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更新日:2024年2月2日

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令和5年度施政方針

本日ここに、令和5年登米市議会定例会2月定期議会が開会され、令和5年度一般会計予算案をはじめとする各議案のご審議をお願いするに当たり、私の市政運営に向けての所信の一端と主要施策の概要について述べさせていただきます。

なお、本施政方針は、第二次登米市総合計画に掲げる取り組みの推進を前提とし、所信表明における重点施策に基づき、令和5年度、特に力を注ぐ取り組みの方向性について、お示しさせていただきます。

1.はじめに

昨年2月からのウクライナ危機の影響によってエネルギーや原材料価格が高騰し、加えて数十年ぶりとなる円安水準も重なったことにより、物価の高騰が市民生活の大きな負担となっております。さらに、新型コロナウイルス感染症は、感染力の強いオミクロン株の流行を受け、依然として市民生活と地域経済に大きな影響を及ぼしております。

また、記録的な大雨が全国各地で頻発しており、本市においても昨年7月の大雨により、住家の浸水や農地の冠水など、大きな被害を受けたところでもあります。改めてコロナ禍からの回復への決意、そして物価高、自然災害に対する危機感を強くしているところであります。

ロシアのウクライナ侵攻の開始から、間もなく1年となりますが、本市では、ポーランド共和国のボートチームを受け入れた縁から、ポーランド共和国へのウクライナ避難民を支援する目的で、人道支援寄附金口座を開設いたしました。市内外の皆様からこれまでに、800万円を超える寄附が寄せられ、寄附金は、支援物資や食事の提供など、避難された方への支援活動に寄与しているところであり、皆様の温かいお気持ちに、改めまして感謝申し上げますとともに、今なお続く戦禍に、早期終結を切に願うばかりであります。

また、昨年は、本市の若者の活躍が目立った一年でもありました。本市出身の生徒が所属する、仙台育英学園高等学校硬式野球部の全国高等学校野球選手権大会の優勝をはじめ、全日本中学校陸上競技選手権大会における、南方中学校生徒の男子四種競技の優勝など、本市出身者の活躍に、大変喜ばしく、今後もこれに続く皆様の活躍を期待しているところであります。

こうした本市の情勢を踏まえ、引き続き新型コロナウイルスの感染対策に取り組みながら、市民の皆様の安全・安心に資する取り組みを第一に、市民生活の安定と地域経済の回復に取り組む決意であります。

昨年、宮城県は県制150周年の節目を迎えました。本市は今年、市制施行から19年目を迎えます。令和5年度は“ウィズコロナ”“アフターコロナ”に向けて、所信表明における7つの重点施策を軸に、今やるべき施策を着実に実行するとともに、改めて新市建設計画の見直しに着手し、市制施行後20年の節目、そして更にその先の未来に向けたまちづくりに取り組んでまいる所存であります。

2.市政運営の7つの重点施策(7つの軸)

はじめに、安全・安心に暮らせるまちづくりについてであります。新型コロナウイルス感染症については、国や県が示す感染対策等の最新情報やワクチン接種の方向性などを注視しながら、引き続き基本的な感染対策の啓発と、市が講ずるべき対策に迅速に対応してまいります。

一方、地域経済の状況は、食料品やエネルギー分野をはじめとする値上がりが、市民の皆様の暮らしや事業者の経営に大きな影響を与えております。本市では、ときめき生活応援商品券事業や事業復活支援給付金事業など、本市独自の支援事業により、市民の皆様の生活の安定や事業者に対する事業継続と雇用維持に取り組んでまいりました。

また、電力や燃料調達コストが大幅に上昇したことを受け、保育施設のほか、農業者や運送業者に対する支援を行ったところでありますが、今後も国や県の動向を注視しながら、必要に応じた支援施策に取り組み、市民生活の安定と経済活動の活性化を支援してまいります。一方で、公共施設の電気料金は、燃料価格と卸売電力価格の高騰などにより、契約していた新電力事業者が経営破綻した影響を受けたほか、大手電力事業者の電気料金の値上げなど、公共施設の維持管理費に大きな影響を受けております。電力の安定供給及び電気料金の抑制は、国が直接、主体的に取り組むべきものであり、今後国では、電気・ガス価格激変緩和対策事業の段階的な縮小が予定されていることから、引き続き電気料金の激変緩和措置への対応を継続するよう、国に要望してまいります。

次に、災害対策についてでありますが、国では令和7年度までを、国土強靱化対策の加速化・深化を図る集中期間と位置づけ、概ね15兆円規模の対策を講ずることとしており、本市では、昨年度策定した登米市国土強靱化地域計画を踏まえ、特に防災上重要な道路など、国のメニューを活用しながら、計画的な修繕や維持管理に努めてまいります。

また、一昨年、佐沼工区が開通した、みやぎ県北高速幹線道路は、本市の広域的な連携を支えるとともに、災害支援道路としての効果も期待されるため、第V期区間の早期事業採択をはじめ、全区間高規格道路として整備されるよう、関係機関に強く要望してまいります。

国の緊急浚渫推進事業を活用し進めている、市管理中小河川の土砂撤去や支障木の伐採などについては、災害への強い危機意識を持って迅速に進めてきたところであります。今後は、流域自治体や河川に携わる関係機関と連携し、流域治水の観点を加えながら、氾濫等のリスク軽減を図ってまいります。なお、現在、令和6年度の事業完了に向けて、迫町大東地区の雨水排水路整備を進めておりますが、昨年7月の大雨の際、市中心市街地において、広範囲に浸水被害が発生したことを受け、県が行う長沼川放水路整備に併せ、令和5年度から新たに、道路側溝に堆積した土砂の撤去を行い、排水機能を向上させ、浸水被害の軽減を図ってまいります。

次に、防災・危機管理についてでありますが、災害が複雑・多様化する中で、総合的な消防力の強化が喫緊の課題となっております。このため、広域的な対応が必要となる大規模災害にも迅速かつ柔軟に対応すべく、本市、石巻地区広域行政事務組合及び気仙沼・本吉地域広域行政事務組合の1市2組合において、消防指令業務の共同運用及び災害対応力の強化について、連携・協力することで合意いたしました。消防指令システムの共同運用にあっては、災害対応力の向上や経費縮減などの効果が期待できるものと捉えており、共同運用により本市の消防力を更に向上させ、市民の皆様の安全・安心を守ってまいります。

また、現在、登米市地域防災計画の修正に基づく、登米市避難行動要支援者マニュアルの見直しを進めておりますが、令和5年度においては、災害対策基本法に基づく個別避難計画の策定に向け、住民相互の助け合いや避難支援などの連絡体制の構築を図り、避難行動要支援者一人一人の避難を支援する人や、避難場所、避難経路などの取りまとめを行い、誰一人見逃さない防災を目指してまいります。

本市では、高齢者や障がい者などの災害時要支援者の方に対する情報伝達が課題であり、新たに文字情報と音声情報を組み合わせた情報伝達の仕組みを調査・研究し、災害時要支援者の方に優しく、わかりやすく情報を伝えられる体制の構築に努めてまいります。なお、洪水ハザードマップについても、いつ、どのように避難すべきか、市民の皆様自らが主体的に判断できるよう、市民目線に立った、見やすく、わかりやすいマップの作成に取り組むとともに、避難誘導などに活用できる防災アプリの導入に向けた調査・研究を進めてまいります。

次に、社会基盤の整備についてでありますが、市道については、梅ノ木・平柳線をはじめとする幹線道路整備や、集落内、集落間を結ぶ道路整備に継続して取り組み、市民の皆様の安全確保と利便性の向上に努めてまいります。なお、きめ細かな道整備事業による現道の舗装整備については、令和4年度からの3か年を集中整備期間と定め、特に優先度の高い路線から順次整備を進めており、今後も計画的に進めてまいります。

地域公共交通に関しては、本年1月に策定した第二次登米市地域公共交通再編計画に基づき、持続可能な公共交通ネットワークの構築に取り組んでまいります。特に、地域内交通を担うデマンド型乗合タクシーについては、現在導入している地域の利用状況を分析し、地域のニーズに合った運行を行うことで、利便性の向上を図るほか、複数コミュニティ組織による共同運営など、地域の実情に合った、より柔軟な運営手法も取り入れながら、導入地区の拡大に取り組み、市民の皆様が利用しやすい環境づくりを進めてまいります。

上下水道事業については、将来にわたり安全・安心で強靱なライフラインとしていくため、保呂羽浄水場の再構築事業や水道基幹管路の耐震化を進めるとともに、公共下水道の管渠整備や下水道施設の長寿命化対策などに取り組んでまいります。一方で、上下水道事業を取り巻く環境は、人口減少に伴う水需要の低迷により収益が減少する中、老朽化した管路や施設の更新、耐震化等の事業費が増大し、厳しさが増していくものと見込まれております。このため、令和5年度において、水道料金及び下水道使用料を改定させて頂き、市民の皆様への安定的なサービス提供と持続可能な事業経営に努めてまいります。

次に、環境施策についてであります。国では、地球温暖化対策計画において、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする、カーボンニュートラルの実現に向け、中間地点にあたる2030年度に、温室効果ガスを2013年度から46パーセント削減することを目指すとしており、本市においても、市民や事業者の皆様と一体となって温暖化対策を進めるため、令和4年度の施政方針において「ゼロカーボンシティ」を表明したところであります。本市では、これまで、公共施設の照明灯のLED化や公用車への低公害車の導入、住宅用新エネルギー導入支援などの取り組みにより、二酸化炭素排出削減を図ってきたところでありますが、国が掲げる2030年度の削減目標に向け、より一層取り組みを進めていく必要があります。今後においては、これまでの取り組みに加え、脱炭素につながる行動、アクションを実践していただく、市民参加型の脱炭素チャレンジ事業を実施するほか、電気自動車等の導入支援や、ごみの減量化・再資源化を進めるための、製品プラスチック回収・再商品化に向けたモデル地区実証事業の実施など、更なる二酸化炭素排出削減の取り組みを進めてまいります。

また、本市の2050年までの二酸化炭素排出削減目標や再生可能エネルギーの導入目標などを設定するため、市内における温室効果ガスの現状や将来予想、再生可能エネルギーのポテンシャル調査等を実施してまいります。

さらに、本市では、平成25年度から、森林吸収J-VERプロジェクトを実施しており、植樹祭などの森林・林業の取り組みが市内外の企業等から高く評価されております。今後も、首都圏で開催されるエコ関連イベントにおけるPRなどにより、クレジットの販売促進に努めるとともに、本市の森林が持つ二酸化炭素吸収力の更なる活用方法についても検討し、脱炭素化の取り組みを推進してまいります。

 

次に、地域医療の充実についてであります。病院事業の経営状況は、平成29年度以降、資金不足が発生しておりましたが、市立3病院の機能分担や連携強化をはじめとする経営改善の取り組みなどにより、令和3年度決算において資金不足が解消しており、一定の効果が表れてきたところであります。令和5年度においては、市立3病院の更なる連携強化による収支改善に努め、一般会計からの繰出金の抑制につなげてまいります。

また、これまで市立3病院では、登米市病院事業中長期計画に基づき、一般急性期医療、回復期・慢性期医療に医療機能を分担し、連携体制を構築してきたところでありますが、昨年、総務省より示された公立病院経営強化ガイドラインにおいて、持続可能な地域医療提供体制を確保するための経営強化プランを、令和5年度中に策定するよう求められております。そのため、市立3病院の連携強化に加え、登米市民病院を地域の基幹病院として明確に位置づけ、更なる機能分担や連携強化とともに、限られた医療資源を効率的に活用するための病院間による医師の派遣など、地域全体の医療提供体制の確保について、登米市病院事業中長期計画の改定において検討してまいります。

医師確保の取り組みとしては、令和5年度に、基幹型臨床研修病院である登米市民病院で、初期研修医3名の受入れを予定しておりますが、次年度以降も、研修先として登米市民病院を選んでいただけるよう情報発信を行い、研修を通して医師の定着に努めてまいります。

また、県のドクターバンク事業やドクターキューピット事業、自治医科大学関連事業による医師の派遣要請を継続するとともに、東北大学寄附講座の地域活動拠点でもある登米市民病院に、総合診療医の配置が予定されていることから、総合診療医学会認定施設としても、関係機関との連携により、総合診療医の育成に努めてまいります。

さらに、本市の医学生奨学金の貸付けを受けた医師について、令和5年度から、新たに2名が市立病院で勤務する予定となっておりますが、他の奨学金の貸付けを受けた医師についても、市立病院での勤務につながるよう取り組むとともに、令和6年度からは、東北地域医療支援修学資金の貸付けを受けた東北医科薬科大学の卒業医師が、宮城県などの自治体病院において勤務する制度が開始されることから、本制度を活用し、医師の確保につなげてまいります。

また、地域医療人材の確保に向け、これまでに診療看護師2名を養成するとともに、現在も看護師1名を養成機関へ派遣しております。診療看護師は、日ごろからの医師との連携により、在宅等の患者に対し、迅速かつ安全な医療を提供することに大きな役割を担うとされていることから、登米市医師会との連携による活用や医師の働き方改革の取り組みの一つとして、引き続き養成に努めるとともに、新たな仕組みづくりに取り組んでまいります。

これまで、休止としていた診療所については、登米診療所が民間の医療法人により、本年4月の開所に向けた準備が進められており、開所により地域医療の充実が図られるものと期待しているところであります。なお、津山診療所及びよねやま診療所については、今後の活用方法を継続して検討してまいります。

地域の中核的な病院であり、災害拠点病院でもある登米市民病院は、建物に防災面や機能面での課題を抱えており、市民の皆様の安全・安心を担う病院として施設整備が必要であると考えます。このため、今後における高齢化や人口減少に伴う医療需要の見通しなどの分析を進め、基幹病院としての二次医療圏における役割や地域医療構想との整合性を図るとともに、通院等の利便性や災害拠点病院としての機能などを考慮した整備場所、更には財政負担の抑制に向けた、より有利な財源を検討するなど、具体的な取り組みを進めてまいります。

 

次に、教育振興についてであります。学校教育においては、登米市学習スタンダードを活用した授業の実践により、登米市標準学力調査においても、全国平均正答率に近づいている状況であります。今後においては、授業改善の視点にICTの活用を盛り込むとともに、全国学力・学習状況調査等により、課題とされる家庭学習状況の改善に努めながら、より分かる授業づくりを推進してまいります。なお、本年度から従来の教科書と組み合わせて、学習者用デジタル教科書を授業に取り入れており、今後も、児童生徒の興味・関心を高めるとともに、主体的な学びを育んでまいります。

いじめや不登校などへの対応としては、引き続き、家庭、学校、けやき教室及び心のケアハウスとの連携をはじめ、臨床心理士やスクールソーシャルワーカー、各校に配置されているスクールカウンセラーによる相談活動に努めながら、児童生徒、保護者、教職員等に寄り添った支援を推進してまいります。

一昨年6月の千葉県八街市における痛ましい児童死傷事故を受け、本市においても再度通学路の緊急点検を実施し、優先度の高い危険箇所から安全対策に取り組んでいるところであります。今後は、新たに創設された国の通学路緊急対策事業などを活用しながら、通学路の危険箇所解消に取り組み、児童生徒の安全確保に万全を期してまいります。

学校再編の取り組みとしては、津山小学校の円滑な開校と運営に取り組むとともに、津山地域と同様に、登米市立小中学校等再編構想における小学校の前期計画として位置づけている、東和、米山、南方の各地域については、保護者、地域の皆様、学校長等で構成する開校準備委員会において、校名、校歌など統合に向けた具体的な協議・検討を進めてまいります。後期計画に位置づけている、迫、中田の各地域においては、学校再編準備委員会を設置し、統合の実施や時期、統合校の位置など、学校再編の基本的な事項について、協議・検討を進めてまいります。

また、中学校の再編については、登米市立小中学校等再編構想に基づき、考え方やスケジュール等を保護者や地域の皆様にお示しし、ご理解をいただきながら、取り組んでまいります。

調理設備の老朽化やランニングコストの増加などが課題となっている学校給食センターについては、施設の集約による効率化と低コスト化の実現に向けて、再編整備の具体的な検討に着手し、安全かつ効率的な学校給食の提供を目指し、取り組んでまいります。

新図書館の整備に向けた取り組みとしては、昨年実施したアンケート調査や、市民ワークショップなどから寄せられたご意見を踏まえ、登米市図書館構想の見直しに取り組むとともに、令和5年度から新たに、有識者や市民の皆様をメンバーとする(仮称)図書館整備推進委員会を立ち上げ、多くの皆様の意見を伺いながら、必要な機能などの検討に着手し、誰もが利用しやすく、学びと交流の拠点となる図書館を目指し、具体的な取り組みを進めてまいります。

地域伝承文化に関しては、少子高齢化やコロナ禍による発表機会の減少などにより、継承が難しくなってきております。地域独自の伝統は市の貴重な財産であり宝であります。地域の大切な宝を次世代に伝えるため、民俗芸能団体等への支援を継続するとともに、小学校などでの体験指導の機会を増やすなど、担い手の育成へとつながる取り組みを進めてまいります。

 

次に、人口減少対策についてであります。はじめに、移住・定住の促進に向けた取り組みについてでありますが、これまで、首都圏でのPRや移住者の暮らしの様子を記録した動画の公開など、積極的な情報発信に努めるとともに、住環境の整備に対する支援に力を注いでまいりました。首都圏では、20歳代を中心に、自然豊かな環境や生活重視のライフスタイルを望む人が増えているとの調査結果が出ているほか、本市でも移住相談件数が増加しており、地方移住への関心が高まっております。こうした機運の高まりを捉え、令和5年度から新たに、大学や高校等において奨学金の貸与を受けた本市出身者が市に戻り、就職や就農、家業を継ぐなどした場合に、奨学金返還額の一部を支援する、登米市奨学金返還支援事業を創設し、若者の地元回帰と定着をサポートしてまいります。

また、移住を検討している皆様に対しては、くらしの情報や支援情報などをわかりやすくパッケージ化し、若者や子育て世帯、シニア世帯それぞれに、主に興味のある分野の情報を的確に提供するなど、各ライフステージで求める要件にアピールできるよう、きめ細かく対応し、移住者の増加につなげてまいります。

さらに、遊休施設を活用したコワーキングスペースやサテライトオフィスなどの設置について、デジタル田園都市国家構想交付金の採択に向けた取り組みを進め、起業家や企業と本市をつなぐ場の整備による「転職なき移住」を促進してまいります。

次に、子育て支援についてでありますが、本市においては、昨年9月、登米市子ども・子育て条例を制定し、子育て支援の更なる充実を図ることといたしました。本市では、妊娠期から出産・子育てまでの伴走型相談支援とともに、出産・子育て応援金などの経済的支援を一体的に実施し、子育て家庭への切れ目のない支援体制づくりを進めております。本年度は、モバイルサイト「登米っこ♪すこやかナビ」をリニューアルし、これまでの予防接種のスケジュール管理に加え、健診や成長の記録を可能としたほか、妊娠、出産及び子育てに役立つ情報の発信など、機能の拡充を行ったところであります。今後においては、本条例の周知、啓発を行いながら、スマホアプリやホームページを活用し、子ども自身が利用できる支援情報の発信をはじめ、保護者にも、よりわかりやすい情報提供に努めてまいります。

また、相談する方の状況や環境にかかわらず、対面に近い形でサポートが受けられる「オンライン子育て相談サービス」を令和5年度から新たに開始するなど、子育て家庭に寄り添った事業を実施してまいります。

保育施設等における保育に際しては、一昨年、本市の認定こども園に不審者が侵入した事件や、昨年9月、静岡県で幼児が通園バスの車内に取り残されて死亡した事件を受け、本市としても、保育所及び幼稚園等における防犯対策の徹底や、バス送迎に当たっての安全管理に関する緊急点検を行ったところであります。また、保育施設における不適切な事案も全国的に大きな問題となっているところでもあり、今後の危機管理に当たっては、職員研修等を通じた風通しの良い職場づくりにより、不適切な事案を防止するとともに、危険箇所の点検や防犯訓練等を継続し、地域での見守りもいただきながら大切な子どもたちを守り、安心して過ごせる環境づくりに取り組んでまいります。

次に、若者の育成・交流についてであります。現在、本市では、スケートボード施設の整備に向けて検討を進めておりますが、スケートボード施設は、地域で活躍する若者の育成のみならず、家族連れなど、幅広い世代が集い、交流や出会いにつながる場にもなると捉えており、今後、愛好団体などのご意見や先進事例などを参考にしながら、施設規模や整備場所など、具体的に検討を進めてまいります。

男女共同参画の推進については、引き続きワーク・ライフ・バランス研修会を開催するとともに、令和5年度から新たに、社会的・構造的な差別を解消し、実質的な機会の均等に取り組むことを意味する「ポジティブ・アクション」を推進する市内企業等を支援し、働きやすい職場づくりの啓発に努め、男女が互いに尊重し、協力し合える社会の醸成を図ってまいります。

中心市街地の活性化と地域拠点の振興に関しては、現在、策定に向け取り組んでいる立地適正化計画について、中心市街地における内水・減災対策を熟考するとともに、各町域間を結ぶ公共交通ネットワークを充実させるなど、市民の皆様や議会のご意見を伺いながら、計画の公表に向けた取り組みを進めてまいります。特に、都市機能誘導施設として、まちづくりの核と位置づける(仮称)地域交流センターにあっては、公民館や図書館、市民交流などの機能に加え、行政機能を含めた多機能型複合施設の整備を目指し、中心市街地のにぎわいを創出するとともに、地域拠点の振興に取り組み、コンパクトシティ・プラス・ネットワークによる持続可能なまちづくりを進めてまいります。

 

次に、産業振興についてであります。人口減少やコロナ禍における外食需要の低迷などに伴い、米を中心とした農産物の価格下落に加え、原材料や燃料価格の高騰による経営の圧迫など、農業を取り巻く環境は大変厳しい状況が続いております。本市においては、脱炭素や農薬・化学肥料の削減、有機農業の拡大など、農業の環境負荷低減に全国でも先駆けて取り組み、環境保全型農業や、市内有機センターを核とした耕畜連携による資源循環型農業を柱に、人や生き物、環境に優しい特色ある農畜産物の生産を推進してまいりました。本市は、環境保全米発祥の地として、また仙台牛の主産地として全国に誇れる実績がありますので、今後は本市農畜産物のブランド力に更に磨きをかけ、第二次登米市総合計画の令和7年度目標である農業産出額365億円の達成に向け、取り組みを進めてまいります。

また、市や森林組合などで構成する登米市森林管理協議会では、これまで、民有林のおよそ半分に当たる約9千2百ヘクタールで、国際的な森林管理認証のFSC森林認証を取得し、森林施業だけでなく、水源涵養や生物多様性、二酸化炭素吸収や防災機能といった森林が持つ多面的機能に配慮した、持続可能な森林経営管理に取り組んでいるところであります。

こうした本市の取り組みが自然環境などとともに評価され、昨年8月には環境省の「トキと共生する里地づくり取組地域」に本市が選定されたところでもあり、今後も環境との調和を重視した、持続可能な農林業の振興を推進してまいります。

良質米の産地である本市においては、需要に応じた主食用米の生産を主軸としながらも、水田を活用した高収益作物等への作付転換、スマート農業の推進、ほ場整備による大区画化及び飼料作物の作付けと連動した畜産の振興など、経営体系の見直しや、条件整備による所得向上に向けた施策の展開が必要であると捉えております。このうち、水田農業における高収益作物等への作付転換に当たっては、大豆及び園芸作物を中心とした産地づくりを推進してまいります。特に、大豆については、水田活用の戦略作物として、農地集積や団地化など、作付け拡大と定着化の取り組みを支援してまいります。一方の園芸作物については、加工及び業務用として需要が見込まれる野菜を中心とした作付け拡大を目指し、機械化一貫体系の推進や省力化を図るとともに、産地交付金の活用などにより、新規及び規模拡大の取り組みを支援してまいります。

近年、農業従事者の高齢化が進む中、地域農業をけん引する担い手の減少や労働力不足により、農業生産基盤を維持できなくなることが危惧されております。そのため、限られた担い手でいかに農地を守り、本市の特徴を生かした農業を魅力ある農業経営として維持、発展させていくかが大きな課題であると捉えており、こうした課題の解決に向けて、本市独自に、自動操舵システムや農業用ドローンの導入などに対する支援を行ってきたところであります。県では、県内全域を網羅し、GPS等の位置情報の測位精度を向上させる、RTK基地局を本年度中に設置する計画としており、これを活用することで、自動運転の精度の向上やドローンを活用した肥料等の自動散布など、労働力の軽減や農作業の効率化が図られ、生産性の向上及び経営規模の拡大につながるものと期待しております。今後においては、県が設置する、このRTK基地局の有効性について、研修会等を通じた周知や、基地局を利用するために必要となるシステム改修費を市独自に支援するなど、更にスマート農業の普及・拡大を加速化してまいります。

また、国では、持続可能な農業の実現に向けて「みどりの食料システム戦略」を策定し、環境負荷の低減と併せ、農業収益の向上を目指すとしており、本市においては、県や農業協同組合などと連携しながら、本市における環境負荷低減の検証を行い、環境と調和した農業生産への取り組みを更に進めてまいります。

本市農業の持続的な発展のためには、担い手の確保が大きな課題であると捉えております。このため、登米総合産業高等学校や宮城県農業大学校との連携を一層密にするとともに、移住・定住施策とも連携し、親元就農や雇用就農、新規参入など、新規就農者の掘り起こしに努め、就農前から定着に至るまで、切れ目のない支援を行い、認定新規就農者を含めた担い手の確保・育成に取り組んでまいります。

地域農業をけん引する認定農業者等の中心経営体においては、国や県の事業を積極的に活用することで、経営規模拡大や低コスト化、法人経営体への誘導を図りながら、経営基盤の強化を支援してまいります。

また、昨年5月の農業経営基盤強化促進法の改正により、市町村において、5年後、10年後における農地の担い手や農地利用の姿を明確化する、人・農地プランの地域計画の策定が義務付けられたことから、地域での話し合いに基づく地域計画の策定を進め、担い手への農地集積を推進してまいります。

農村環境の保全に関しては、国の多面的機能支払交付金制度を活用した取り組みを推進するとともに、環境保全型農業直接支払事業についても、国の「みどりの食料システム戦略」を効果的に活用しながら、更に取り組みを推進してまいります。昨年2月には、津山町沢田地区の棚田が、農林水産省の「つなぐ棚田遺産」に選定されたところでもあり、本取り組みを一つのモデルとして、本市農村の景観保全及び荒廃農地の発生防止・解消に努め、美しい農村景観を次世代へと引き継いでまいります。

次に、防疫対策についてでありますが、昨年11月の県内における高病原性鳥インフルエンザの発生や、本年1月には、市内においても野生イノシシの豚熱陽性が確認されたことから、養鶏及び養豚農家への消毒用消石灰の配布など、衛生管理支援を継続するとともに、県など関係機関と連携して防疫体制の強化を図ってまいります。

放射性物質に汚染された指定廃棄物については、昨年11月、早期処理促進に関する要請書を、議会とともに環境大臣へ直接提出したところであります。今後においても、早期解決に向け具体的な取り組みが進むよう、国への働きかけを継続してまいります。

林業振興に関しては、林業の川上である森林整備から、川下である木材供給までのサイクルをしっかりと回していくことが重要であり、このサイクルがカーボンニュートラルにもつながっていくものと捉えております。このため、森林環境譲与税を活用した取り組みとして、私有林の適切な森林整備を計画的に進め、森林が有する多面的機能の強化に努めるとともに、本市の新生児に市内産木製品を贈る、ファースト・ウッド推進事業を通じ、本市の豊かな森林の魅力を市民の皆様に伝えてまいります。

また、全国的に都市部における森林環境譲与税の使途が大きな課題となっていることを受け、本市森林・林業の取り組みを資源と捉え、森林環境譲与税を財源に、公共施設などへの国産材の活用を検討している都市部自治体に対し、私自身が先頭となり、本市認証材のPRを行うなど、市内産材の更なる需要拡大につなげてまいります。なお、市内産材の活用促進については、認証材を含め、市内産木材を活用した住宅等の新築、改修を促進するとともに、市内産木材が地元で消費される仕組みづくりを検討してまいります。

次に、商工業振興についてでありますが、市内中小企業・小規模企業者に対しては、経営の安定化に向けた新商品等の開発や販路開拓などを支援するとともに、商店街等が行う各種イベントを継続的に支援しながら、市内経済の活性化を図ってまいります。

企業誘致については、情報の収集・発信が非常に重要であると捉えており、県と連携を図りながら、東京、名古屋での企業立地セミナーや企業訪問などを通じて、企業立地奨励金や生活環境、雇用対策など、本市の投資環境の優位性をPRし、誘致へと結び付けてまいります。

観光振興に関しては、旅行の形態が個人旅行にシフトし、観光に求められるニーズも「モノ消費からコト消費への転換」や「滞在型・回遊型の広域化」など、多様化していることを踏まえ、これまでの市内観光関係者に加え、市内農林業者や企業等も含め、観光地域づくりの推進体制を強化してまいります。

また、コロナ禍で市内イベントの多くが長きにわたり中止となったことを踏まえ、主催団体等との協議の場を新たに設け、市内観光関係者の連携を一層強化し、観光誘客イベントや地域に根付いた伝統行事を再開へとつなげ、にぎわいを回復させてまいります。

近年、急速に注目度が増しているワーケーションについては、昨年度、連携協定を締結した首都圏の企業等に対し、登米市型のワーケーションスタイルを提案し、意見交換を重ねております。今後は、農家民泊の活用やキャンプ場におけるテレワークの導入など、仕事やアクティビティに取り組むことのできる環境を整備し、更なる交流人口の拡大を図ってまいります。

 

次に、健康なまちづくりについてであります。本市では、脳血管疾患による死亡率が高いことや、肥満の割合が高いことなどが健康課題として挙げられていることから、市民の皆様自らが健康に関心を持ち、運動の習慣化やバランスのとれた食事など、主体的に健康づくりに取り組むことができる環境づくりを更に進めてまいります。特に、脳血管疾患予防に向けた高血圧対策としては、健診時にナトリウム・カリウムの摂取バランス測定を継続するとともに、新たにハイリスクの方を対象とした個別相談を実施し、適塩を意識したバランスの良い食生活習慣を促してまいります。一方の肥満対策としては、食生活を含めた生活習慣の基礎が培われる幼児期に支援を行うことに重点を置き、令和5年度から新たに、幼児期の親子を対象とした「食事と運動の教室」を開催するなど、望ましい生活習慣の定着に向けた取り組みを進めてまいります。

高齢者を対象とした保健事業としては、本年度、加齢による心身虚弱、いわゆるフレイルのリスクの高い日常生活圏域のうち、1圏域を選定して健康状態が不明な高齢者の状態を把握し、その状態に応じた医療や介護など、必要なサービスにつなげる取り組みを進めてまいりました。さらに、同圏域において、介護予防事業と連携し、地域における「通いの場」であるミニデイサービスの中で、健康教育・健康相談を行い、高齢者のフレイル対策の強化に取り組んできたところであります。今後は、本年度の取り組みを検証しながら実施圏域を拡大し、地域における高齢者の健康課題の分析を行い、課題解決に向けた、きめ細かな保健事業を実施し、健康寿命の延伸を図ってまいります。

次に、高齢者福祉についてでありますが、高齢期における不安の一つに認知症が挙げられております。本市ではこれまで、認知症高齢者本人やその家族、地域住民、ケアマネジャーなどが交流し、相談や情報交換を行う認知症カフェの開催支援のほか、幅広い世代に認知症の正しい理解を広めるため、啓発活動や認知症サポーター養成講座を行ってまいりました。今後は、地域で認知症の啓発活動に協力いただく方を養成するため、認知症サポーターを対象とした、ステップアップ講座を開催し、認知症高齢者やその家族を地域で支える取り組みを進めてまいります。

また、地域における住民主体の介護予防活動の充実により、認知症予防につなげるとともに、本人や家族に対する適切な支援やサービスの提供に努め、認知症になっても本人の意思が尊重され、住み慣れた地域で暮らし続けられるよう取り組んでまいります。

家族の介護など、過度な負担が学生生活に影響を及ぼしているヤングケアラーへの対応としては、まずは周囲がその存在に気付くことが支援への第一歩と捉え、社会的認知度の向上に向けた取り組みや、相談窓口の周知を行っているところであります。今後においては、啓発活動や関係機関との連携を強化し、ヤングケアラーの早期把握に努めるとともに、本人の意思を尊重しながら、本来の子どもらしい生活が送れるよう、本人やその家族に対する支援やサービスの提供に努めてまいります。

次に、人権擁護の取り組みについてでありますが、長引くコロナ禍にあって、感染症に関連した偏見や差別が危惧されております。社会情勢の変化に伴い、価値観やライフスタイルが多様化する中、人権問題は社会の中のさまざまな分野に渡っており、人間の尊厳と自由、平等といった人権尊重の考え方について、あらゆる機会を通じ、啓発していくことが重要であると捉えております。特に、障がいをお持ちの方に対する理解の促進と差別の解消に向けて、家族セミナーや福祉サービス事業所への研修会を開催するほか、市内各企業等に対しても、リーフレットの配布等による理解啓発を進め、地域全体で障がい者を支える社会の気運醸成に努めてまいります。なお、若い世代に対しては、いじめ対策をはじめ道徳の授業などで、児童生徒の発達段階に応じた、自己や他者を共感的に理解する力を培うなどの人権教育の推進により、人権尊重の感覚を育んでまいります。

また、国立ハンセン病療養所東北新生園の所在地である本市としては、これまでの歴史や記録を後世に伝え、つないでいくことが責務であると捉え、関係機関と連携し、ハンセン病の歴史学習を行うなど、人権に関する理解を深めていくとともに、国に対し、入所者の意向を尊重しつつ、終生まで安心して暮らせる生活環境の整備や、歴史的価値を持つ建造物及び資料等を永久保存するよう要望してまいります。

今後においては、こうした多様化する人権課題に対し、市や市民の皆様、事業所等が協力して人権意識の高揚を図るため、条例の制定に向けた取り組みを進めてまいります。

さらに、本定期議会には、登米市犯罪被害者等支援条例案を提出しており、犯罪で被害を受けられた方などの生活の再建を後押しするとともに、二次的被害等を防止し、誰もが安全で安心して暮らすことのできる地域社会の実現を目指してまいります。

 

次に、効率的な行財政運営についてであります。本市では、財政の健全化に向けて、効率的で効果的な行政サービスの提供と、歳入に見合った歳出を基本とし、全庁一丸となって行財政改革に取り組んでいるところであります。今後は、令和6年度からの地方公会計制度の本格導入に向けて、市職員を対象とした研修会の開催や、予算科目を更に細分化した予算仕訳方式導入の準備を進め、財務書類で得られる数値等を基にした公共施設の更新・統廃合・長寿命化など、効果的な利活用が図られるよう、引き続き取り組んでまいります。

公共施設に関しては、米山地区における公共施設の複合化に取り組んでおり、持続可能な多世代交流拠点の整備に向け、基本構想を踏まえ、基本計画及び基本設計に取り組んでいるところであります。令和5年度においては、基本設計に基づき、施設整備に向けた実施設計に着手し、引き続き事業を推進してまいります。

歳入確保の取り組みとしては、本市ではこれまでも、市税徴収率の向上に取り組んでまいりましたが、行政課題解決のための財源として、市税収入の増加につながる取り組みが必要であると捉え、本年度から、法定外税の検討を進めているところであります。今後は、効果的な税目の導入となるよう、目的や使途、課税客体や税率など、具体的に検討を進めてまいります。

ふるさと応援寄附金については、新たなポータルサイトの増設や、体験型返礼品の開発など、返礼品の充実に取り組むとともに、本市を観光などで訪れた方が店舗等で寄附できる、店舗型のふるさと納税の導入に向けた取り組みを進め、更に本市の魅力を感じながら、その場で返礼品が受け取れる仕組みを検討するなど、多くの皆様に本市を応援したいと思っていただけるよう、企業版ふるさと納税も含め、取り組んでまいります。

ガバメントクラウドファンディングに関しては、本年度、長沼フートピア公園オランダ風車の災害復旧プロジェクトへの募集を行い、目標額には届かなかったものの、市内外から多くのご寄附をお寄せいただき、本市を応援してくださる皆様の想いを改めて実感したところであります。今後においても、地域課題の解決や活性化につながるような新たなプロジェクトを創出し、より多くの皆様に共感していただけるよう取り組んでまいります。

次に、デジタル化の推進についてでありますが、令和5年度においては、外部からデジタル人材を登用し、推進体制を構築するとともに、DX推進計画の策定並びに、スマート申請やオンライン手続き等、積極的にデジタル技術の導入を進め、市民の皆様が申請書類等を書かなくて済み、混雑がなく、各種手続きが簡単なスマート市役所を目指してまいります。

また、デジタル化の鍵となるマイナンバーカードは、その普及・利用の推進が、国のデジタル社会の実現に向けた重点計画の施策の一つとして掲げられており、今後、健康保険証・運転免許証との一体化による利活用の拡大や、スマートフォンへのマイナンバーカード機能の搭載など、利便性を高める取り組みが予定されております。今後は、国の動向や制度内容を、よりわかりやすく周知するとともに、申請サポート事業及び休日・時間外交付などの取り組みを更に強化し、市役所全庁を挙げて、マイナンバーカードの取得率向上を図ってまいります。

市政情報の発信に当たっては、LINE公式アカウントをリニューアルし、市民通報システムの統合や情報メニューの改善に取り組んできたところでありますが、今後、更に必要な情報を、必要な市民の皆様にお届けする情報発信機能の拡充や、問い合わせに対応する窓口機能としての活用など、コミュニケーションツールとしての機能強化を図り、市民ニーズに即した情報発信を推進してまいります。なお、市公式ホームページにあっては、市民の皆様にリアルタイムに市政情報を提供するとともに、広く本市の魅力を伝える情報発信ツールとして、情報量の充実を図り、知りたい情報にアクセスしやすく、わかりやすいホームページづくりに努めてまいります。

3.令和5年度の当初予算

次に、令和5年度予算の概要について申し上げます。令和5年度予算は、国の令和5年度地方財政対策や物価高騰、更には新型コロナウイルス感染症対策をはじめとしたさまざまな社会・経済情勢を踏まえ、編成したところであります。

令和5年度地方財政対策においては、一般財源総額において、前年度を上回る額が確保された一方、地方税収の増加見込み等に伴い、地方交付税と臨時財政対策債を合わせた総額が減額されたことを踏まえ、本市歳入においても、市税等を増額した一方で、地方交付税及び臨時財政対策債を減額して見込んだところであります。

歳出の面では、物価高騰や新型コロナウイルス感染症への対応が引き続き求められる中、社会保障関係費の増加はもとより、子育て支援やデジタル化・脱炭素化・地方創生の推進等に係る経費の増に加え、公共施設の光熱水費の高騰など、多額の財政需要が見込まれます。

こうした状況から、令和5年度の予算編成においては、歳入に見合った歳出を大原則としつつ、厳しい財政状況にあっても、将来のまちづくりを見据え、今やるべき施策には積極的に投資し、また、事業の必要性・有効性・効率性などを重視して配分したところでありますが、財政調整基金をはじめとする各種基金から多額の取り崩しをせざるを得ないなど、非常に厳しい予算編成となったところであります。

これにより、一般会計は439億7,872万3千円、特別会計は209億4,779万3千円、企業会計は174億6,635万8千円となり、総額では823億9,287万4千円となりました。

令和4年度当初予算と比較しますと、一般会計は0.9パーセントの増、特別会計は0.1パーセントの減、企業会計は3.6パーセントの増、予算全体では1.2パーセントの増となっております。

4.結びに

出口の見えなかった新型コロナウイルス感染症は、ワクチン接種の普及などにより、ようやく明るい兆しが感じられる状況となってきた矢先、ロシアによるウクライナ侵攻や円安などによる物価高騰の影響により、市民生活は依然として不透明な状況下にあります。こうした情勢の中、本市では昨年「登米市自然環境等と再生可能エネルギー発電事業との調和に関する条例」と「登米市子ども・子育て条例」を制定いたしました。本市の豊かな環境を守りながら、社会全体で子どもを育んでいく下地ができたものと捉えております。

本市は、頻発する災害や少子高齢化、厳しい財政運営などの課題に直面しておりますが、こうした課題に対する市の取り組みは、すべて人口減少対策につながっていくものと捉えております。間もなく迎える合併後20年の節目と更にその先に向けて、日々変化する社会情勢を的確に捉え、若い世代に大きな負担を残さないよう、本市にとって必要な施策を選択してまいります。

令和5年度においても、市民の皆様が主役であるとの認識の下、市民の皆様とともに、本市の将来像「あふれる笑顔 豊かな自然 住みたいまち とめ」の実現に向けて、未来につながるまちづくりの種をまき、そしてその芽となる施策を大切に育て、子どもから大人まで、誰もが希望と愛着の持てる、持続可能なまちづくりを進めてまいります。

市民の皆様並びに議員各位におかれましては、登米市の発展のため、格段のご理解とご協力、ご支援を賜りますようお願い申し上げ、施政方針といたします。

お問い合わせ

登米市まちづくり推進部まちづくり推進課

〒987-0511 登米市迫町佐沼字中江二丁目6番地1

電話番号:0220-22-2147

ファクス番号:0220-22-9164

メールアドレス:machizukuri@city.tome.miyagi.jp

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