今回の版画展は、視覚芸術と言われる芸術家達の版画展ですが、アガム、ソト、コントレラス、クルズ・ディエズ、二ノ・カロス、ヴァザルリー、ガルシア・ロッシは、作品の中で電動で光を出したり、移動させたり、又、観る位置によって色や形が変わる立体や半立体の作品を、時には野外に大作を発表している世界的な芸術家達です。版画でも、充分その雰囲気は感じ取れると思います。
実験的に機械を使った作品は、バウハウスの教授であったモホリ・ナギの作品が初めとされており、機械的な動きや光をよりアートに引き寄せた現代芸術家の作品、幾何学構成的で機械的な作品は、冷たさを伴うと言われていますが、逆に、静的な中に温かさを感じ取る事が出来ると思います。
本来、幾何学構成絵画は静的で厳格で冷たい作品と知られています。確かに20世紀と共に北ヨー
ロッパで同時に発生したロシア構成主義、絶対主義、デイ・ステイール、新造形主義、バウハウス等から発信された幾何学構成アートは、ロシアより発信されましたが、オランダやドイツと言った地域の芸術家が中心でした。しかし、その系譜に身を置き幾何学構成アートを追求する作家達は、北に留まらず、その後、パリを中心に活動しますが、フランスやスイスから、イタリア、スペイン、ギリシャへと南下し、ヨーロッパに限らず、中近東に、更に、南米の作家達にも大きな影響をもたらし、そこには既に冷たいと言う意識は無く、熱い幾何学構成絵画が発生しています。
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また、マリノ・デイ・テアナの作品は、オブジェと版画を特別に展示しました。
今年の1月1日、92歳で亡くなりました彼が寄贈した作品で、タイトルは「彫刻構造・サトル」、と記されており、サトルと親しかった巨匠の一人と聞いています。