更新日:2025年3月19日
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1873年にノルウェーのハンセン氏によって発見された感染力の極めて弱い菌であり、免疫抵抗力の弱い幼児期に感染すれば発病の可能性もありますが、成人での発病の可能性は極めて少ないといわれています。ハンセン病のかつての病名は「らい」でした。長い間、人びとは「らい」に対して偏見と差別があったため、正しい認識をもってほしいという願いから、らい菌の発見者ノルウェーの医学者ハンセン博士の名をとってハンセン病と改められました。
ハンセン病は、その症状が皮膚の表面にあらわれることが多く、変形や機能障害を残すため不治の病や遺伝病と誤解され、長い間、入所者やその家族が社会の偏見に苦しめられました。
政府は1907年(明治40年)、「らい予防に関する件」という法律を制定し、「放浪らい」を療養所に入所させ、一般社会から隔離してしまいました。この法律は患者救済も図ろうとするものでしたが、これによりハンセン病は伝染力が強いという間違った考えが広まり、偏見を大きくしたといわれています。
1929年(昭和4年)には、各県が競ってハンセン病患者を見つけだし、強制的に入所させるという「無らい県運動」が全国的に進められました。
さらに、1931年(昭和6年)には従来の法律を改正して「らい予防法」を成立させ、強制隔離によるハンセン病絶滅政策という考えのもと、在宅の患者も療養所へ強制的に入所させるようにしました。こうして全国に国立療養所を配置し、すべての患者を入所させる体制が作られました。
入所者たちは、自分たちは犯罪者ではなく病人であり、もうすぐ治るはずだ、このような状況は改善されるべきだと考えていました。そして1951年(昭和26年)、全国国立らい療養所患者協議会(全患協)をつくり、法の改正を政府に要求していきますが、1953年(昭和28年)、患者たちの猛反対を押し切って「らい予防法」が成立しました。
この法律の存在が世間のハンセン病に対する偏見や差別をより一層助長したといわれ、患者はもとよりその家族も結婚や就職をこばまれるなど、偏見や差別は一向になくなりませんでした。また、ハンセン病であることを隠して療養所の外で暮らしていた方々も、差別を恐れ、また、適切な医療を受けられないなど大変な苦労をしました。
1996年(平成8年)になってようやく「らい予防法」は廃止されましたが、入所者は、既にみな高齢(平均年齢76.0歳(平成15年5月当時))となっており、後遺症による重い身体障害を持っている人もいます。また、未だに社会における偏見・差別が残っていることもあり、療養所の外で暮らすことに不安があり、安心して退所することができないという人もいます。
らい菌は、結核菌に似た細菌ですが、結核菌よりもはるかに感染力が弱いので、らい菌に対する抵抗力の弱い状態で、くりかえしたくさんの菌に接触しなければほとんど感染することはなく、感染しても発病するのはごく一部の人に過ぎません。
明治以来、ハンセン病の療養所で働いていた職員でハンセン病になった人は一人もなく、感染しにくい病気と実証されています。
現在は治療法が確立されて、ハンセン病は、早期発見と早期治療により、障害を残すことなく、外来治療によって完治する病気となりました。
ハンセン病は、遺伝病ではありません。伝染力の極めて弱い病原菌による慢性の感染症です。菌は治療により数日で伝染性を失ない、軽快した患者と接触しても感染することはありません。
令和元年(2019年)11月15日に、議員立法により「ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律(令和元年法律第55号。以下「法」という。)」が成立し、同年11月22日に公布・施行されました。
また、令和6年(2024年)6月12日に、議員立法により「ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律の一部を改正する法律」が成立し、同年6月19日に公布・施行され、補償金の請求期限が令和11年(2029年)11月21日まで延長されました。
法の前文では、ハンセン病の隔離政策の下、ハンセン病元患者家族等が、偏見と差別の中で、ハンセン病元患者との間で望んでいた家族関係を形成することが困難になる等長年にわたり多大の苦痛と苦難を強いられてきたにもかかわらず、その問題の重大性が認識されず、これに対する取り組みがなされてこなかった、その悲惨な事実を悔悟と反省の念を込めて深刻に受け止め、深くおわびする旨が述べられています。
法に基づき、対象となるハンセン病元患者の御家族の方々に補償金を支給いたします。
【参考文献】厚生労働省・宮城県・東北新生園ホームページ
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