミニデイサービスなどを通じて、健康教育・健康相談を行い、介護予防や生活習慣病の予防と重症化対策にも取り組んできたところであります。今後においても、地域の「通いの場」における積極的な関与を継続するとともに、全ての高齢者が気軽に健康相談ができる、地域に寄り添ったきめ細かな保健事業を実施し、健康寿命の延伸を図ってまいります。
次に、高齢者福祉についてであります。これまで、高齢者が住み慣れた地域で安心して自立した生活が送れるよう、地域包括ケアシステムの深化・推進を図ってまいりました。今後においても、地域包括支援センターや関係機関との連携を強化し、配食サービスや緊急通報システム等の在宅サービスや、通いの場であるミニデイサービス・シニアサロン等での認知症予防や介護予防の取組を継続し、高齢者を地域全体で支える環境づくりに努めてまいります。また、認知症施策としては、認知症ケアガイドブックの作成や認知症サポーターの養成講座の開催、認知症カフェの開催支援などにより周知・啓発を進めてきたところであります。高齢化の進展に伴い、認知症の方が増加することが見込まれ、認知症の問題を家族で抱えてしまうことや介護者に対する支援が不足していることが課題となっており、引き続き、認知症になっても安心して地域で暮らせるよう、認知症への理解促進と地域住民や認知症サポーター等による地域での支え合いの推進に取り組んでまいります。
妊娠期等の相談支援やヤングケアラーへの対応については、令和6年度から母子保健部門と児童福祉部門の相談支援を一体的に行う、登米市こども家庭センターを設置し、妊娠期から子育て期の不安や悩みへの相談支援をはじめ、ヤングケアラーや児童虐待の早期把握、早期対応に努め、迅速で切れ目のない支援を行っているところであります。今後においても、支援を必要としている子どもや困難を抱えている家庭に対し、関係機関と連携を図りながら、一人一人に寄り添った、適切できめ細かな支援やサービスの提供に努め、妊産婦や子どもが安心して生活できる環境を整えてまいります。
次に、人権擁護の取組についてであります。本市では、令和6年度に、全ての市民の皆様が人権を侵害されることなく、個人として尊重され、自分らしく安心して暮らすことができるまちを目指し「登米市人権擁護に関する条例」を制定したところであり、様々な場面や機会を捉え、人権尊重の理念の普及と正しい理解の促進を図りながら、更なる人権意識の高揚に努めてまいります。子どもたちに対する人権教育については、いじめの未然防止をはじめ、道徳の授業など教育活動全体を通して、自らはもとより他の人を大切にする意識や態度を育む人権教育の推進に努めてまいります。障がいをお持ちの方に対する理解の促進と差別の解消に向けては、市内公共施設や商業施設等に障がい者への理解と支援に関するパンフレットを設置し啓発に努めるとともに、障害福祉サービス事業所を対象とした、虐待の防止や問題の早期発見のための研修会を開催するなど、安心して日常生活や社会参加が行えるよう取り組んでまいります。また、国立ハンセン病療養所の所在地である本市として、ハンセン病や東北新生園の歴史が正しく後世まで語り継がれるよう、東北新生園と連携しながら、ハンセン病の正しい知識の普及啓発を図るとともに、小・中学校の総合的な学習の時間を活用した人権教育などに取り組んでまいります。
次に、効率的な行財政運営についてであります。本市では、財政基盤の強化や効率的で効果的な行財政運営を目指し、平成17年以降、4次にわたり登米市行財政改革大綱を策定し「市民と行政との協働」「自主財源の確保対策」などに取り組み、令和5年度までに約168億円の増収と経費削減の効果が得られたところであります。さらに、財政調整基金の年度末残高においても、平成17年度末の約32億円から、令和5年度末では約44億円とし、大型事業を実施しながらも約12億円積み増したところでもあります。また、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」の施行以降、実質公債費比率や将来負担比率等全ての指標において、法に定める基準を超えたことはなく、財政の健全性を維持してきたところであります。今後においても、財政の健全性維持のため、効率的で効果的な行政サービスの提供と、歳入に見合った歳出を基本とし、職員一人一人が経営意識を持ちながら、全庁一丸となって不断の行財政改革を一層推進してまいります。
次に、公共施設についてでありますが、登米市公共施設等総合管理計画のもと、類似する施設の統合、集約化を推進し、令和17年度までの20年間で保有総延床面積の25パーセント縮減を目標に取り組んでおります。今後、老朽化が進んだ建物については、計画的に除却を進めるとともに、未利用財産に関する情報の公表や民間活用の可能性を探るサウンディング型市場調査などを行い、未利用財産の売却等を積極的に進め、保有総延床面積の縮減を図ってまいります。また、施設の多機能化や複合化を図り、時代に即した公共施設の最適な配置に努めるとともに、計画的に施設の修繕を行いながら適正な管理に取り組み、施設利用者に対し質の高い行政サービスを提供してまいります。
歳入確保の取組としては、ふるさと応援寄附金について、私が市長に就任した平成29年度の寄附実績は、寄附件数約2,600件、寄附額約7,900万円でありましたが、魅力のある返礼品の充実や新規返礼品の掘り起こしのほか、本市に寄附をいただいた方との継続的なつながりを持つ取組など、寄附拡大に取り組み、令和5年度には、寄附件数約3万5,800件、寄附額は約6億3,700万円となったところであり、当時と比較して寄附件数は約13倍、寄附額は約8倍と大幅な伸びを記録したところであります。令和7年度においても、市内の返礼品提供事業者との連携のもと、新たな返礼品の掘り起こしを通した魅力的な返礼品の開発に取り組むとともに、寄附をいただいた方に引き続き本市を応援していただけるよう、パンフレットやメールマガジンの送付に加え、SNSやはがきなど多様な情報発信ツールを活用したシティプロモーションを展開し、地域や返礼品の魅力をより多くの方々に発信することで更なる寄附の拡大につなげてまいります。また、企業版ふるさと納税については、令和3年10月に募集を開始し、地方創生プロジェクトのPRや地元金融機関との連携による企業への働きかけなどにより、これまでに12社から計470万円の寄附をいただいたところであります。令和7年度においては、多くの企業に賛同していただけるよう、これまで寄附をいただいた企業との絆を深めるとともに、新たな寄附先となり得る企業への積極的なPRを展開し、より多くの企業との関係性構築に向け取り組んでまいります。
ガバメントクラウドファンディングについては、令和4年度に長沼フートピア公園災害復旧プロジェクトの募集を行い、全国から約440件、約745万円の寄附をいただき、本市を応援してくださる多くの方々の想いを実感したところでありますが、今後においても、寄附の目的を明確化し、多くの方々に応援していただけるよう取り組んでまいります。
次に、デジタル化の推進についてであります。本市では、これまで人口減少・少子高齢化、財政構造の変化など、社会環境の変化に対応した行政サービスを提供し、市民の皆様の利便性向上を図る目的で、自宅や職場などからインターネットを通じて行政手続が可能な電子申請サービスや各種証明書のコンビニ交付サービス、スマートフォン決済アプリによる市税等納付サービスの導入など、積極的にデジタル技術の活用を推進してまいりました。令和6年度には、登米市DX推進計画を策定し、当該計画に基づき3つの総合支所窓口に「書かない窓口システム」を導入し、ご利用いただいているところであります。また、デジタル・ディバイド対策として、ショッピングセンターやコミュニティ組織と連携し、市民の皆様を対象としたMaaS車両を利用したスマホ教室を開催し、多くの皆様にご参加いただきました。さらに、庁内においても年間10パーセントのコピー用紙の削減を目標にペーパーレス化を進めており、経費削減や行政業務の効率化を図るとともに、紙焼却時のCO2削減による環境負荷軽減に取り組んでおります。令和7年度においては、行政資料のペーパーレス化やデジタル・ディバイド対策の継続と電子申請サービスにおける手続種別の拡充を図るとともに、証明書等の取得に係るキャッシュレス化についても検討してまいります。本年度、市公式LINEにおいて、市民の皆様が必要とする情報を簡単に受け取ることができるセグメント方式の導入や市公式ホームページと連携させることで、利便性の向上に取り組んできたところでありますが、加えて、市公式ホームページから市民の皆様の問い合わせ対応を24時間365日実現可能な「AIチャットボット」や総合支所窓口と担当課をオンラインで接続する「リモート窓口システム」の導入についても、検討を進めてまいります。
デジタル社会を支えるマイナンバーカードについては、令和6年12月からマイナ保険証としての利用が本格化され、運転免許証との一体化も予定されております。今後においても、申請サポート事業及び休日・時間外交付などの取組を継続し、マイナンバーカードの交付率向上を図るとともに、コンビニ交付サービスをはじめ、母子保健情報とマイナポータルとを連携させたサービスを提供するなど、マイナンバーカードの利用による市民サービスの向上に努めてまいります。
次に、令和7年度予算の概要について申し上げます。令和7年度予算は、国の令和7年度地方財政対策や物価高騰などをはじめとした様々な社会・経済情勢を踏まえ編成したところでありますが、令和7年度は市長及び市議会議員の改選年度となりますことから、骨格予算を基本としながらも、政策的経費については、前年度から継続している事業や補助事業など、実施が決定している事業のほか、早急な取組を要する事業費等を計上したところであります。
令和7年度地方財政対策においては、地方交付税等の一般財源総額において、前年度を上回る額が確保されたことから、本市歳入においても、地方交付税等を増額して見込んだところであります。
歳出では、未来につながるまちづくりとして、(仮称)地域交流センター整備事業や米山地区公共施設複合化整備事業、学校再編施設整備事業等が本格化していく中、社会保障関係費、DXの推進や防災・減災対策への経費など、多額の財政需要が見込まれます。
こうした状況から、令和7年度予算編成においては、歳入に見合った歳出を大原則とし、ゼロベースからの事業精査に取り組み、未来につながるまちづくりに向けて、真に必要な施策には継続的に投資し、最終年度となる第二次登米市総合計画に掲げる基本政策の実現に向けて、事業の必要性・有効性・効率性等を重視し、予算を編成したところであります。
これにより、一般会計は496億1,259万6千円、特別会計は209億329万6千円、企業会計は216億737万3千円となり、総額では921億2,326万5千円となりました。
令和6年度当初予算と比較しますと、一般会計は7.5パーセントの増、特別会計は0.5パーセントの増、企業会計は12.6パーセントの増、予算全体では6.9パーセントの増となっております。
令和7年4月1日をもって、本市は市制施行から20周年を迎えます。これまでの20年、新たなまちづくりに取り組んでこられた全ての市民の皆様に敬意を表しますとともに、令和7年度は本市の豊かな自然やそれぞれの地域が育んできた歴史、文化に想いを馳せながら、節目となる令和7年度を本市の更なる飛躍、発展につなげる契機の年にしたいと思っております。
2期8年、市民の皆様が夢や希望を持ち続けられるよう、市政に全力を注いでまいりました。これまで、未来につながるまちづくりの種をまき、その芽となる施策に取り組んでまいりましたが、その施策全てが人口減少対策に結び付くものであります。
芽吹き苗となったこれまでの取組を着実に成果へと育て上げ、それがやがて太い幹となり、枝葉を生い茂らせ、市民の笑顔という果実に結実させられるよう、次期4年についても、引き続き市長として市政運営の重責を担わせていただき、未来のため、今やるべきことに果敢に取り組み、「あふれる笑顔 豊かな自然 住みたいまち とめ」の実現を目指してまいる所存であります。
市民の皆様並びに議員各位におかれましては、登米市の発展のため、持続可能なまちづくりの推進に格段のご理解とご協力、ご支援を賜りますようお願い申し上げ、施政方針といたします。