ホーム > 市政情報 > 登米(とめ)市の概要 > 市長の部屋 > 所信表明

更新日:2021年6月11日

ここから本文です。

所信表明

1.はじめに

はじめに、長引くコロナ禍にある中、我々市民の命と健康を守るため、日夜ご尽力いただいております医療従事者の方々を始めとする関係皆様に、改めまして敬意を表するとともに、深く感謝申し上げます。

本日開会されました、令和3年第2回登米市議会定例会6月定期議会におきまして、市民の皆様をはじめ議員各位に、こうしてわたくしの今後4年間の市政運営にかかる所信の一端を申し述べさせていただきますことを、誠に光栄に存じます。

議員各位におかれましては、先の登米市議会議員一般選挙において、多くの市民の皆様の信託を受けられ、ご当選されましたことに対しまして、心からお祝いを申し上げます。

わたくし自身、先の登米市長選挙におきまして、市民の皆様からのご信任を賜り、引き続き、市長として、2期目の舵取り役を担うこととなりました。改めましてその責任の重さに、身の引き締まる思いであり、市民の皆様、そして議員各位のご協力をいただきながら、新型コロナウイルス感染症対策をはじめとする市政課題の解決に全力を傾け、登米市政発展のため、邁進する決意であります。

わたくしは、4年前の市長就任以来、市民の皆様の負託に応えるべく、常に市民が主役の市政運営を心がけ、市政発展、住民福祉の向上、市民生活の安全・安心に資することを基本に据え、各種施策に取り組んでまいりました。

この4年間、わたくしは市民の皆様をはじめ、議会、職員とさまざまな対話を通じ、皆様が本市の発展にそれぞれの想いを持っていることを改めて実感いたしました。わたくしは、これまでも一貫して市民の皆様の視点に立った市政運営に努めてきたところであり、こうした考えは今も変わっておりません。これまでの取り組みの成果を活かしつつ、将来にわたり持続可能なまちづくりが必要不可欠であると捉えております。

 

2.市政運営の方向性

次に、2期目の市政運営の方向性について申し上げます。

依然として、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっており、本県では仙台市を中心に感染が再拡大いたしました。

本市においても、昨年12月から本年1月にかけて、120人の新規感染者が発生するなど、感染が急拡大したところであります。その後小康状態が続いておりましたが、3月下旬以降、新規感染者が連日確認されており、県内においても変異株による感染者が確認されていることから、再び感染が拡大しないよう、確実に対策を打ち立てていく必要があると捉えております。

また、東日本大震災から10年となる中、本年2月の福島県沖を震源とする地震をはじめ、立て続けに大きな地震が発生したところであり、災害への備えの重要性を再認識したところであります。令和元年には、東日本台風により、本市においても甚大な被害が出たこともあり、しっかりとした災害対策を講じてまいりたいと考えております。

こうした本市の情勢を念頭に、2期目の市政運営に当たっては、新型コロナウイルス感染症対策、自然災害対策などの、市民の皆様の安全・安心に資する施策を最優先として取り組み、地域医療対策、教育振興、そして人口減少対策などを中心とした施策を推進してまいります。

引き続き、市民が主役であるという認識の下、市民の皆様一人一人が健康で安全に、そして夢や希望を持ち続けられる政治を行い、より豊かに暮らしていける行政を、しっかりと成し遂げていく覚悟であります。

 

3.市政運営の7つの軸(重点施策)

こうした基本姿勢の下、市民の皆様の安全・安心に資する取り組みを主軸として、平成29年の市長就任時に掲げた7つの重点方針を引き続き堅持し、これらを施策の軸とした市政運営を展開してまいります。

特に、2期目に当たっては「未来へつなぐまちづくり」として、持続可能な市政運営を政策の根幹に据え、事業の選択と集中を行いながら、市政課題の解決に向け、取り組みを加速させていく所存であります。

 

(1)安全・安心に暮らせるまちづくり(主軸)

はじめに、市民の皆様が「安全・安心に暮らせるまちづくり」であります。

施策の主軸となる「安全・安心に暮らせるまちづくり」については、新型コロナウイルス感染症対策、自然災害対策、社会基盤整備に重点的に取り組んでいく考えであります。

 

まず、1点目の新型コロナウイルス感染症対策でありますが、本市では、県内でも先駆けて、登米市医師会にご協力をいただいた発熱外来診察室の設置や、予防接種の実施に向けた新型コロナウイルスワクチン接種対策室の早期設置など、感染拡大の防止と、市民の皆様の不安解消に努めてきたところであります。

特に、新型コロナウイルスワクチンの接種に当たっては、予約時における高齢者の皆様の負担軽減と混雑を避けるため、接種会場や日時を記載したハガキを対象者個人に通知し、予約不要となるよう配慮したところであります。

また、すべての対象者が接種しやすい環境とするため、身近で、行き慣れた公民館や体育館等を活用し、市内18カ所で集団接種を行い、あわせて、基礎疾患等を有する方が、安心してかかりつけ医での接種ができるよう、市内医療機関での個別接種を併用した形で進め、先月から接種を順次開始しております。

今後におきましても、ホームページや全戸配布チラシ等で、接種の日程や進捗など、きめ細やかな情報提供に努めながら、市民の皆様が安全に、安心して接種できるよう取り組みを進めてまいります。

感染予防の取り組みとしては、市民の皆様が利用する、高齢者施設、障害者施設、幼稚園及び保育施設等の職員に対して、抗原検査キットによる検査を実施し、施設利用者の安全・安心と、早期発見による感染拡大防止を図るとともに、最新の感染動向や予防に必要な情報を迅速に発信してまいります。

なお、市内事業者の皆様に対しては、飛沫感染や接触感染のリスク回避のため、飛沫感染防止アクリルパネルや検温システムの設置などの支援を行い、感染拡大防止策を講じる考えであります。

市民生活の早期安定に向けましては、これまで、子育て応援給付金や在宅介護家族等支援金の支給など、生活支援を行ってまいりました。加えて、市外に暮らす本市出身の学生等には「とめ三昧便(ざんまいびん)」を提供し、支援してきたところでもあります。

また、中小企業者等に対する経営維持臨時給付金や、飲食・宿泊業等に対する飲食業等応援給付金の支給など、経済活動の早期安定化を図るべく対策を講じてきたところでありますが、依然として、市民生活と市内経済は大変厳しい状況に置かれていると強い危機感を感じております。

このため、市民生活の安定と消費喚起を促す新たな支援として、すべての市民の皆様を対象とした、プレミアム商品券を販売するとともに、事業継続に向けた給付金の支給など、生活支援と市内事業者に対する事業継続支援に力を入れ、市民生活と市内経済の早期安定化を図るべく対策を強化し、この難局を乗り越えてまいりたいと考えております。

 

次に、2点目の自然災害対策でありますが、近年、記録的な大雨や台風の大型化による災害が全国各地で頻発し、尊い人命と財産が失われており、いつどこで甚大な被害が発生しても不思議ではない状況にあると認識しております。本市においても、令和元年東日本台風による災害において、人的被害が発生したほか、多くの住家や公共施設等が被害を受けたところであります。

こうした教訓を踏まえ、事前に災害に備える方策についてまとめた、本市の国土強靱化地域計画を早期に策定するとともに、国や県と連携して防災・減災に取り組み、国の国土強靱化対策に連動した災害対策を講じていく考えであります。

また、大規模な浸水被害の防止に向けて、市管理の中小河川の浚渫や、支障木伐採などに取り組み、特に氾濫等による住家への影響が大きい河川については、今任期中に道筋をつけるべく対応し、スピード感を持って治水対策を進める考えであります。

北上川、迫川、夏川等の国等管理河川については、国や県と連携しながら、防災・減災対策に向けた事業推進に努めてまいります。

なお、県が実施している南沢川の河川改修に当たっては、津山地区において、台風等の豪雨で被害が生じないよう、早期の整備完了を県に対して強く要望してまいります。

雨水排水が課題であった迫大東地区については、現在、県が実施している長沼川の放水路整備と調整を行いながら、令和6年度の完成を目指して雨水排水路整備を進め、冠水被害の解消を図る考えであります。

次に、市民の皆様に対する避難情報などの伝達についてでありますが、国・県・関係機関と連携して情報を収集し、市民の皆様に迅速かつ正確に伝達することが最も重要であります。本市では、市内全世帯等を対象に、緊急告知ラジオを配布しているところであり、メール配信サービスと併せ、迅速かつ確実な情報伝達体制が構築されつつあるものと捉えております。

今後におきましては、昨年度より整備を進めてまいりました、コミュニティエフエムの電波を利用した屋外拡声装置の活用と併せ、多様な組み合わせによる運用により、情報伝達体制を更に強化し、市民の皆様の安全・安心を確保してまいります。

また、災害の発生に備え、広報とめやホームページ等で避難行動を分かりやすく周知するとともに、災害発生時には柔軟かつ迅速に避難所を開設できるよう、災害対応マニュアルの改定を行っており、実効性を高めるため、定期的な訓練を重ねてまいります。

地域防災力向上の取り組みとしては、消防団や自主防災組織などと連携した実践的な防災訓練の実施などを通じ、共助の取り組みへの理解と、防災意識の高揚を図ってまいります。

なお、担い手が不足している消防団については、将来の展望を見据えた適切な分団等の再編、処遇のあり方を検討するとともに、その役割と必要性を広く周知し、団員確保に努めてまいります。

次に、防災・危機管理体制でありますが、令和2年度の組織改編において、防災課を総務課に編入し、災害発生時には課内の連携により、16人体制での対応が可能となるなど、大規模災害や、長期化する自然災害等にも対応できる体制としたところであり、本年2月以降、立て続けに発生している地震対応についても、一定の効果があったものと捉えております。

しかしながら、長引く新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止への対応をはじめ、多発する自然災害等の危機事案に対し、より迅速かつ的確な対応が求められることから、大規模災害や長期化する自然災害等に対応できる体制を維持しつつ、新たな組織を設置し、危機管理及び防災・減災体制を更に強化していく考えであります。

 

次に、3点目の社会基盤整備であります。社会基盤の整備に当たっては、みやぎ県北高速幹線道路佐沼工区の供用開始を目前に控える中、全区間が高規格道路として整備されることを優先課題と捉え、現道利用となる第5期区間や、三陸沿岸道路との相互乗り入れの早期事業化について、引き続き国・県に要望してまいります。

また、佐沼インターチェンジ付近に接続する市道梅ノ木・平柳線をはじめとした幹線道路の早期完成と、集落間及び集落内の市道整備に継続して取り組む考えであります。

次に、公共交通についてでありますが、高齢化の進展に伴い、地域にお住いの皆様の通院や買い物など、高齢者等の移動手段の確保が懸念されております。

本市では、市民バスや町域内を移動する住民バスに加え、よりきめ細やかな公共交通サービスを提供するため、本年度から市内4地区において、コミュニティ組織が運営主体となったデマンド型乗合タクシーの本格運行を開始し、高齢者等の交通弱者の移動手段の確保に向けた取り組みに着手したところであります。

デマンド型乗合タクシーについては、自宅が発着地となるため、移動が困難な高齢者等の有効な交通手段であると捉えており、現在実施していないコミュニティ組織に対しても、導入4地区の情報を提供するなど、導入に向けた積極的な支援を行い、今後更なる導入地区の拡大に向けた取り組みを進め、高齢者等の交通弱者支援に努めてまいります。

次に、上下水道事業であります。水道事業については、市民のライフラインとして、安全で強靱な水道施設を維持するため、基幹浄水場である保呂羽浄水場の再構築や、基幹管路の耐震化に取り組んでまいります。

下水道事業については、水洗化率の向上に向け、未整備地区の管渠整備や合併処理浄化槽整備を進めるとともに、施設の長寿命化に取り組む考えであります。

水道事業及び下水道事業ともに、中長期的な経営の基本計画である経営戦略の検証・見直しを行いながら、健全で持続可能な事業経営の実現に向けて取り組んでまいります。

 

(2)地域医療の充実

次に、施策の第2の軸は、「地域医療の充実」であります。

市立病院等は、市民の皆様の安全・安心を担う地域医療の拠点として、継続的かつ安定的に良質の医療を提供する使命があり、市民の皆様から信頼され、支持される病院づくりに取り組んでいく必要があります。

病院事業の経営状況は、依然として厳しい状況にありますが、病床数のダウンサイジングや病床機能分担などの、限られた医療資源の効果的な活用に向けたこれまでの取り組みにより、収益の増が見られるなど、収支改善の兆しが見え始めております。さらには、本年4月に病院事業全体の経営改善に向けた取り組みを総括整理する医療経営管理監を医療局へ配置したところであり、市立3病院間の連携強化による病床稼働率の向上や、救急受入体制強化などの経営改善につながる取り組みを進めてまいります。

また、休止している登米・津山・よねやま診療所については、地域医療の確保を図るため、民間活力の導入などに取り組むとともに、病院事業全体の望ましい経営形態のあり方について検討を進めてまいります。

令和2年1月に、市立3病院が国における地域医療構想の実現に向けた重点支援区域の医療機能再編等対象医療機関として、指定されたところであり、市立3病院で一般急性期から回復期・慢性期までしっかりと対応する体制の構築や、市内開業医との連携による紹介患者受入体制の強化に取り組んでまいります。

また、高度急性期医療は、石巻赤十字病院や大崎市民病院などの三次医療機関との連携を更に進めるなど、県の地域医療構想に沿った取り組みを進め、切れ目のない医療提供体制を確保してまいります。

医師確保の取り組みとしては、その仕組みづくりとして、登米市民病院が本年2月に基幹型臨床研修病院の指定を受け、令和4年度から初期研修医の受入れが可能となったところであります。

こうしたことから、東北大学や東北医科薬科大学と更なる連携を深め、研修医受入れに向けた指導医の育成確保に努めるとともに、研修医に研修先として選ばれ、地域に定着していただけるような取り組みや、県をはじめとする関係機関に対し、わたくし自身が先頭に立ち、要請活動を行うなど、医師確保に向けて取り組んでまいります。

さらに、両大学との連携強化を図りながら、登米市民病院において、総合診療医の育成確保が可能となるよう、日本病院総合診療医学会認定施設としての認定取得を進めるなど、地域医療を担う人材の確保に努めてまいります。

また、限られた医療資源の中で、市民の皆様が安心して地域医療を受けられるように、医師の包括的指示の下、特定行為などの診療行為を行うことができる専門性の高い診療看護師の効果的な活用と育成強化により、地域の実情に合った医療・介護・福祉の連携を強化するなど、地域医療と在宅医療が効果的に機能するシステムの構築に取り組んでまいります。

登米市民病院は、地域の中核的病院としての役割を担うとともに、災害拠点病院として指定されておりますが、重要施設が地下階にあることや、建物内の段差、医療機器の老朽化など、防災や機能上の課題を抱えております。

このため、地域の中核的な病院としての機能充実はもとより、職員が働きやすい環境整備、さらには、医師に選ばれる病院を目指すとともに、市民の皆様の安全・安心を担う病院施設の整備に向けて、検討を進めていく考えであります。

 

(3)教育振興

次に、施策の第3の軸は、「教育振興」であります。

教育の分野では、学校再編の推進やICT教育、郷土学習などの取り組みに力を入れていく考えであります。

はじめに、学校再編に当たっては、児童生徒が多様な考え方に触れ、切磋琢磨することで、社会の形成者としての基本的資質を伸ばすことのできる学校づくりを実現するため、登米市立小中学校等再編構想に基づき、特に前期計画に位置付け取り組んできた、津山、東和、米山及び南方地域の小学校再編による統合校の開校を目指すとともに、地域との合意形成を図りながら、中学校の適正な規模及び配置による再編に着手してまいります。

次に、ICT教育については、GIGAスクール構想に伴い整備したタブレット端末を効果的に活用するため、教職員へのICT教育研修の充実による、ICT活用指導力の向上を図るとともに、教育機関向けサービスやクラウド型学習アプリによる、オンラインを活用した授業づくりを進めてまいります。

また、これからの学習の基盤となる情報端末の活用や、情報モラルなどの情報活用能力の向上を図り、次世代を担う本市の子どもたちが、デジタル化社会の環境に対応できるよう、取り組みを進めていく考えであります。

次に、郷土学習についてであります。市内小中学校においては、総合学習等で各種体験活動を実施しておりますが、少子高齢化や生活様式の多様化、高度情報化社会の進展などにより、自然・社会体験活動の不足、人や地域と関わる機会が減少していると捉えております。

こうしたことから、コミュニティ・スクールの推進を通して、世代間の交流や、郷土に対する理解と関心を深める体験活動などの充実により、進学などで市外に転出していた方が登米市に戻ってきたい、登米市のために貢献したいと思うような郷土愛の育成に取り組む考えであります。

なお、生涯を通じた学びや集いの拠点として、新たな図書館の設置に向けた検討を進め、具現化を図ってまいります。

来る7月から8月にかけて開催される東京2020オリンピック・パラリンピックにおいては、ポーランドボートチームが持てる力を十分に発揮し活躍できるよう、開催機運を高めながら、新型コロナウイルス感染防止対策を徹底した事前合宿の受入れを支援し、友好的な交流の創出と国際的な視野を広げるとともに、市民の皆様のスポーツ活動と共生社会の推進を図ってまいります。

 

(4)人口減少対策

次に、施策の第4の軸は、「人口減少対策」であります。

急速に進展する少子高齢化により、地域コミュニティの維持が心配されております。このため、本市への移住・定住につながる取り組みを進め、首都圏における、本市の魅力や移住支援制度のPRをはじめ、移住体験ツアーの実施など、本市の住みよい環境の周知に努めてきたところであります。さらには、住まいサポート事業や空き家改修事業による住宅の取得支援に取り組むとともに、若者が移住・定住しやすい居住・生活環境の整備に力を入れてきたところであり、「ひだまりタウンよねやま」にあっては、整備した24区画すべてが早期に分譲を終えるなど、取り組みの効果が表れてきていると捉えております。

また、コロナ禍にあって、地方への移住に注目が集まる中、先日、NPO法人「ふるさと回帰支援センター」の令和2年の窓口相談者が選んだ都道府県別移住希望地ランキングで、本県が全国で第5位と過去最高位となり、前年の第17位から大きく順位を上げたとの報道がなされたところであります。

こうした、都市部から地方への移住気運の盛り上がりや、これまでの市の取り組みの成果などを踏まえ、現在、佐沼大網地区において実施している市営住宅建替事業後の跡地を活用した、子育て・新婚世帯向け住宅の整備に着手し、若者の移住・定住につながる環境整備を更に推進してまいります。

加えて、オンラインによる移住相談など、新たな手法も取り入れながら、東京23区と全国各地域をつなぐ特別区全国連携プロジェクトなどと連携した積極的な情報発信や移住体験機会の提供、居住環境の整備支援などの取り組みを進めていく考えであります。

先月からは、NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」の放送が開始されました。ドラマの中では、本市の魅力が存分に描かれており、この全国に向けて紹介される絶好の機会をしっかりと捉え、シティプロモーションを展開し、本市のイメージアップや知名度向上に取り組み、移住・定住につなげてまいります。

子育て支援に当たっては、幼保連携型認定こども園の設置を推進し、本年4月には、「豊里こども園」のほか、認定こども園2園が開園を迎えるなど、ハード整備に取り組むとともに、保育士確保に向けた保育士宿舎借り上げ支援事業などのソフト対策を実施し、保育環境の整備を図ってまいりました。

また、学校法人三幸学園が運営する「小田原短期大学保育学科通信教育課程登米スクール」が4月に開校したことから、将来の保育人材の育成に向けた環境も整いつつあると認識しております。

今後におきましては、在宅で子育てをしている家庭向けの子育て支援センター事業の更なる充実を図るとともに、保護者の利用希望に沿った一時保育事業の実施など、多様なニーズに対応した子育てサービスの提供に努めてまいります。

なお、こうした子育て支援に取り組む方針を明確化するため、本市が、未来を担う子どもを安心して産み育てられるまちを目指すことや、社会全体で子どもの育ちを支援していくことなどを盛り込んだ枠組みの構築に向け、検討に着手する考えであります。

若者の交流に向けた取り組みとしては、若者交流活性化会議の開催や青年交流事業に継続して取り組み、施策への若い世代の視点の取り入れと交流機会を創出するとともに、地域で活き生きと活躍できる若者の育成を図ってまいります。

次に、結婚支援の取り組みであります。少子化の大きな要因の一つに、未婚化・晩婚化があるものと捉えております。このため、結婚希望者や家族を含めた、きめ細やかなサポートを行うとともに、自分磨きセミナーや婚活イベントの開催など、出会いの場の創出に取り組んできたところであります。あわせて、同じ課題を持つ栗原市や岩手県一関市、平泉町などと連携し、広域的な結婚支援についても推進してきたところでもあり、今後も、こうした取り組みを継続して行い、結婚を望む方が良きパートナーと出会い、早期に結婚へと結びつくよう、縁結びマッチングに向けた取り組みを進めていく考えであります。

また、新婚世帯の新生活のスタートに伴う経済的負担の軽減を図るため、本年度から新たに、結婚新生活支援事業に取り組み、新生活を支援してまいります。

次に、女性の活動に対する支援であります。これまで、女性会議の設置や、各種審議会等への女性委員の登用など、女性活躍社会の実現に向けた取り組みを進めてきたところでありますが、依然として、家庭や職場、地域等の中で、性別による役割分担意識が根強く、地域等においては、重要な方針や計画を決定する場に女性の参画が少ないことなど、解決しなければならない課題が多く残されていると感じております。

今後におきましては、引き続き審議会等への女性登用の推進と併せ、性別に関係なく市民一人一人の多様な生き方を尊重し、市民、事業者、教育関係者及び市民団体との連携をより深めながら、男女共同参画社会の実現に向け、市内事業者における男女共に働きやすい職場づくり、さらには、商工会や金融機関等と連携した、女性起業家への支援などに取り組む考えであります。

また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、金銭的な理由で生理用品が買えない「生理の貧困」が全国的に問題となっていることを踏まえ、こうした悩みを抱える女性を支援し、声なき声に応えてまいりたいと考えております。

以上のような人口減少対策に加え、少子高齢化が進む本市にあっては、空洞化やスポンジ化により活力が失われつつある中心市街地の活性化と併せ、地域拠点の振興は必須であると捉えております。

このため、国から示される防災指針の改定を踏まえ、立地適正化計画の策定作業を進め、人口減少と少子高齢化社会に対応するコンパクトシティ・プラス・ネットワークの理念の下、持続可能なまちづくりに向けて、取り組んでまいります。

 

(5)産業振興

次に、施策の第5の軸は、「産業振興」であります。

産業振興については、時代の変化に合わせたICT・IoTを活用したスマート農業を推進していくとともに、“ウィズコロナ”、“アフターコロナ”を念頭に置きながら、市内経済の活性化に向け、農林業・園芸・畜産への支援のほか、地元企業の育成と支援、企業誘致を更に推進していく考えであります。

スマート農業の推進については、生産性の向上や農作業の効率化に向け、市の独自事業でもある農業生産効率化推進事業により推進を図っているところであります。

今後におきましては、新規就農者をはじめとする担い手や後継者を確保するためにも、自動操舵システムやドローン等の機械導入による効果等の周知、関係機関と連携した現地検討会、推進セミナーの開催など、スマート農業を積極的に推進してまいります。

畜産振興については、生産基盤強化を図るため、優良乳用牛や繁殖・肥育素牛、系統造成豚の導入支援により、優良素畜の導入と生産規模の拡大を推進するとともに、登米産牛取扱店のPR強化を図るなど、登米市産「仙台牛」「仙台黒毛和牛」の認知度向上と消費拡大を推進し、地域一丸となって仙台牛の主産地としての「牛づくり」「人づくり」を支援してまいります。

また、国内で豚熱の感染が確認されたことを踏まえ、発生防止のため、イノシシなどの野生動物の侵入を防止する防護柵の導入支援や、養豚農家への消毒用消石灰等の配布を行っているところであり、引き続き、衛生管理の支援など、防疫対策に取り組んでまいります。

原発事故から10年が過ぎてなお、依然として進まない放射性物質に汚染された指定廃棄物の処理については、国の責任において、一日も早く最終処分が具体化するよう、国・県に対してより強く要請を行っていくとともに、8,000ベクレル以下の一般廃棄物については、土壌還元処理を計画的かつ着実に進めてまいります。

森林環境の保全に関しては、森林は、水源の涵養、地球温暖化の防止、木材をはじめとする林産物の供給などの多面的機能を有しており、植栽、保育、間伐など、適切な森林整備の実施や、豪雨時の被害拡大防止を図る観点からも、森林環境譲与税を活用した森林内の林地残材や倒木等の搬出を促進し、健全な森林づくりに努めてまいります。

こうした森林資源だけでなく、本市には、守るべき自然環境が多くあることから、災害の防止と環境の保全に向けた一定のルール化を検討してまいります。

次に、商工業振興でありますが、新型コロナウイルス感染症の影響により落ち込んだ市内経済をいち早く回復させるためにも、引き続き支援事業を展開してまいります。

特に、“ウィズコロナ”、“アフターコロナ”の時代における「新しい生活様式」に対応するため、感染防止対策への設備投資や、商店街のにぎわい回復に向けたイベントに取り組む市内中小企業・小規模企業等に対し、関係機関との連携を強化しながら、必要な資金の融通や事業継続に向けた支援を行っていく考えであります。

また、空き店舗を活用した新規創業支援のほか、集客につながるイベントの開催などの支援を継続してまいります。

企業誘致の取り組みとしては、わたくしが就任した平成29年以降、長沼第二工業団地へ2社の立地のほか、食品関連企業など、これまで5社の立地に結びついており、市内外の高校新卒者など約280人の雇用につながっているところであります。

新たな企業の立地は、こうした雇用の創出だけでなく、市内既存企業の活性化にもつながる重要な取り組みであると認識しており、立地を検討している企業の情報等について、市民の皆様や地元企業にも幅広く情報提供を呼び掛けるなど、積極的な情報収集に取り組むとともに、わたくし自らトップセールスに出向き、長沼第二工業団地と登米インター工業団地への早期立地に向けた誘致活動を加速してまいります。

観光振興については、NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」の舞台地であることを最大限に活かし、本市への観光客の増加に向けて、取り組んでまいります。

これまで、放送開始に合わせて、ポスターやのぼりを市内の観光物産施設をはじめ、商店や飲食店などに配布するとともに、おかえりモネ展の開催やドラマとコラボレーションした商品の販売など、官民が一体となって盛り上げてきたところであります。

現在放送中の内容では、本市を舞台にストーリーが展開されているところであり、撮影地を巡るロケツーリズムや森林をキーワードにしたフォレストツーリズムを推進し、ドラマのファンの皆様に、本市のファンになっていただけるよう取り組みを進めてまいります。

また、本市の豊かな自然環境の中で、テレワークなどで効率よく、気持ちよく仕事をしながら、レジャー、スポーツなどのアクティビティや食を楽しんでいただく、ワーケーションの推進に向けた環境整備も進め、テーマを持った登米市型の新しいワーケーションスタイルを提案し、観光の活性化を図るとともに、移住の促進にもつなげていく考えであります。

 

(6)健康なまちづくり

次に、施策の第6の軸は、「健康なまちづくり」であります。

健康なまちづくりに向けて、生活習慣病の予防や認知症予防、食育の推進に取り組むとともに、昨年2月には「元気とめ!健康づくり宣言」を行い、具体的な7つの行動目標を掲げ、市民の皆様と健康づくりに取り組んでいるところであります。

少子高齢化の進展やコロナ禍における生活環境の変化により、医療と介護のニーズは今後ますます高まることが想定されることから、市民一人一人が日ごろから健康に関心を持ち、健康で長生きできるよう、市民や地域、行政等との協働による健康づくりの取り組みが、これまで以上に重要になっていると捉えております。

こうしたことから、保健活動推進員や食生活改善推進員などの地区組織や、関係機関、企業などとの連携により、地域で健康づくり活動をしている皆様の力を活かした健康づくりを推進するとともに、宮城オルレ登米コースや、県内では唯一認定されている登米ふれあいの森での森林セラピーなど、市内の資源も活用しながら、健康寿命の延伸を図ってまいります。

また、本市では、脳血管疾患による死亡率が高いことや、生活習慣病につながるリスクが大きいとされる、子どもの肥満が多いことが課題となっております。このことから、ナトリウム、カリウムの摂取バランスに着目した食習慣の改善を進めるとともに、学校やPTA、子育て支援機関などと連携し、親子で健全な食生活や生活習慣の定着に向けた取り組みを継続していく考えであります。

さらに、母子に対しては、心身のケアや育児のサポートをするための産後ケア事業を開始し、産後も安心して子育てができる支援体制の確保に取り組んでいるところであります。今後におきましても、妊娠・出産・子育てに関する相談体制の更なる充実を図り、安心して産み育てることができる環境づくりに努めてまいります。

次に、福祉施策でありますが、乳幼児から高齢者まで、健康に対するきめ細やかな啓発を行いながら、生きがいを実感できる施策を展開してまいります。

近年、少子高齢化やライフスタイルの多様化などの社会的要因により、介護、障がい、子育て、健康、生活困窮等、暮らしに関する課題が複雑多様化してきていると認識しております。

このことから、福祉を取り巻く環境の変化や、それに伴う新たな福祉ニーズに対応していくため、行政のみでなく、地域コミュニティやボランティア団体、福祉事業者など、多様な主体が協働して課題解決に取り組み、「つながる」地域福祉を意識した活動を促進していく考えであります。

特に、高齢者福祉については、高齢者の自立支援や介護予防の取り組みを継続して実施するとともに、介護状態となった際には、必要に応じたサービスを提供することにより、住み慣れた地域で安心して生活が送れるよう、地域包括ケアシステムの推進を図ってまいります。

また、長引くコロナ禍にあって、地域活動の休止や外出機会の減少により、高齢者の筋力低下や認知症の発症などが懸念されており、こうした高齢者に対する配慮が必要であると捉えております。今後、新しい生活様式を踏まえた感染予防策を講じながら、ミニデイサービスなどの介護予防事業や、認知症専門医による相談会の実施など、高齢者の生活支援に取り組んでまいります。

 

(7)効率的な行財政運営

 次に、施策の第7の軸は、「効率的な行財政運営」であります。

本市が持続的に発展していくためには、歳入に見合った歳出を基本とし、市政運営の根幹となる財政を健全化していくことが優先課題であると捉えております。

こうしたことから、昨年12月、「適正な財政規模への移行による持続的な行財政運営の推進」を基本理念に掲げた、第4次登米市行財政改革大綱を策定し、職員一丸となって本大綱に基づく取り組みを本格化させたところであります。

今後におきましても、市民ニーズや新たな行政課題に的確かつ迅速に対応していくため、引き続き行財政改革を推進し、次世代に大きな負担を残すことのないよう、健全な財政基盤の確立と効率的な行財政運営を遂行していく考えであります。

公共施設等については、昨年度策定した公共施設等総合管理計画個別計画に基づき、長期的な視点をもって更新・統廃合・長寿命化などを計画的に行い、財政負担を軽減・平準化するとともに、公共施設等の最適な配置に向けた取り組みを進めてまいります。

特に、米山地区においては、現在の総合支所、公民館、体育館の敷地を活用し、公共施設の複合化に取り組む考えであります。

次に、市の組織についてでありますが、これまで、登米市定員適正化計画に基づき、事務事業の整理統合を行うなど、組織機構のスリム化を図りながら、退職者数と将来的な年齢バランスを考慮した職員の採用に取り組み、効率的な組織運営に努めてきたところであります。

今後におきましても、多様化する市民ニーズに応えられる行政サービスの水準を維持しつつ、市民の皆様の安全・安心に資する取り組みや地域医療対策、教育振興、そして人口減少対策など、将来にわたり持続可能な市政運営を推進できる、安定的かつ効率性の高い組織の構築を目指し、適正な定員管理や事務事業の整理統合などを行いながら、効率的な行財政運営に努めていく考えであります。

次に、歳入確保の取り組みでありますが、財産の売却やふるさと応援寄附金、ガバメントクラウドファンディングなど、あらゆる歳入確保策を講じる考えであります。

遊休財産や、将来的な利活用が見込まれない施設については、民間事業者への売却や有償貸付けなどを行うことにより、公共施設全体の維持管理費の縮減に努めるだけでなく、財源の確保を図り、公共施設の修繕・改修費として活用するなど、市民サービスの向上につなげてまいります。

また、コロナ禍にあって、オンライン上で手続ができる、ふるさと応援寄附金については、全国的に拡大傾向にあり、本市においても、令和2年度の寄附金額は、前年度を大きく上回る結果となっております。

今後におきましても、本市ならではの魅力的な返礼品の充実を図るほか、おかえりモネの舞台地として積極的な情報発信を行い、本市を継続的に応援していただけるリピーターを確保するとともに、新たに本市を応援したいと感じていただける方が一人でも増えるよう、取り組みを進めてまいります。

さらに、企業版ふるさと納税に取り組み、地方創生認定プロジェクトのPRや、企業に支援していただけるような事業の検討に着手し、企業とのパートナーシップ構築に向けた取り組みを進めるとともに、ガバメントクラウドファンディングについても、多くの皆様に賛同していただけるような魅力的なプロジェクトを選定し、新たな寄附金の確保に向けて、積極的に取り組んでまいります。

次に、公民連携の取り組みであります。本市では、これまでも、指定管理者制度やリース事業など、自治体と民間事業者等が連携し、公共サ―ビスの提供に取り組んでまいりました。

少子高齢化の進展や施設・インフラの老朽化、社会保障関連経費の増大に対応するための財源確保が課題となる中、多様化・複雑化する住民ニーズにしっかりと応えていくためには、行政だけではなく、民間事業者等の力を活用していくことも重要であると捉えております。そのため、既存の取り組みにとらわれることなく、地域課題の解決に向けて大きな視点に立ち、民間のノウハウを活かした公民連携の取り組みを推進していく考えであります。

 

以上の7項目を施策の軸として、2期目の市政運営に当たる方針であります。

 

4.結びに

登米市が誕生して17年目を迎えました。登米市は一つの自治体として成熟していく時期に差し掛かっていると認識しております。

節目となる20年に向けて、財政基盤の強化を図りながら、次世代に大きな負担を残すことなく、今やるべきことをやらずして後悔することのないよう、施策を着実に進めていく所存であります。

新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中ではありますが、市民の皆様をはじめ、議会のご協力をいただきながら、職員と心を一つにしてこの難局を乗り越え、「未来へつなぐまちづくり」を進めていく所存であります。

以上、わたくしの市政運営に対する所信の一端を述べさせていただきました。市民の皆様、議員各位の市政に対する一層のご理解とご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 

令和3年6月11日

 

登米市長 熊谷 盛廣

 

※所信表明(令和3年6月)(PDF:486KB)

お問い合わせ

登米市総務部市長公室

〒987-0511 登米市迫町佐沼字中江二丁目6番地1

電話番号:0220-22-2090

ファクス番号:0220-22-9164

メールアドレス:shichokoshitsu@city.tome.miyagi.jp

Adobe Acrobat Readerのダウンロードページへ

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Acrobat Readerが必要です。Adobe Acrobat Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先から無料ダウンロードしてください。

サイト内検索

便利情報

ページの先頭へ