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過去の展覧会

 今回の展示は、ミュージアムがコレクションする作品の中から、特に、直線を感じさせる色と形、直線を基本に水平線、垂直線で制作された作品を選んで展示いたしました。
  Permanent exhibition hall

20世紀と共に発生した抽象絵画は、純粋な心をより直接的に表現しようと、アートにおける精神性を高め、時には社会への挑戦であったり、時には歴史への挑戦であったりと、熱い運動が限りなく構築されていきました。 伝統的な絵画からキュウビズムへと変化するヨーロッパ美術の中で、さらに革新的な抽象絵画が生まれてから、まもなく90年を迎えようとしています。
当時、ドイツのバウハウス(美術学校)に留学した日本人もいました。 その当時の幾何学構成的絵画の運動を日本に持ち帰り、日本で紹介されたこともありますが、残念ながら日本では育たなかったのです。 あまりにも時代を先行する絵画に対して、理論的に美術史的に研究をする方々(美術史家、評論家、学芸員)が少なかったことも理由の一つです。
 本来、私たち日本人は、絵画と意識しなければ気軽に幾何学構成的空間に馴染んでいたのかもしれません。 私たちの住まいは、特に伝統的な家屋は幾何学構成的に仕切られており、簡素な茶室などは自然空間の中に非常に計算された幾何学構成的空間を取り入れています。 古い日本建築に接してみると自然にその体験が出来ると思います。
  残念ながら、芸術として抽象絵画を鑑賞する時、ただ単に作品を観る以前に、美術史が解らない、幾何学構成的絵画が解らないという先入観を持った方が多いのです。 そのことが現代まで影響を与えている所に問題があるのかもしれません。

さて、皆様がミュージアムの展示されている空間に入り、絵画の精神にゆっくり戯れ、自然の山河を眺めるように、小鳥のさえずりを聴くように、時間をかけて絵画の前に立てば、いつか何かが、まさに安らぎや癒しの空間に触れて、精神のバランス感覚が修正されるように貴方の心体の中で変化が生まれて来ると思います。
  人間の証を、意識を、感覚を育てるのがアートです。点から線、線から面に、またその逆に、面が線に感じ取れるような世界、美術の流れを歴史的に、理論的に絵画を読むことも、楽しみの一つだと思います。いかに作品の声を聞けるか、作品とどう対話していくか、鑑賞者の自由な発見の探検です。

  平面作品(絵画)の他に、レリーフといわれる作品も展示してあります。観る位置によって見え方が変化する視覚芸術という部門の作品です。線が線を越えた時、それが面になる意識革命、形だけではなく色彩の醸し出す空間も作品によってそれぞれ違います。あなたが選んだ好きな作品をあなたの心に暖めて下さい。線に対する意識や感覚が違って見えて来ると思います。


常設-企画展「サトル・サトウ  直線の始まり(1965~1979年)展」:

寄贈作品350点の中から、パリ留学前の作品(静物画と室内)2点と、パリ美術学校時代に制作した直線を中心にした抽象絵画(油絵)、そして、パリや新橋・第七画廊での個展出品作品(アクリル絵具)など、1965年から1979年迄制作した作品の内15点を展示しています。

常室展示室の展示風景

他に、2階和室に小品を6点展示、一階玄関ホール奥の庭に立体作品1点を展示しています。

サトル・サトウの作品 1965〜1972 サトル・サトウの作品 1965〜1972
渡仏前の作品(静物画と室内)2点と
パリ美術学校時代に制作した直線を中心にした抽象絵画(油絵)4点
サトル・サトウの作品 1973〜1974 サトル・サトウの作品 1973〜1974
渡仏後の直線を中心にした作品(キャンバスにアクリル絵の具) 7点
サトル・サトウの作品 1975〜1979 サトル・サトウの作品 1975〜1979
渡仏後の直線を中心にした作品(キャンバスにアクリル絵の具) 4点

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