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更新日:2025年6月9日

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所信表明

1.はじめに

本日開会されました令和7年第2回登米市議会定例会6月定期議会に当たり、市長としての今後4年間の所信の一端を述べさせていただきます。

去る4月27日に執行されました登米市長選挙におきまして、多くの市民の皆様のご支援を賜り、登米市の舵取り役である市長の職を担うこととなり、その重責に身の引き締まる思いを強くしているところであります。

登米市は、合併後20年の節目を迎え、人口減少をはじめとして大きな課題が山積しておりますが、選挙を通して市民の皆様に訴えた政策の実現に向けて誠心誠意取り組んでまいる所存であります。

市民の皆様、そして議会議員の皆様には特段のご理解とご指導、ご支援を賜りますよう、お願い申し上げる次第であります。

 

2.合併20年間の想い

今回の選挙を通して、多くの市民の皆様との対話などから、私なりに合併20年を総括してみますと、登米市誕生後20年で約1万8千人の人口が減り、まちの活力も低下しており、この傾向は現在も続いております。

その対策については、あらゆる政策を講じていく必要がありますが、特に、公共施設の整備については、過大な規模の整備ではなく、未来に大きな財政負担を残さないように配慮した身の丈に合った整備が必要であると考えております。

次の時代に向けた登米市の発展策を作る時期となっている今、(仮称)地域交流センターの建設、市立病院等医療提供体制の整備、小中学校の再編整備、停滞する産業の振興、人口の減少や少子高齢化への対応など、さまざまな問題があると捉えております。

市民福祉の向上を第一義に、限られた財政の効率的な活用を考えながら、市全体が調和のある発展を求められているにも関わらず、市が政策を進める際、市民がその政策の必要性を理解するために必要な情報提供が不足していることや、市民理解の醸成がなされていないのではないかと感じております。

 

3.市政運営における基本姿勢

市政運営に当たりましては、様々な方法で市民皆様の意向を把握し、参考にしていくこと、市政情報を積極的にお知らせし、市民の皆様と協働のまちづくりを進めることが大切だと思っており、市民の皆様の生活が最も大事だと捉えております。

私は、「市民生活第一主義」をモットーに、市民の皆様の生活・所得・医療・福祉・教育等が向上し、「心身ともにゆとりと誇りを感じられ、夢のある登米市づくり」に努める所存であります。

 

4.重点政策

このような市政運営の基本姿勢の下、これからの4年間で重点的に取り組む5つの柱を中心とした政策につきまして申し上げます。

 

(1)(仮称)地域交流センター整備構想について

まず、はじめに取り組むものとして、(仮称)地域交流センターの整備構想については、白紙撤回いたします。

登米市の人口は合併時の約9万人から約7万2千人と約1万8千人減っており、20年後の2045年には、5万人程度になると想定されております。

このような時期に約148億円の新しい庁舎が必要とは思えませんし、財源として、地方債の中では有利な合併特例債の活用としておりますが、あくまでも借金であり、将来において大きな負担になると思っております。

また、近年の建設資材等の高騰により、事業費が更に増えることも心配され、さらには、建設を予定している佐沼中江地区は令和4年7月の大雨の際に浸水被害が発生し、一部の区間において道路が冠水したことも記憶に新しく、今も大雨の対策は完了していない状況であります。

このようなことから、当初予算で計上されている(仮称)地域交流センター整備事業に関連する予算については、全額減額させていただきたいと考えております。

また、本庁舎機能については、既存の各庁舎を活用することで対応できるものと考えていることから、今後の本庁舎機能のあり方や整備も視野に入れた中で、中田庁舎と南方庁舎、更には事務スペースの確保が可能と思われる登米庁舎と石越庁舎の長寿命化可能性調査費を6月補正予算に計上し、利活用の方針を策定してまいります。

再編後の行政機能については、デジタル技術を最大限活用し、市民の利便性やサービスの向上はもちろんのこと、業務の効率化が図られることにより、その人的資源を行政サービスの更なる向上につなげてまいります。

なお、老朽化している迫庁舎と迫公民館については、支所機能及び公民館機能を合わせた複合施設としての整備も視野に入れ検討し、建設場所についても大雨等への対策を考慮しながら、慎重に進めてまいります。

図書館については、一部書籍の電子書籍化が進み、読書の形態が変わってきており、そのような点も考慮して、機能・場所・規模を今後の人口動態に合わせて再検討し、既存の図書館とは別に、地域の公民館施設の活用や学校再編に伴う空き校舎の活用も見据えるなど、新たな図書館整備について取り組んでまいります。

(2)病院事業について

重点施策の2つ目としては、病院事業についてであります。

登米市では、3つの市立病院を経営しており、長く赤字経営が続いておりましたが、新型コロナウイルス感染症の流行により新型コロナ関連の国からの交付金があり、一時的に黒字経営に転じた時期があったものの、新型コロナの沈静化とともに国からの交付金が減少し、再度赤字経営になっております。

病院事業会計の赤字分については、一般会計から多額の繰り出しを行って経営を維持している状況であります。

病院事業会計としての累積欠損金は経営改善の取組や新型コロナに関連した補助金によって一時的に減少したものの、令和5年度末の累積欠損金は約158億2千万円と膨大な金額になっているところであります。

この医療不安解消のためには、登米市民病院の建て替え整備が優先されるべきであると考えており、新たな整備については現状の赤字経営体質の解消も図っていくことが大切であると認識しております。

老朽化した登米市民病院の建て替えが登米市にとって喫緊の課題と言われて久しいところですが、内部検討組織において整備基本方針の策定を進めているものの、具体的なビジョンが示されていないところであります。

まずは、登米市民病院患者の満足度調査を実施し、そのうえで、ニーズを把握して、どこまで寄り添った整備が出来るのか、また、病院は、一度建設すれば30年スパンでの検証が必要であるため、登米市民病院の建て替えについては、施設規模など慎重に検討しながら進めてまいります。

また、新たな整備場所については、将来の病院体制を考慮し、それに対応した市民バス路線についても検討してまいります。

さらに、市民の方が、大崎市民病院や石巻赤十字病院へ通院している実情を踏まえ、通院可能な公共交通の検討も進めてまいります。

また、市内には出産できる医療機関がない現状から、子どもを安心して産み育てられる環境を整えることが喫緊の課題と捉えております。

このため、産婦人科や小児科などの医療施設を積極的に招致し、産科については助産院の模索、更には救急救命などの命に関わる診療科を優先的に招へいしてまいります。

また、医師や看護師等の医療従事者が慢性的に不足していることから、市民の医療ニーズに応えられていないと思っており、救急患者の受け入れについても、充分とは言えず、特に病状の重い患者は大崎市民病院や石巻赤十字病院など市外の病院がその受入先となっておりますが、医療従事者不足の課題解消や高次医療機関との連携のあり方について、市民のニーズに寄り添える体制づくりを構築してまいります。

病院事業については、赤字経営が慢性化し、一般会計からの繰出金が毎年度20億円を超すような状況であり、市民は市立病院の提供する医療に大きな不安を感じています。

そのため、持続可能な運営体制を構築し、地域住民の健康と安心を守るため、現状の3つの市立病院の再編や民営化に向けた調査・検討を行い、令和8年度中に、その方向性を示してまいりたいと考えております。

 

(3)学校教育について

重点施策の3つ目は、学校教育であります。

登米市には、小学校19校と中学校10校があり、市内の義務教育を担っております。

人口減少に伴い児童生徒数が減少を続け、教育における適正規模と教育効果、教育予算の効率性の面で課題があり、学校再編を進めておりますが、現在の学校再編計画は見直しを図り、中学校の再編を優先して取り組むとともに、現状の子どもたちの学習ニーズを踏まえ、中高一貫校設置に関して県に働きかけを行ってまいります。

新たな学校を整備するとなると多額の予算が必要になり、更には、当事者である児童生徒や保護者、市民の理解と協力が不可欠となります。

今、学校再編が話題になりつつある地域に対して、充分に情報提供されているか、また、理解されているか心配であります。

学校再編は、対象となる児童生徒の健全な教育と育成が第一義であり、そのためには、行政を含めた関係機関や市民の理解と協力が必要であり、特に、行政による説明と情報提供が大切だと捉えております。地域の事情にも配慮した公平感を感じられる学校再編への理念が求められていると感じております。

また、学校再編で新たな学校の建設が必要になった場合、これまで使われていた校舎等の施設は遊休施設になることが心配されます。

したがって、学校再編については、財政運営の効率化との関連はありますが、児童生徒ファーストの考え方の下、広報並びに住民説明会などで丁寧に情報発信するほか、私自身のSNS等での発信により、適時・適切で積極的な情報提供を行い、全市民的な議論と理解のもとに進めてまいります。

学校再編後、学区が広範囲となった場合、通学距離が長くなり、交通事故防止と安全対策が更に重要になります。

また、スクールバスの運行には多額の費用が必要になるとともに、運行する業者との連携も必要になりますので、スクールバス以外の市民バスや住民バスを有効活用するなど、経費節減にも取り組んでまいります。

学校は児童生徒の教育の場であるとともに、地域にとっても、最も身近なよりどころとなる施設です。登米市の将来を担う児童生徒を育む教育が必要であることはもちろん、更なる教育の充実が求められると考えております。

児童生徒数や地域の地理的条件等の違いはありますが、将来を見据えた公平感を感じられる教育理念のもとに進めることが必要と考えております。

近年、深刻化している不登校やいじめ問題に関しては、個々のケースごとに異なる原因があり、関係者はその対応に苦慮されています。場合によっては重大な事件に発展したり、その当事者の将来にも影響を及ぼしたりすることも考えられます。

当事者はもちろんのこと、教育委員会、現場である学校、家族、地域住民等が真剣な関わりを持ち、なおかつ、専門家や教育関係機関を含むプロジェクトチームにより、地域全体で協力して問題解決に取り組み、更には、誰一人として取り残されないよう「学びの多様化学校」の検討を進めてまいります。

また、本市がいち早く取り組んでおりましたコミュニティスクールについては、それぞれの地域の実情を生かしながら児童生徒の将来の社会的自立につながるよう充実を図ってまいります。

学校給食費の無償化については、国が令和8年度から小学校の無償化を開始する方針であり、その実施に合わせて、市独自でも中学校まで対象を拡大し、学校給食費の無償化に向けて取り組んでまいります。

 

(4)産業の振興について

重点施策の4つ目は、産業の振興についてであります。

はじめに、本市における産業構造についてでありますが、農業分野においては、人口減少・少子高齢化の進展等により農家数の減少が続いております。また、商工業分野においても、事業所数と従業員数が減少しており、この影響もあり、産業の力を示す市町村内総生産額、更には一人当たりの市町村民所得も伸び悩んでいる状況にあります。

本市の基幹産業である農業においては、従来の米単作中心の経営から畜産や園芸を組み合わせた複合経営に転じ、近年では、生産から加工、販売までを一体化し、付加価値を高める6次産業化の取組が進められております。

昨年来、米や野菜の価格高騰が続いており、食料安全保障の観点からも、国産国消の重要性が求められております。このような状況下の中、私は、基幹産業である農業を「より稼げる強い産業」へ転換していく必要があると認識しており、今後も引き続き、スマート農業技術の導入支援を行い、高付加価値な農産物の生産向上に取り組んでまいります。

また、地域の担い手確保が喫緊の課題であることから、国・県等の制度の活用と本市独自の取組により、引き続き新規就農者の確保に取り組むとともに、農業生産法人等の農業経営規模拡大による雇用促進、生産基盤の整備や農業機械の導入、リース事業の支援に取り組み、食料産業である農業の振興に努めてまいります。

商工業振興については、事業所数の減少により、市民の働く場が少なくなってきていると捉えております。

どのような政策を展開しても、生活のできないところに人は住みません。生活ができるだけの所得を得られるような雇用の場の確保、登米市としての特色を生かした産業の振興に努めるべきであると考えており、農畜産業、商工業、サービス業などの部門を問わず、人材育成に対する取組を推進し、関係団体と連携しながら、地域経済全体の活性化を進めるため、雇用促進奨励金に加え、新たな雇用の場の創出に向けた取組を下支えするような制度を創設してまいります。

 

(5)人口減への対策について

重点施策の5つ目は、人口減への対策についてであります。

登米市は、合併により誕生した平成17年をピークに毎年人口減を続けております。それに対し、65歳以上の高齢者が全人口に占める割合は毎年増え続けております。

自然増減の関係では出生者よりも死亡者が多く、社会増減の関係では転入者よりも転出者が多くなっております。

この人口の動きを見ると、あらゆる区分で人口の減少と高齢化につながる状況になっており、市の活力低下の大きな要因となっております。

人口の推移は市の活力に影響を及ぼす要因でもあり、あらゆる分野で政策を動員し、減少を止め、増加を図っていく必要があります。

登米市で生まれ育った若者が、学校を卒業すると市外に職と生活の場を求めて転出して行く傾向は長く続いており、これが人口減少の要因の一つにもなっております。

近年、価値観の多様化に伴い都市以外での生活も注目されるようになってきました。これを好機と捉え、引き続き、移住検討者に登米市を知っていただくための情報発信を行うとともに、若者が登米市で暮らしたいと思えるような魅力ある定住策を展開し、社会減少の抑制に努めたいと考えております。

豊かな自然環境や豊富な食材等をセールスポイントに、多様な生活に応えられる環境の整備が必要と考えております。

そのためには、登米ブランド認証品である登米産仙台牛の更なるブランド力の向上を図るため、積極的なPR活動に努めるとともに、市内において、市内産の農畜産物が食せる場所やオープンカフェの提供、さらには、新じゃがを活用した新たな事業展開を推進してまいります。

また、生活に必要な所得を得られる雇用の場があると同時に、子育て支援を充実させ、産み育てやすい環境を整えるため、保育サービスや育児休業制度の拡充を進め、結婚から妊娠・出産、子育てまで切れ目のない支援により、子育て家庭等の経済的・物理的支援を強化してまいります。

さらには、現在、本市における各種健診の受診率は低下傾向にあり、受診率の低下は市民の健康格差を生む要因となることから、更なる受診勧奨に努めるとともに、健診受診料の見直しについて検討し、受診率の向上と市民の健康増進に資する取組となるよう進めてまいります。

子どもから高齢者まで、あらゆる年代の方が生きがいを感じて生活できる施策の充実、また、それぞれの生活の質が評価されるよう、趣味の活動や交流活動、スポーツ活動が展開できる文化の醸成についても進めてまいります。

安全・安心なまちづくりのためには、防災・減災対策は欠かせません。

気候変動の影響もあり、近年、自然災害が頻発化・激甚化しており、特に大雨による被害は、毎年、全国各地で発生している状況にあります。

そのため、河川改修などのハード面の整備はもちろんのこと、避難所や災害発生時の対応などを事前に考え、想定しておくといったソフト対策も、ますます重要になるものと捉えておりますので、関係機関や自主防災組織などとも連携を図りながら、ハード・ソフト両面にわたる事前防災対策をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

 

5.結びに

登米市は、さまざまな政策課題に直面しておりますが、私は、これらの課題にもスピード感を持って対応し、登米市は新たなスタートを切ったと、市民の皆様に実感していただけるよう、職員と一丸となって知恵を出し合い、また、市民の皆様、議員各位のお知恵も借りながら、新しい登米市を築いてまいる所存であります。

以上、私の市政運営に対する所信の一端を述べさせていただきましたが、市民の皆様、議員各位の市政に対する一層のご理解とご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 

 

令和7年6月9日

 

 

 

登米市長 熊谷 康信

 

 

 

※所信表明(令和7年6月)(PDF:322KB)(別ウィンドウで開きます)

お問い合わせ

登米市総務部市長公室

〒987-0511 登米市迫町佐沼字中江二丁目6番地1

電話番号:0220-22-2090

ファクス番号:0220-22-9164

メールアドレス:shichokoshitsu@city.tome.miyagi.jp

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