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更新日:2024年2月2日

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令和2年度施政方針

本日ここに、令和2年登米市議会定例会2月定期議会が開会され、令和2年度一般会計予算案をはじめとする各議案のご審議をお願いするに当たり、私の市政運営に向けての所信の一端と主要施策の概要についてご説明申し上げます。

1.はじめに

昨年10月に発生した台風第19号は、全国に大きな被害をもたらし、本市においても死者や負傷者が出たほか、多くの住家や公共施設等が甚大な被害を受けました。被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
国による国土強靭化対策に並行し、市民の皆様の生命と財産を守るため、的確な災害対応の必要性を強く感じたところであります。
昨年は天皇陛下がご即位され、10月には即位礼正殿の儀をはじめとする各式典が行われ国民がこぞって祝意を表しました。令和という新しい時代を迎えた中、消費税率10パーセントへの引き上げによる増収分の一部を活用した幼児教育・保育の無償化がスタートし、今後の少子化対策に期待が持たれております。
また、令和2年度は、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催を通じた経済効果が期待されるとともに、雇用ニーズの高まりや消費活動の活発化などにより、地方創生の可能性も秘めております。
令和の新しい時代、本市にとっては人口減少や厳しい財政状況など、困難な課題に直面しておりますが、その先の未来を見据えながら私と全職員との結束力により、課題に真正面から立ち向っていく決意であります。

2.市政運営の重点施策

平成29年4月の市長就任から本年は4年目となります。
これまでの市政運営につきましては、所信表明で掲げました「人口減少対策」「産業振興」「地域医療の充実」「教育振興」「健康なまちづくり」「安全安心に暮らせるまちづくり」「効率的な行財政運営」の7つの重点施策を推進してまいりました。
この重点施策の取組こそが私の市政運営における基本姿勢ではありますが、私が理想とするまちづくりはまだ道半ばであると感じており、仙台や東京への人口集中の影響などによって、本市の人口減少も進行し、重点施策の更なる推進が求められています。
また、本市の財政は、ますます厳しさが増していく状況であり、限られた財源を有効に活用し、持続可能な財政運営の確立に向け、取り組んできたところであります。
今後においても初心を忘れず、常に市民が主役の「地域の歴史、伝統、文化を大切にした特色のあるまち」「次世代を担う若者たちが集い、地域がふれあい、笑顔のあふれるまち」の実現のため、引き続き7つの重点施策に取り組んでまいりますが、令和2年度については「安心と改革」をテーマに掲げ、重点施策のうち、特に「地域医療の充実」「教育振興」「効率的な行財政運営」を強力に推し進めるため、次の3つの改革を行ってまいります。

1つ目は、病院改革であります。
病院改革につきましては、地域の中核的な病院である登米市民病院に一般急性期医療を集約し、米谷病院と豊里病院は回復期と慢性期医療を担う病院とし、それぞれの病院が病態に応じた病床機能を持ち、役割分担することで、一般急性期から回復期・慢性期まで市内で対応できる医療提供体制の構築を図るとともに、入院患者数の動向と看護師数の配置基準を考慮し、登米市民病院は許可病床数を258床から198床に、豊里病院は許可病床数を99床から90床へのダウンサイジングにも取り組んでまいります。
さらに、現在の3病院体制のあり方について、米谷病院及び豊里病院の分院化も含め、抜本的な見直しの検討を行ってまいります。
診療所につきましては、現在の体制を継続することは困難なため、上沼診療所のみを継続し、津山・登米・よねやま診療所については、公設民営など民間活力の導入に取り組んでまいります。
訪問看護ステーションにつきましては、利用者の動向や効率的なサービスを提供するため、現在の1本部4サテライト体制を見直しながら、訪問看護や訪問リハビリの提供体制の効率化と収支改善を図ってまいります。
病院事業の非公務員型の地方独立行政法人への移行につきましては、先進事例等から移行による効果はあるものの、課題は病院事業の財務状況であると捉えております。
病院事業の財務状況につきましては、資金不足が発生し債務超過という状況にあり、地方独立行政法人移行の条件である債務超過解消のためには、市が全てを負担しなければならず、その負担も多額になると見込まれます。このことを、今後見込まれる市の財政状況と照らし合わせると、地方独立行政法人への移行は現時点では厳しいと判断せざるを得ないもので、当面は現行の地方公営企業法全部適用の経営形態により、病院事業の経営改善を最優先に進めながら、望ましい経営形態のあり方について検証してまいります。
国では、昨年9月に全国の公立・公的医療機関のうち、診療実績等から再編・統合の議論が必要と判断した424の病院名を公表し、地域医療構想の実現に向けた取組とともに、医療従事者の働き方改革、医師偏在対策を三位一体で改革するとしています。こうした動向も踏まえ、病院事業中長期計画の見直しについては、医師確保対策や経営の効率化、再編・ネットワーク化などの病院事業の改革に向けた具体的な取組内容を計画に盛り込み、本年9月の策定に向け進めてまいります。
また、経営改革を進めるためには、職員の意識改革も重要であることから、病院事業の厳しい経営状況について、職員一人一人が認識し、経営改善に向けた共通認識と合意形成を図り、医療スタッフを含めた全部署において目標設定を行いながら、経営改善に向けた病院改革に職員一丸となり取り組んでまいります。

2つ目は、教育改革であります。
教育改革につきましては、重要課題である学力向上のための学校教育支援体制の見直しと、魅力ある教育環境づくりのための学校再編の推進を、本市の教育改革と位置付けて取り組んでまいります。
学校教育支援体制の見直しにつきましては、本市の教育課題である学力向上対策において、専門的かつ学校現場重視の取組を行うため、教育研究所等の組織体制を見直し、新たに(仮称)登米市教育支援センターを創設いたします。
(仮称)登米市教育支援センターには、新たに主任指導主事を所長として配置するほか、市内小中学校の授業力・指導力の高い中核となる教員十数名を学力向上研究員として委嘱し、学校現場での支援を強化いたします。
また、新学習指導要領が求める「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」を学校現場に出向いて行うことで、教職員の資質向上と授業力の向上を図ることにより、質の高い授業による学力向上を目指してまいります。
学校再編につきましては、学校再編準備委員会において、保護者、地域、教育委員会の3者で合意形成を図り、地域の実情を踏まえて地域別再編実施計画を策定してまいります。
前期計画に位置付ける4地域のうち、津山、米山両地域について、統合校舎の施設改修の事前調査等に着手するとともに、統合後の新たな学校運営を検討する(仮称)再編開校準備委員会の設置に着手し、他の2地域についても取組を進めてまいります。
また、中学校全体の再編方針案を保護者や地域の皆様にお示しし、ご理解をいただきながら早期に再編が必要となる地域から取り組んでまいります。

3つ目は、行財政改革であります。
行財政改革につきましては、効率的で効果的な行政サービスの提供と財政健全化の両立を目指すため、本年度策定した財政健全化中期行動計画に掲げる取組を着実に実行するとともに、今後の行財政改革の方向性を示す、第4次登米市行財政改革大綱の策定を進めてまいります。
行政組織につきましては、合併以降、骨格部分の変更を行ってこなかったところでありますが、類似・重複する事務事業を市民の皆様の利便性の向上や行財政改革の視点に立って整理統合するなど、令和2年度から大きく再編することとしました。市民の皆様にとって分かりやすく、効率的で課題解決力の向上が図られる組織を目指してまいります。
また、地方分権に伴う自治体への権限移譲や市民ニーズの多様化・複雑化などにより、業務量が年々増加していることから、事務事業の見直しやアウトソーシング、ICT活用の視点を併せ持ちながら、市民サービスの向上に係る課題の抽出と事業立案を速やかに展開できる体制を整えてまいります。
公共施設等総合管理計画につきましては、本年度中に学校施設関連を除いた個別計画を策定することとしており、保有総延床面積25パーセントの削減と併せ、施設の維持管理費削減に向けて、包括施設管理の推進や省エネ設備機器の導入、予防保全型の修繕・改修等に取り組むことで、将来の財政負担の軽減・平準化に努めてまいります。
また、民間の創意工夫等を活かした公民連携による登米市らしい持続可能なまちづくりの実現を目指し、公民連携地域プラットフォームによる公共施設の再生・創生についても可能性を検証しながら取り組んでまいります。
こうした3つの改革の取組により、市政発展・住民福祉の向上・市民生活の安全安心に向けたまちづくりを推進してまいりますが、これらの改革と並行し、平成30年度に実施した立地適正化計画基礎調査の結果を踏まえ、空洞化やスポンジ化により活力が失われつつある中心市街地の活性化に向けた課題の整理と老朽化した市民病院、庁舎、図書館、公民館などの公共施設の再編を含め、コンパクトシティ・プラス・ネットワークの理念の下、人口減少に対応した将来のまちづくりのあり方について具体的な検討に着手してまいります。

次に、所信表明で掲げましたそのほかの重点施策の取組について申し上げます。

はじめに、人口減少対策についてでありますが、移住・定住対策は人口減少対策における重要な取組であることから、首都圏で開催される移住フェア等で本市の魅力をPRするとともに、令和2年度においては、共通の文化や課題を有する県際の4市町連携による移住セミナーを開催するなど、移住希望者に対して効果的な情報の発信に努めてまいります。
子育て支援につきましては、令和2年度から6年度までを計画期間とする第二期登米市子ども・子育て支援事業計画に基づき、教育・保育の必要な量を定め、保育の受け皿を確保するとともに、質の高い教育・保育を安定的に提供していくため、人材の確保及び保育士の資質の向上を図るなど、子育て支援事業を総合的かつ計画的に推進してまいります。
また、認定こども園の整備については、引き続き教育・保育の一体的な提供を推進するため、市立幼稚園・保育所再編方針に基づいた整備を進め、本年4月に開園する「つやま杉の子こども園」をはじめ、令和3年4月の公設公営による「豊里こども園」、民設民営による「石越こども園」を順次開園する計画で取り組むとともに、民間事業者の独自の認定こども園への移行に際しても支援してまいります。
若者の交流・出会いの場の機会創出につきましては、若者交流活性化会議の開催により、本市の活性化に向けた新たな課題の検討と掘り起こしを行い、若者の新鮮な発想で地域活性化につながる方策を検討してまいります。
また、新たな取組である青年交流事業については、青年層の交流やつながりの創出に努め、新たなまちづくりのリーダーを育成し、若者目線の魅力あるまちづくりを目指してまいります。
未婚化・晩婚化への対応につきましては、結婚の意思はあるものの、新たな出会いの場が少ない独身男女を対象とした出会いイベントの開催や結婚に関する相談、啓発事業等の結婚支援事業に取り組んでまいります。
また、同じ課題を抱える近隣自治体と連携した広域的な結婚支援事業に引き続き取り組むことで、広域的な出会いの場を提供してまいります。

次に、産業振興についてでありますが、担い手の高齢化や人手不足などの課題を解消し、農業従事者の軽労化、農作物の効率的な生産を図るため、スマート農業の導入を推進してまいります。
農業振興につきましては、農家経営の安定を図るため、関係機関と連携して収入保険制度などへの加入を推進するとともに、米の需給調整に引き続き取り組み、土地利用型の転作作物である麦、大豆、飼料作物等の生産拡大を推進してまいります。
また、多収系品種の米を活用した海外市場の開拓や需要が高まっている業務用に対応した米の生産など、登米市産米の需要の拡大に取り組んでまいります。
畜産振興につきましては、畜産農家においても後継者対策が大きな課題となっていることから、国の施策も活用し、繁殖農家及び肥育農家の収益性の向上に向けた生産コストの削減や新規就農、規模拡大などによる生産基盤整備の支援を行うとともに、全国和牛能力共進会鹿児島大会に向けた人づくりを推進し、本市の和牛生産技術の更なる向上により、仙台牛の主産地としての知名度アップを図ってまいります。
また、豚コレラについては、国内でも広がりを見せているため、感染防止に向けて畜産農家に対し、関係機関とともに施設の徹底した衛生管理指導を行ってまいります。
林業振興につきましては、令和元年度から施行された森林経営管理制度の運用により、意向調査の本格実施を行い、市内の適切な森林管理を促進するほか、東北工業大学との連携や地域おこし協力隊の活動を活かしながら、木工芸の持続的発展に向けた取組を進めるとともに、県内で唯一、本市が選定された林業成長産業化地域構想に基づき、低コスト林業を推進し、認証材の増産や木材加工流通体制の整備に取り組んでまいります。
商業振興につきましては、商工観光振興計画の見直しを図り、本市のにぎわい創出と地域経済の振興に向けた取組を進めるほか、事業承継対策を強力に推進するなど、中小企業者への経営支援を行ってまいります。
観光振興につきましては、本年度中に開設する宮城オルレ登米コースを活かし、訪日外国人観光客数を含めた交流人口の拡大を進めるとともに、本市の魅力ある地域資源の活用を図るため、県、近隣自治体及び旅行業者等との連携を一層強化しながら、観光地域づくりの受け皿となるDMOの取組についても調査・研究を進めてまいります。
企業誘致につきましては、県の企業誘致関連部署や金融機関等と更なる連携強化を図り、私自身のトップセールスを含め企業誘致活動を展開していくとともに、ICTを活用したサービス産業やクリエイティブ産業など、新たな産業の創出にも取り組んでまいります。

次に、健康なまちづくりについてでありますが、市民が生涯を通じて安全、安心に暮らしていくためには、自らの健康に関心を持ち、主体的に健康づくりに取り組むことができる環境整備が重要であることから、健康づくりの方向性をより一層見える形にし、市民一人一人の健康づくりに地域ぐるみで取り組めるよう、先日開催したフォーラムにおいて、「元気とめ健康づくり宣言」を行ったところであります。
宣言では、「適度な運動の習慣」「適塩やバランスのとれた食生活」「受動喫煙の防止や禁煙」などの具体的な7つの行動目標を掲げ、市民の皆様の身近なところでのきめ細かな啓発をはじめ、食生活改善推進員や保健活動推進員などの地区組織、団体、企業等とこれまで以上に連携を図り、健康なまちづくりの実現に努めてまいります。
また、本市は生活習慣病等へのリスクが大きいとされる肥満の割合が児童・成人ともに県や全国と比べて高い状況にあることから、学校やPTA、食生活改善推進員などの地区組織と連携し、子どもの頃から健全な食生活と生活習慣を実践できる取組を進めてまいります。
さらに、脳血管疾患や心疾患による死亡率が全国と比べ高い状況にあることから、その原因の一つである血圧値に着目し、尿中ナトリウム、カリウムの摂取バランス測定を継続することで、適塩や野菜摂取アップなどの健全な食生活や生活習慣の定着を目指してまいります。

最後に、安全安心に暮らせるまちづくりについてでありますが、近年の多種多様化する災害に迅速かつ的確に対応するため、台風第19号の対応を通して得た教訓を活かし、災害の種類と被害想定に応じて柔軟な体制を構築できるようにするとともに、防災力向上を目指し実践的な防災訓練を実施するなど、防災・危機管理体制の強化に努めてまいります。
また、消防団への加入を促進して自主防災組織と連携した地域防災力の強化を図るほか、救命率の向上を目指し医療機関等との連携及び搬送体制の充実に努めてまいります。
情報伝達手段の整備につきましては、コミュニティエフエムを活用した緊急告知ラジオを市内全世帯へ設置し、屋内の防災情報伝達手段の充実に取り組んでまいりましたが、令和2年度においては屋外での情報伝達手段として、防災行政無線に代えてコミュニティエフエムの周波数を利用した緊急告知放送設備の整備を進めてまいります。
治水対策につきましては、防災・減災へ向けて国や県が行う河川改修事業の早期整備に伴う要望活動を継続して行ってまいります。特に、台風第19号により大きな被害をもたらした南沢川などの整備促進について、強く働きかけてまいります。
また、豪雨時に道路冠水が頻発している迫町大東地区の雨水排水対策については、被害の軽減や市民の不安解消を図るため、長沼川放水路への排水函渠工事の早期完了を目指し、安心して暮らせる環境を築いてまいります。
道路整備につきましては、中心市街地の外郭を形成する環状道路として位置付ける石打坂・西舘線、鴻ノ木・薬師島線について、中心市街地の渋滞緩和と歩行者の安全・安心な通行を確保するため、車道の二車線化及び歩道の早期完成に向けて整備を進めてまいります。

3.基本施策

次に、本市のまちづくりの指針である第二次登米市総合計画の
5つの基本政策ごとに主な施策をご説明申し上げます。
令和2年度は、第二次登米市総合計画の見直しと、新たなまち・ひと・しごと創生総合戦略の策定に取り組むこととしております。本市の現状と課題をしっかりと捉え、将来像の「あふれる笑顔 豊かな自然 住みたいまち とめ」の実現を目指してまいります。

はじめに、基本政策1の生きる力と創造力を養い自ら学び人が「そだつ」まちづくりについてであります。
本年は、東京2020オリンピック・パラリンピックが開催されるため、これを契機にスポーツへの関心が高まることから、各種スポーツ事業への参加やスポーツ少年団への加入促進など、市民がスポーツを始めるきっかけや習慣づくりなどにつながるよう、スポーツ活動の推進に努めてまいります。
また、ポーランドボートチームが本市における事前合宿を通じて、東京オリンピックでのメダルを獲得できるよう、オール登米市でサポートしていくとともに、パラリンピックの事前合宿の受入れに取り組むほか、大会開催後においても、文化、経済、スポーツ分野での友好的な交流機会の創出に努めてまいります。
長沼ボート場につきましては、優れた環境をPRしながら競技団体との連携により、大学や実業団等の強化合宿、全国規模のボート競技大会の招致を進め、更なる交流人口の拡大に取り組んでまいります。
市民への学習機会の提供につきましては、放送等を活用した大学教育を身近で受講したり、放送授業をDVD教材で学習したりすることにより、大学卒業資格の取得のほか、キャリアアップや生涯学習、資格取得など、目的に応じた学びが可能な放送大学のサテライト的施設である視聴学習室の設置を進めてまいります。
妊産婦への支援につきましては、妊婦同士の交流や情報提供の場としての妊婦教室を実施し、出産後には新生児訪問、赤ちゃんサロンなどを行い、顔の見える関係の中で、安心して産み育てる環境の整備を図るとともに、母子に対しては心身のケアや育児をサポートするための産後ケア事業を実施し、産後も安心して子育てできる支援体制の充実に努めてまいります。
在宅の子育て家庭への支援につきましては、一時保育事業をこれまでの保育所での実施に加え、新たに南方子育てサポートセンターで実施するなど、事業の充実を図ってまいります。
要保護児童対策につきましては、児童虐待の早期発見、適切な保護及び支援を図るため、相談対応技術の向上に努めるほか、関係機関の適切な連携の下、情報や考え方を共有し、要保護児童の支援を行ってまいります。
学校教育につきましては、3年間の秋田県能代市との連携による学力向上の取組の成果が表れてきていることから、本年度策定した児童生徒が主体的に学ぶ授業づくりのための登米市学習スタンダードを全小中学校で実践することにより、引き続き教職員の授業力向上及び資質向上を図るとともに、児童生徒の学力向上を目指してまいります。
また、ICTの積極的な活用を促進するほか、小学3年生からの外国語活動に対応するため、増員した外国語指導助手を派遣して授業を補助することにより、英語に親しみを感じられる授業づくりを行うなど、グローバル化に対応できる児童生徒の育成に取り組んでまいります。
不登校対策につきましては、適応指導教室のけやき教室と個別支援を行う心のケアハウスを一体的組織として再編し、更なる連携強化を図ることで、多様な対応が必要な不登校児童生徒への支援に取り組んでまいります。
文化財の保護・継承につきましては、地域伝承文化振興方策に基づき、本市の風土が育み、先人が守り伝えてきた無形民俗文化財について、体感・参加する機会を提供し、伝承活動への様々な関わりを創出することで、担い手の育成を図ってまいります。
市内の伝統行事や民俗芸能につきましては、ユネスコ無形文化遺産に登録された米川の水かぶり、ヨーロッパ公演で海外に魅力を発信した上町法印神楽などの行事内容や演目を常に動画で情報提供することにより、多くの方に魅力を伝え、世界が認める文化遺産を受け継いできた誇りを醸成するなど、地域の魅力向上に取り組んでまいります。
また、米川の水かぶりについては、11自治体で構成する来訪神行事保存・振興全国協議会において、各行事を説明するガイドブックの作成・配布を行い、来訪神行事の周知を進めるとともに、東北の4行事についても連携を密にして振興を図ってまいります。

次に、基本政策2の安全安心な暮らしが支える笑顔で健康に「いきる」まちづくりについてであります。
病院事業につきましては、新臨床研修医制度への対応の遅れなどから、常勤医師の減少が続いており、医師確保の仕組みづくりとして、地域の中核的な病院である登米市民病院において、基幹型臨床研修病院の令和2年度の指定に向け、東北大学や東北医科薬科大学などから協力をいただくとともに、開業医との連携強化を図りながら、指定に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。
また、登米市立病院等の機能に応じた医療を担うべく、開業医との連携をなお一層図るとともに、高度急性期医療は石巻赤十字病院や大崎市民病院に付託し、一般急性期及び回復期に至った患者さんの受入れなど、連携強化に取り組んでまいります。
産科・小児科医の招へいにつきましては、県内の医師不足の状況から、3次医療機関に医師が集約されるなど、現状では非常に困難な状況となっておりますが、これまでの医師確保に向けた取組により、新たに2名の小児科医師に登米市民病院の常勤医師として着任いただき、昨年12月からは平日の月曜日・水曜日の小児救急診療も開始しております。
産科につきましては、県北地域による産科セミオープンシステムにより、大崎市民病院や石巻赤十字病院と連携し、産科医療を提供しており、今後も更に連携を強化するとともに、産科・小児科医の招へいについて開業医の招へいも含めて継続的に取り組んでまいります。
高齢者福祉につきましては、住み慣れた地域で自立した生活ができるよう、配食サービスなどの在宅生活の支援や認知症の疑いがある高齢者やその家族への支援を行い、在宅でも安心して生活していくための取組を進めるとともに、心身機能の維持・向上などを促すため、ミニデイサービス・シニアサロンなどの集いの場において、介護予防体操を普及・啓発するなど、介護予防の充実を図ってまいります。
障がい者福祉につきましては、障がいを持つ方が住み慣れた地域で安心して日常生活や社会参加を行えるよう、障がいの特性やニーズに応じた適切な介護・訓練支援、就労支援等の福祉サービスの提供を図ってまいります。

次に、基本政策3の地域資源を活かし魅力ある元気な産業を「つくる」まちづくりについてであります。
産地の魅力向上と農畜産物の消費拡大につきましては、本市が誇る食材、食文化を重要な地域資源として位置付け、首都圏・仙台圏のホテルや飲食店、料理学校等と連携を深め、生産者と料理人のつながりにより、食材への評価や販路拡大、交流人口の増加等の好循環が生まれる取組を推進してまいります。
また、日本貿易振興機構などの関係機関との連携により、海外輸出など販路の拡大を目指す事業者への積極的な支援や、学校給食における市内産の農畜産物の利用促進に努めるほか、観音寺セリをはじめとする伝統野菜の保存や活用など、地産地消や食育につながる取組を継続して推進してまいります。
起業・創業の支援につきましては、創業支援機関や連携協定を締結している学術機関、金融機関を含めた産学金官連携を推進し、本市の産業振興を担う起業家人材の掘り起こしや積極的な支援を行い、地域に根差した新たな産業の育成に努めるほか、昨年10月に産業経済部内へ設置したビジネスサポートセンターの活用や産業支援機関との連携により、積極的な情報提供と、きめ細かな相談対応に取り組んでまいります。
また、時間や場所にとらわれない、新しい働き方を実践するために必要なシェアオフィス等の環境づくりについても調査・検討を進めてまいります。
農業農村整備につきましては、農業用水利施設の機能維持や長寿命化対策により、施設の適切な維持管理に努めるほか、多面的機能支払交付金を活用し、集落等の農地維持や地域資源の保全活動を継続して支援してまいります。
工業振興につきましては、長沼第二工業団地や登米インター工業団地への早期企業立地に向け、大阪府や愛知県方面の自動車関連企業を中心に、更に密度を上げた企業訪問による情報収集に努めるとともに、首都圏で開催される商談会での工業団地等の情報発信に継続して取り組み、積極的に本市への企業立地を促進してまいります。
雇用対策につきましては、早い段階から地元の企業を知ってもらうため、高校生向け市内企業ガイドブックを市内外の高校に配布するほか、地元高校生や保護者、一般求職者、UIJターン者などを対象とした就職ガイダンスを開催し、市内企業の情報を広く発信することで、人材の確保と若者の地元定着への促進につなげてまいります。

次に、基本政策4の自然と生活環境が調和し人が快適に「くらす」まちづくりについてであります。
下水道事業につきましては、本年4月に地方公営企業法の全部を適用し、企業会計による経営の見える化を図るとともに、水道事業との組織統合を行い、効率的な事業運営を行うほか、これまで整備した施設の運用と今後の需要見通しの検討に着手し、健全で持続可能な下水道経営を目指してまいります。
水道事業につきましては、将来にわたり安全な水道水を安定的に供給できるよう、基幹浄水場である保呂羽浄水場の再構築について、官民連携方式での実施に向けた検討を行うほか、基幹管路の老朽管更新事業に引き続き取り組み、耐震化の向上を図るなど、水道の基盤の強化に努めてまいります。
環境施策につきましては、新クリーンセンターが昨年12月に供用開始したことにより、安全性や環境保全性、経済性等を考慮しながら適切な維持管理に努めるとともに、旧クリーンセンターの延長稼働により、台風被害で発生した災害廃棄物の処理を開始するなど、生活環境保全等に配慮しながら、引き続き本市を含めた県内の災害廃棄物処理の促進を図ってまいります。
また、宮城県との連携により、長沼周辺の環境整備に関する課題や方向性について継続した検討を進め、具体的な長沼の環境プロジェクトに取り組むなど、湖沼の環境や景観の向上に努めてまいります。
市民バスにつきましては、本市における一体的な公共交通ネットワークの実現のため、中心市街地の商業施設等を循環する中心市街地循環線を新設するとともに、既存路線の時刻の見直しを行うほか、日頃、市民バスを利用しない方に市民バスの無料乗車券を配布して試乗いただく取組を行うなど、市民の皆様の日常生活を支える移動手段の利便性向上と利用促進に努めてまいります。
また、これまで東和町米川地区のみで運行されておりましたデマンド型乗合タクシーにつきましては、交通不便地域における地域内移動の手段として、効果的で効率的な運行が可能となることから、市民との連携・協働の下、コミュニティ組織が運営主体となるデマンド型乗合タクシー実証運行事業を実施することとし、要望のあった市内4地区において実証運行に取り組んでまいります。
道路や橋梁につきましては、市民の安全・安心を確保するため、点検や修繕のサイクルを構築し、計画的な修繕の実施による適切な維持管理に努めてまいります。

最後に、基本政策5の市民と行政が「ともに」創る協働によるまちづくりについてであります。
市政への市民参加の推進につきましては、市長へのメールや提言箱、移動市長室、市政モニター制度などの広聴活動を通じて市民との情報共有を図ることにより、市民ニーズや地域の課題を把握し、より多くの意見や要望をまちづくりに反映させてまいります。
協働によるまちづくりにつきましては、地域でできることは地域で解決することを基本とし、市民と行政がお互いに協力して地域づくりに取り組むことが重要であることから、協働のパートナーであるコミュニティ組織との連携により、持続可能なまちづくりに取り組んでまいります。
また、NPO法人や市民活動団体への支援については、とめ市民活動プラザを中心として、各種団体の情報共有や交流を広げる取組、各種講座等を開催し、スキル向上や人材育成に努めてまいります。
男女共同参画社会の推進につきましては、男女とも家庭と仕事が両立できる環境づくりを進めるため、市民と企業を対象としたワーク・ライフ・バランス研修会を開催するなど、仕事と生活の調和の実現に向けた取組を推進してまいります。
総合支所につきましては、市民の皆様にとって最も身近な行政窓口であることから、地域づくり検討会議での意見や検討内容を参考とし、地域づくりの拠り所としての機能を発揮できるよう、地域の特性を活かした地域づくりの推進に努めてまいります。
定型的な業務におけるRPAの導入につきましては、本年度に実証実験として4つの業務のロボットを作成し効果が見込まれたことから、税・福祉業務などに拡大するとともに、引き続き業務の効率化に向けた環境整備を検討してまいります。
ふるさと応援寄附金につきましては、本市の貴重な収入源となっていることから、時代の変化に応じた返礼品の充実を図るとともに、地域の魅力を寄附者へ適切に伝え、まちづくりや人にも共感をもっていただき、応援したいと思われるような仕組みづくりに努めてまいります。
自主財源の確保と負担の公平・平等性を確保するため、第4次市税等収納向上計画に基づき、滞納処分の強化や収納率の更なる向上に努め、滞納額の縮減を目指してまいります。
施設の使用料・手数料等につきましては、市民負担の公平性の観点から、市民の受益と負担のあり方や減免制度も含めた見直し方針を策定し、全庁的な見直しに取り組んでまいります。
これら5つの基本政策を推進するに当たりましては、国連サミットで採択された持続可能な開発目標であるSDGsを念頭に置きながら、課題解決に向けた取組を積極的に行うことで、本市のまちづくりの基本理念である協働による登米市の持続的な発展を目指してまいります。

4.令和2年度の当初予算

以上、申し上げてまいりました重点施策及び基本施策を遂行するため、令和2年度の当初予算は、一般会計440億696万5千円、特別会計197億5,809万7千円、企業会計170億6,827万2千円、総額では、808億3,333万4千円となりました。
予算全体では、前年度当初予算比で5.2パーセントの減、一般会計は6.4パーセントの減、特別会計は18.5パーセントの減、公営企業会計は22.3パーセントの増となっております。
本市の財政を見通しますと、歳入の柱である市税収入は、人口減少とそれに伴う経済・産業活動の縮小などの影響により、今後も大きな伸びは期待できず、令和3年度からの普通交付税一本算定による大幅な減額など、これまで以上に一般財源の確保が難しくなることが確実に見込まれており、今後の財政運営につきましても、自治体財政の生命線である財政調整基金からの繰り入れに頼らざるを得ない厳しい状況が想定されます。
歳出面におきましては、少子高齢化の急速な進展による社会保障関係経費や子育て支援の各種施策に係る経費の増嵩が想定される中、近年実施した公共施設の整備に係る市債の元金償還が一斉に開始され、更に病院事業や下水道事業などへの繰出金や老朽化した公共施設の維持管理費などにおいて、今後も多額の財政需要が見込まれます。
このような状況の中、令和2年度の予算編成に当たりましては、引き続き財源不足が想定されることから、財政健全化基本指針と長期財政計画の下、適正な財政規模への移行に向けた取組を一層推進するとともに、財政健全化中期行動計画で示す方針に基づき、全職員が財政健全化に向けて一丸となって取組を進めるなど、第二次登米市総合計画に掲げた政策目標の実現に向け、より一層の事業の選択と集中による施策の展開を目指し、限られた財源を効果的・効率的に配分したところでありますが、財政調整基金をはじめとする各種基金から多額の繰り入れを行うなど、非常に厳しい予算編成となったところであります。

5.結びに

登米市の誕生から16年目を迎え、本市のまちづくりの運営やあり方が市民の皆様から問われております。
本市の財政は、今後も厳しい状況が続いてまいりますが、どんなに厳しくとも、市民が求める安心して住み続けられる登米市を創造するため、令和2年度は先に述べた改革を実行し、安定した市民サービスを持続的に提供するための「改革元年」としたいと考えております。
市政の舵取りを担わせていただいてから、1期4年目を迎えようとしておりますが、これまでの施策の成果を次につなげ、私自身も使命感、覚悟をしっかりと持ち、全職員と心を一つにして、全身全霊で市政運営に取り組んでまいる決意であります。
市民の皆様並びに議員各位におかれましては、登米市の発展のため、格段のご理解とご協力、ご支援を賜りますようお願い申し上げ、施政方針といたします。

お問い合わせ

登米市まちづくり推進部まちづくり推進課

〒987-0511 登米市迫町佐沼字中江二丁目6番地1

電話番号:0220-22-2147

ファクス番号:0220-22-9164

メールアドレス:machizukuri@city.tome.miyagi.jp

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