登米市立米谷病院は昭和19年1月「米谷久美愛病院」として開設許可されたことに始まり、翌年の昭和20年1月診療開始となりました。終戦直前に地域の皆さんが、どんな思いで病院を設立したかは、その病院名が物語っているように思います。その後、幾度も存亡の危機を乗り越え平成17年4月の市町村合併により「登米市立米谷病院」となり現在に至っています。ただ病院建物が平成23年の東日本大震災で被害を受け、平成31年2月1日に新築の病院として生まれ変わりました。電子カルテを導入し、院外処方への転換をして、CTやX線設備、臨床検査機器を一新し、ポリープ切除など内視鏡治療もスムースにできるようにしました。超音波検査も頸部、腹部、心エコーが可能です。病床数は90床に増えましたが、職員数などの制約により現在80床で稼働しています。内訳は地域包括ケア病床が32床で療養病床が48床です。広い駐車場も完備しました。
当院の医療機能は、一般診療に加え、主に長期療養や終末期医療の役割を担っています。地域医療では療養や看取り医療の需要が高いのが現実です。慢性疾患を抱えながら懸命に生きる患者さんや、尊厳をもって人生を締めくくりたいと願う患者さんが大勢います。疾患と共存しつつ生活の質を上げる医療や人生の最後を家族も含めて納得できるようにする医療も、最先端医療と同じくらい重要な分野だと当院は考えます。そこでこの分野の医療機能を役割分担し連携することで、地域全体で完結できる医療体制の一翼を担う病院として活躍します。ゆえに我々の医療は、細分化された専門医療ではなく、患者さんの生活背景や家族関係にも配慮する総合医療です。今その重要性は、医療圏を超えた当院への多くの入院依頼が証明しています。
さらに当院では、外来や入院診療のみならず、訪問診療、学校や職場などの各種検診、特別養護老人ホーム嘱託医、県のモデル事業を含む医療型短期入所の他、一次救急指定病院にもなっており、地域密着型の医療も提供しています。もちろん設備や専門が違うために当院では出来ない医療もありますが、その際は登米市民病院や石巻赤十字病院などと連携し紹介できているので安心です。
当院は若手医師が率先して研修する病院ではありません。むしろ、ある程度経験を積んだ医師が、その経験を生かした自分流のスタイルで地域医療に貢献していく病院です。何より大事にしているのはスタッフ間のコミュニケーションです。院内では、皆が職種にかかわらず挨拶し、とても雰囲気が良い職場環境となっています。自分なりの自己実現が可能な病院です。
さて、そんな当院の立地は三陸自動車道、登米東和ICから車で2分の場所にあります。病院の傍には雄大な北上川が流れ、絵画のような風景が広がっています。近くの小川には泳ぐ魚が見え、夏には子供たちが手づかみで取ろうとしています。また、町内に源氏ボタルの保護区があり、初夏にはホタルが何千何万と飛び交います。その美しさは息をのむほどで一見の価値があります。
そんな日本の原風景が残る地で、私たちは病気を治す医療だけでなく、一番良い療養の場所を提供します。皆さんに人生の晩年まで、地元で安心して暮らして欲しいからです。新しくなった登米市立米谷病院は適切な医療や療養を提供できるよう今後も努力して参ります。つきましては皆様のご協力、ご支援のほどお願い申し上げます。
登米市立米谷病院 院長 千葉正典

病院理念
患者さんが求める医療や療養を提供または紹介することで、地域で安心して暮らせる病院、市民の皆さんに支持される病院を目指します。
基本方針
1. 登米市民病院や高度医療機関と連携し、幅広い医療提供を実現します。
1. 患者さんの視点に立ち、安心して受診できる病院を目指します。
1. 外来診療や入院診療に加え訪問診療により地域包括ケアに貢献します。
1. 最新の医療情報や技術の習得に努め、医療水準の維持向上に努めます。
1. 職場環境や勤務体制を整備して、職員が働き甲斐を実感できる職場とします。
1. 介護・福祉施設のみならず行政機関とも連携し、多職種連携による経営改善を図ります。