幾何学における物質と間の誕生
佐藤達氏が1969年、パリ国立美術学校に留学され、そのまま、画家として発表の場をパリに定め、ヨーロッパ各地で活躍されています。
初期の作品は油絵で絵を描き、その後、アクリル系絵の具を使う絵画、直線を中心とした作品へと推移していく。その後、平面からレリーフに近い作品が誕生し、佐藤達在仏20周年記念展にはインスタレーションというべき作品が発表されました。
それらは、これまでの絵画と異なり、オブジェに近い、色は絵の具から自然の素材色、すなわち、木、鉄、また、そめた布など、素材の材質を意識した作品になっており、その後の達氏の野外立体造型作品に影響を与えたものと思われます。
今回の展示においては、平面、レリーフ、インスタレーション、野外立体造形へと流れる達氏の中で、重要な起点というべき時代といえる1989年に制作された7点の作品を紹介いたします。
それらの作品には、緻密に計算された幾何学の世界、モノの強さが感じられ、素材の違った、材木、鉄(錆を生かして制作)、布(染め)で構成されており、その展示空間は違和感なく、静寂な中にも、凛とした佇まいを感じていただけるものと期待しております。
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