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更新日:2024年2月2日

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平成31年度施政方針

本日ここに、平成31年登米市議会定例会2月定期議会が開会され、平成31年度一般会計予算案をはじめとする各議案のご審議をお願いするに当たり、私の市政運営に向けての所信の一端と主要施策の概要についてご説明申し上げます。

1 はじめに

少子高齢化、人口減少が進展する中にあって、国においては子ども・子育て支援の充実など、社会保障制度を全世代型へとシフトを図るとともに、「人づくり革命」「生産性革命」に取り組むこととしております。

本市の人口は、この1年間で1,246人減少し、本年1月1日現在では7万9,848人と8万人を割り込みました。本市のみならず、我が国の社会構造が大きく変わっていく中で、変化へ柔軟に適応していくことが求められております。

2 市政運営に当たっての重点施策

市民の皆様から市政運営の負託を受け、3年目を迎える本年は、約200年ぶりに天皇が退位され、皇位継承が行われる歴史的な1年となります。

平成29年第2回登米市議会定例会6月定期議会の所信表明でお示しした「人口減少対策」「産業振興」「地域医療の充実」「教育振興」「健康なまちづくり」「安全安心に暮らせるまちづくり」「効率的な行財政運営」の7つの重点施策により、まちづくりをより一層推進していきたいと考えておりますが、新たな元号を迎える本年は、特に、次の3つの分野に力を注ぎ取り組んでまいります。

 

1つ目は、医療であります。

平成16年に開始された新臨床研修医制度の導入によって生じた大都市・大病院への医師の偏在により、地域医療の現場では医師不足が深刻化しております。

本市におきましても、新制度への対応の遅れなどから、市立病院の常勤医師の減少が続いており、医師の確保が最重要課題となっております。

このため、医師確保の仕組みづくりとして、登米市民病院の2年後の基幹型臨床研修病院の指定に向け、東北大学や東北医科薬科大学などから協力をいただくとともに、開業医との連携強化を図りながら、指定要件を達成するよう全力を挙げて取り組んでまいります。

産科・小児科医の招へいにつきましては、県内の医師不足によって3次医療機関に医師が集約されるなど、現状では非常に困難な状況となっておりますが、決してあきらめることなく、開業医の招へいも含めて継続的に取り組んでまいります。

一般病床に療養病床を加えた米谷病院が、本日から新たに開院いたします。

病院・診療所のあり方につきましては、一般急性期医療を担う登米市民病院を中心に、米谷病院と豊里病院では主に慢性期医療を担う役割として機能を分担し、それぞれの連携により、患者の病態に応じた医療提供を行うことができるよう、病院や診療所の再編・ネットワーク化を推進してまいります。

病院事業の経営形態につきましては、これまでの2年間の病院事業改革に向けた取組や、平成22年9月に報告を受けた「登米市立病院の経営形態のあり方懇話会報告書」の報告内容を考慮し、非公務員型の地方独立行政法人への移行に向けて具体的な検討に着手してまいります。

本市の病院事業につきましては、資金不足の解消や経営改善に向けた抜本的な対応が必要であることから、病院事業の改革に向けた対応を明確化するため、病院改革のロードマップを組み込んだ登米市病院事業中長期計画の早期見直しに取り組むとともに、将来的な施設のあり方については、新築移転などのあらゆる選択肢を視野に検討を進めてまいります。

透析医療を担うよねやま診療所につきましては、常勤医師が来年度末で定年退職を迎えることとなっており、その後任医師の確保の見通しや病院事業全体の常勤医師の実情を踏まえると、現状では継続が困難な状況にありますが、透析医療は行政が担わなければならない医療であるとの認識の下、登米市病院事業における継続を含めた今後のあり方について検討してまいります。

 

2つ目は、教育振興・人づくりであります。

学校教育につきましては、継続して国の業務改善加速事業に取り組み、先進地視察研修や教育フォーラムの実施などにより教職員の資質を高めるとともに、学力向上の効果が出ている学校の取組を共有することにより、児童・生徒が主体的に学ぶ登米市独自の授業スタイルを「登米市スタンダード」として確立し、分かる授業づくりを通して学力向上を目指してまいります。

また、2年後から完全実施となる新学習指導要領に基づく小学3年生からの外国語活動の開始に対応するため、外国語指導助手の増員などにより教育環境の充実を図ってまいります。

さらに、適正な児童・生徒数の確保と学校教育施設の配置の基本的な考えをまとめ、地域別の再編方針や推進に係る取組などを示した学校再編構想を保護者や地域の皆様にお示しし、話し合いを重ね、地域ごとの再編実施計画を策定するとともに、中学校の再編に向けた課題整理を併せて進めるなど、学校再編に向けた具体的な取組に着手してまいります。

子育ての支援につきましては、これまで、第3子以降としていた誕生祝金の支給対象を第1子からに拡大し、未来の社会を創造する力となる子どもたちの誕生を心から祝福するとともに、子どもの健やかな成長と安心して子育てできる環境づくりに取り組んでまいります。

また、質の高い幼児期の教育・保育の提供と待機児童の解消を図るため、公設公営による(仮称)豊里こども園や、幼稚園を改修して民間事業者へ貸与する(仮称)津山こども園の整備、民設民営による(仮称)石越こども園の整備支援など、幼保連携型認定こども園の計画的な整備に取り組むとともに、保育所等の事故防止策について強化してまいります。

こうした取組を通じ、地域全体の学力向上を図るとともに、仕事と子育てを両立できるよう、子育ての環境づくりに努め、人づくりを推進してまいります。

 

3つ目は、財政の健全化であります。

平成28年度から開始された普通交付税の段階的な減額の影響がいよいよ顕在化し、今般の平成31年度当初予算編成は大変厳しいものとなりました。

大幅な財源不足が生じたため、自治体財政の生命線である財政調整基金の取り崩しなどにより、かろうじて急場をしのいでいるのが実情であり、今後、このままの予算編成を行っていけば、ここ数年で財政調整基金が枯渇し、大幅な財源不足に陥ることも考えられます。

また、今後も少子高齢化や人口減少の進展による社会保障関係経費などの増嵩が見込まれるとともに、普通交付税をはじめとする一般財源の減額に伴い、財政調整基金を取り崩しての厳しい財政運営が想定されることから、安定した財源の確保と、縮減が見込まれる歳入に見合った財政規模への転換を図ることが必要となります。

このため、国・県等からの財源の裏付けがない一般財源による市の単独事業につきましては、聖域なく見直しを行うなど、全職員が一丸となり、財政健全化基本指針と長期財政計画に基づいた効率的な行財政運営に取り組み、持続可能な財政基盤の確立を図ってまいります。

また、行財政改革を推進するためには、ICTの活用は必要不可欠であります。多様な行政課題に対応するためには業務の効率化が求められることから、ソフトウェア型ロボットによる業務自動化、いわゆるRPAを試験的に導入し、定型業務に費やす時間を減らして、効率化した時間を企画立案業務に振り分けるなど、スマート行政の実現を目指してまいります。

公共施設につきましては、公共施設等総合管理計画に基づき、社会情勢の変化に対応して公共施設等の適正な配置と予算の平準化を図るため、市民の皆様の意見を取り入れながら、来年度末までに施設分類別の具体的な方向性を示す個別施設計画を策定し、持続可能な公共施設マネジメントに取り組んでまいります。

また、老朽化が進む市の保有する公共施設や道路などにつきましても、今後、維持管理費等の増大により財政に深刻な影響を与えることが懸念されることから、今後の人口減少も見据え、新たな施設やインフラの新設整備は極力抑制し、現在、保有する施設等の計画的な修繕や長寿命化を目的に補修を行う「予防保全」対応とするなどの転換を図ってまいります。

歳入の確保につきましては、税収、税外収入を問わず、あらゆる可能性を模索していきます。本年10月に予定されている消費税率の引き上げに関連した使用料・手数料等の改定に加え、行政サービスを維持していくための利用者の負担のあり方について、抜本的な見直しに着手してまいります。

また、有望な税外収入として期待している、ふるさと応援寄附金事業につきましては、本市の次世代につながる取組に共感し、応援いただける個人や団体からの寄附金を財源として、寄附者の思いを反映した事業を推進し、ふるさと応援寄附金をきっかけに生まれた「つながり」を大切にして、更に情報を発信することにより、交流人口の増加や継続的な応援団の獲得などに取り組んでまいります。

本市の行政組織につきましては、合併以来、骨格部分は変更せずに継承してまいりましたが、類似業務について所管部署の分散や重複が見られるようになってきていることから、地域づくりなどの今後における政策課題に対応するため、将来を見据えたコンパクトで機動的な組織のあり方を検討してまいります。

3 平成31年度の主要施策

次に、第二次登米市総合計画の着実な推進に資する主な施策につきまして、5つの基本政策ごとにご説明申し上げます。

 

はじめに、基本政策1の生きる力と創造力を養い自ら学び人が「そだつ」まちづくりについてであります。

少子化の要因の一つでもある未婚化・晩婚化への対応につきましては、結婚活動支援事業に取り組むことで、独身男女の出会いの場の創出を図るとともに、本市で開催されている長沼レガッタや東北風土マラソン&フェスティバルなどのイベントを活用し、独身男女が気軽に交流できる場を提供する取組を進めてまいります。

子育て支援につきましては、子どもを安心して産み育てることができるよう、医療機関や助産所、子育て支援施設等の関係機関と連携し、相談体制の充実を図るほか、保育の受け皿の拡大と保育士の確保などに取り組み、保育が必要な子どもが安心して過ごせる環境づくりを目指してまいります。

また、子育て支援センターでの親子の居場所づくりや相談体制の充実を図るとともに、地域全体の子育て支援活動であるファミリー・サポート・センター事業の利用を促進してまいります。

要保護児童対策につきましては、問題を抱えている子育て世帯への適切な支援や児童虐待の早期発見・防止に向けて、関係機関との連携強化を図るなど、子どもの心身ともに健やかな成長を地域全体で支援してまいります。

不登校の解消につきましては、業務改善により教職員が子どもたちと向き合う時間を確保するとともに、けやき教室や心のケアハウスと連携し、児童・生徒の自立と学校生活への自発的な復帰を促してまいります。

生涯学習の充実につきましては、幅広く学習できる機会を提供し、生涯を通して心豊かな充実した生活を送ることができるよう、知識と情報の収集拠点となる図書館の整備に向けて検討を進めてまいります。

また、若者交流活性化会議を開催し、本市の新たな魅力づくりや隠れた魅力の再発掘のほか、若者が気軽に集い交流の輪を広げる拠点のあり方など、若者の視点や発想によってアイデアを出し合っていただき、本市の魅力あるまちづくりにつなげていく取組を推進してまいります。

高森パークゴルフ場につきましては、本年6月のオープンを予定しており、子どもからシニア世代まで親しまれる宮城県北・岩手県南における広域的な生涯スポーツの拠点施設として、適切な施設管理と効率的な運営に努め、新たなスポーツ拠点の利用促進と交流人口の拡大を推進してまいります。

長沼ボート場につきましては、クラブハウスの完成により、各種団体の合宿や研修のほか、東北風土マラソン&フェスティバルなどのイベントの支援拠点として、交流人口の拡大を図るとともに、県艇庫の増設によって収容スペースが拡充し、長沼ボート場の利便性が更に向上することから、関係団体と連携を図りながらPRを強化し、実業団や大学等の強化合宿、全国規模のボート競技大会の誘致に努めてまいります。

また、2020東京オリンピック・パラリンピック事前合宿の誘致につきましては、ボート競技の出場国が本年8月の世界選手権から翌年4月の四大陸予選会までの大会を経て順次決定していくことから、あらゆる機会を捉え、長沼ボート場の競技環境の素晴らしさをPRし、視察の受入れと事前合宿の誘致に取り組んでまいります。

陸上競技場の整備計画につきましては、未来を担う子どもや若者たちへの投資として整備を目指すため、市民の皆様や関係機関、競技団体などからご意見をいただくとともに、財政面への影響等を考慮しながら、更なる検討を進めてまいります。

文化財の保護・継承につきましては、昨年11月に「米川の水かぶり」を含む「来訪神:仮面・仮装の神々」がユネスコ無形文化遺産に登録が決定されたことから、世界が認めた無形文化遺産を受け継いできた誇りを市民と共有しながら、市内の伝統行事や民俗芸能など、地域が伝承してきた文化の振興を支援してまいります。

また、保存団体と自治体で組織しております「来訪神行事保存・振興全国協議会」として、来訪神行事の認知度の向上や相互の情報交換などの活動も継続してまいります。

さらに、構成する11自治体での連携を図りながら組織的な活動を展開し、ユネスコ無形文化遺産への登録を効果的に活用できるよう取り組んでまいります。

また、地域伝承文化振興方策に基づき、地域に生まれ、引き継がれてきた伝承文化を振興することで、地域の活性化を図り、魅力あふれるまちづくりを推進してまいります。

(仮称)新登米懐古館につきましては、本年9月の開館を予定しておりますが、多くの市民や観光客の方々に来館いただけるよう、展示内容の充実を図るとともに、本市の貴重な文化財の保存に努めてまいります。

 

次に、基本政策2の安全安心な暮らしが支える笑顔で健康に「いきる」まちづくりについてであります。

健康なまちづくりにつきましては、自らの健康に関心を持ち、健全な食生活と生活習慣を身に付けることが健康寿命の延伸につながることから、本市の課題である生活習慣などの改善に向けて、保健活動推進員や食生活改善推進員等の地区組織、学校やPTA、団体、企業等と連携して具体的な行動目標を定め、市民の健康づくりへの意識高揚が図られるよう努めてまいります。

また、健康な生活を確保し、公衆衛生の向上を図るため、国の定める定期予防接種に加え、引き続き本市独自の任意予防接種への助成を行うとともに、新たに中学3年生を対象とした任意での季節性インフルエンザ予防接種に取り組み、市民の健康づくりを支援してまいります。

高齢者福祉につきましては、在宅高齢者の心身機能の維持向上を図るため、生きがいづくりや社会参加を推進するとともに、住み慣れた地域で自立した生活ができるよう、配食サービスなど在宅生活を支援する事業に取り組んでまいります。

また、高齢者の集いの場であるミニデイサービス・シニアサロン事業の推進により、高齢者の心身機能の維持・向上などを促し、介護予防の充実を図るとともに、医療・介護・予防・生活支援の切れ目のないサービスを提供するため、多職種の連携を推進し、地域包括ケアシステムの充実に努めてまいります。

障がい者福祉につきましては、障がいをお持ちの方が住み慣れた地域で自立した社会生活や社会参加を行えるよう、特性に応じた適正なサービスを提供することに加え、本年10月1日から心身障害者医療費助成制度に精神障害者の方を助成対象とするなど、更なる充実に努めてまいります。

低所得者福祉につきましては、低所得者の方が抱えている様々な問題を解消するため、関係機関と連携して相談体制の充実を図るとともに、個別支援計画に沿って計画的・継続的に自立と生活の安定に向けた支援に取り組んでまいります。

国民健康保険事業につきましては、県単位化2年目を迎え、今後も県と連携しながら安定的な運営を図るとともに、特定健康診査や特定保健指導を通じて、被保険者の健康づくりの支援を行い、医療費の適正化に努めてまいります。

防災対策につきましては、屋外拡声装置の更新に着手し、防災情報をより確実に伝達できる環境の整備を進めるとともに、地域防災の要となる消防団員の加入促進と自主防災組織のリーダーとなる防災指導員の育成を図ってまいります。

また、地域防災力の向上を図るため、防災訓練や啓発活動など、地域との連携・協力に努めてまいります。

 

次に、基本政策3の地域資源を活かし魅力ある元気な産業を「つくる」まちづくりについてであります。

水田農業の振興につきましては、人口減少や消費減退により、需要に応じた主食用米の生産が求められることから、価格の安定のため、米の需給調整を継続的に取り組んでまいります。

また、土地利用型の転作作物である麦、大豆、飼料作物等の生産拡大を推進するとともに、多収系品種を活用した輸出用米などによる新市場の開拓や、今後増加が見込まれる業務用需要に対応した米の生産など、登米市産米の需要の拡大に取り組み、農家の経営安定と所得確保に努めてまいります。

担い手対策の推進につきましては、農業従事者が高齢化などにより減少傾向にあることから、高校や農業大学校はもとより、移住・定住希望者などへ本市の就農支援情報の発信を強化してまいります。

また、農業担い手育成支援事業や国の農業次世代人材投資事業の活用と合わせて、新規就農者の確保・育成に取り組むとともに、県や農業委員会、農業協同組合など関係機関との連携を強化し、新規就農者や農業生産法人等の経営課題の解決を支援してまいります。

さらに、農地中間管理事業を活用して担い手への農地集積を促進し、低コスト化や生産性向上などによる農業経営の体質強化を図るとともに、農業振興地域整備計画の見直しに着手し、優良農地の確保・保全に取り組んでまいります。

園芸の振興につきましては、主食用米に偏った農業生産構造からの転換と農業所得の向上を図るため、国の指定産地野菜であるキュウリ、キャベツの更なる栽培面積の拡大を推進するとともに、転作田を活用した新たな土地利用型作物の生産拡大や、高収益が期待される作物の産地化を図ってまいります。

畜産振興につきましては、畜産総合振興対策事業等により、各種優良素畜の導入を支援し、品質の向上と規模拡大を目指すとともに、生産者や生産団体等と連携した人づくりを推進することで、本市の生産技術の高さと仙台牛の主産地としての知名度の向上を図り、肉用牛ブランドの定着化を進めてまいります。

林業の振興につきましては、市内森林のFSC森林認証FM認証の認証面積の拡大を図るとともに、本市の認証面積拡大などの取組が国の林業成長産業化のモデル事業に選定されたことにより、低コスト林業を推進し、木材の生産、加工流通体制の整備に取り組んでまいります。

また、平成31年度より国において、(仮称)森林環境譲与税を財源とした森林経営管理制度が始まることから、市内の適切な森林管理を促進し、意欲と能力のある林業経営体を育成するほか、昨年12月に連携協定を締結した東北工業大学と連携しながら、木工芸の持続的発展に向けて取り組んでまいります。

放射性物質に汚染された農業系廃棄物のうち、8千ベクレルを超え、国から指定を受けた指定廃棄物につきましては、国において処理することとされており、それまでの間は市町村が保管することになっていることから、その保管には万全を期すとともに、最終処分が一日も早く具体化されるよう、引き続き国・県に対して強く働きかけてまいります。

また、8千ベクレル以下の一般廃棄物につきましては、安全性を確認し、土壌還元などによる減量化に向けた取組を推進してまいります。

きのこ類などの特用林産物の生産振興につきましては、市内の汚染ほだ木の林地還元処理が全て終了したことから、生産の再開・拡大に向けて支援してまいります。

産地の魅力向上と農畜産物の消費拡大につきましては、首都圏のホテルや飲食店に対し、登米ブランド認証品をはじめとした本市の魅力ある産品の情報発信に努めるとともに、海外へ販路開拓を目指す生産者に対する支援や、市内農林産物直売施設の販売力の向上に取り組んでまいります。

また、地産地消や食農教育を推進するため、農業協同組合と連携し、学校給食における市内産農産物の利用拡大に努めたことにより、昨年12月の第6回宮城県学校給食「伊達な献立」コンクールにおいて、西部学校給食センターの献立が宮城県知事賞を受賞したことから、今後も地産地消等の取組を積極的に進めるとともに、観音寺セリなど伝統野菜の保存や活用に向けた取組も継続して実施してまいります。

起業・創業の支援につきましては、地域の課題解決に取り組むソーシャルビジネスを新たに支援の対象に加え、地域おこし協力隊を活用して起業・創業に関する相談窓口を開設し、新たな分野へチャレンジする起業家に対して、きめ細やかな支援に努めるとともに、シェアオフィスの有効性について調査・研究を行ってまいります。

また、起業家の掘り起こしを図るため、商工会や大学、金融機関等と連携し、アドバイザー派遣の実施や女性を対象とした起業チャレンジセミナーの開催などを通じて、起業家人材の育成に取り組んでまいります。

商業の振興につきましては、魅力ある個店づくりによる消費者との交流機会を創出する商店街交流創出事業「とめまちゼミ」の取組を拡大するとともに、地域の買い物機能を強化する食料品・日用品等の移動販売や宅配などの新たな販売手法の取組を支援するなど、商店街等の活性化と地元購買力の向上を図ってまいります。

また、中小企業者の経営安定化への円滑な資金調達を支援するとともに、経営課題等の解決に向けた専門家派遣や事業承継対策など、経営支援による商業の持続的発展に取り組んでまいります。

観光の振興につきましては、地域おこし協力隊を活用した地域資源の掘り起こしや磨き上げにより、体験型観光や農家民泊を推進するなど、本市の魅力を発信することで、観光客の増加による交流人口の拡大に取り組んでまいります。

また、4市町連携インバウンド誘客事業の拡充により、広域観光資源を活用したモデルコースを旅行会社等へセールスするなど、台湾やタイなどの訪日外国人旅行者の誘客に努めることで地域活性化を図るとともに、地域連携による観光地域づくり組織の構築に向けて検討するほか、韓国版トレッキングコース「オルレ」の早期認定に向けて取り組んでまいります。

工業の振興・雇用対策につきましては、県の企業誘致関連部署や金融機関との連携強化による企業情報の収集に努め、積極的にトップセールスを行いながら、長沼第二工業団地や(仮称)登米インター工業団地への企業誘致を促進するとともに、市内の既存企業に対しましても、地域の実状に即した支援に努めてまいります。

 

次に、基本政策4の自然と生活環境が調和し人が快適に「くらす」まちづくりについてであります。

環境施策につきましては、本市の豊かな自然環境を守り育て、豊かで快適な暮らしを確保するため、市民との協働により、湖沼等での清掃や水質改善の活動、市民参加による森づくり活動など、自然環境の保全や生活環境の向上への取組を進めてまいります。

また、環境負荷の軽減を図るため、家庭や事業所での節電、リサイクル活動、食品ロス削減などの啓発に取り組むほか、住宅用新エネルギー設備導入支援事業へ新たに太陽熱利用設備設置事業を加え、クリーンエネルギーの普及を推進してまいります。

(仮称)新クリーンセンターの整備につきましては、本年11月の竣工に向けて事業を進めておりますが、燃焼エネルギーを有効活用した発電や、ごみ処理の高性能化などを推進し、経済性に優れた施設として整備・運営してまいります。

移住・定住につきましては、移住・定住サポートセンターを核とした相談者へのきめ細やかな対応と、移住お試し住宅による支援や移住体験ツアーの充実を図るとともに、昨年から分譲を開始しております「ひだまりタウンよねやま」において、子育て世帯などの様々な世代をターゲットとして、積極的な広報活動に努めながら、本市への移住・定住を推進してまいります。

また、みやぎ移住サポートセンターと連携し、地元高校生やUIJターン者、大学生、専門学生などを対象とした就職ガイダンスを開催することで、市内企業の情報を広く発信しながら、労働人口の確保と若者の移住・定住の促進にもつなげてまいります。

シティプロモーションの推進につきましては、「うまし、たくまし、登米市」で表す本市の魅力を市内外に発信するため、本市のシティプロモーションサポーターの増加を図るとともに、サポーターに本市の魅力などを効果的に発信していただき、更なる認知度の向上に努めてまいります。

公営住宅の整備につきましては、公営住宅等長寿命化計画の見直しを行うとともに、公営住宅等整備計画に基づく集約・解体に当たっては、民間企業等のノウハウを活用しながら、住宅に困窮する高齢者、子育て世帯などの住環境の改善に取り組んでまいります。

住まいサポート事業につきましては、子育て世代の移住・定住をより推進する取組を行うとともに、公益社団法人宮城県宅地建物取引業協会並びに公益社団法人全日本不動産協会宮城県本部との連携による研修会の開催など、空き家の利活用に向けた取組も推進し、移住・定住者の創出に努めてまいります。

公共交通機関の整備・充実につきましては、市民バスや住民バス、デマンド型乗合タクシーにより、市民の通院や買い物、通学等の日常生活を支える移動手段の確保に取り組み、利用者の利便性向上と持続可能な公共交通ネットワークの構築を目指してまいります。

道路網の整備につきましては、高速交通網へのアクセス向上や市街地における渋滞緩和を図るため、県北高速幹線道路佐沼インターチェンジへアクセスする梅ノ木・平柳線や、中心市街地の外郭を形成する内環状道路と位置付ける鴻ノ木・薬師島線、石打坂・西舘線について、早期完成に向けて整備を進めてまいります。

また、地域生活に密着した集落間、集落内道路の整備につきましても、安全で快適な交通環境の実現に向けて取り組んでまいります。

交通インフラの整備につきましては、みやぎ県北高速幹線道路の整備が県の事業で進められており、V期区間の北方バイパスの整備により、連続して通行できることで自動車道としての整備効果が最大限発揮されることから、関係自治体とも連携し、国や県に対して早期の事業化に向けた要請活動を強化してまいります。

水道事業につきましては、安全な水道水を安定的に供給するため、基幹浄水場である保呂羽浄水場の更新に向けて、官民連携方式の導入の可能性を調査しながら事業者の選定を進めるとともに、基幹管路の老朽管更新事業や耐震化の向上に取り組むことで、より強靭な水道を目指してまいります。

下水道事業につきましては、水洗化率の向上に努めるほか、施設全体の持続的な機能確保と維持管理経費の縮減に取り組むとともに、来年4月の地方公営企業法適用や水道事業との組織統合に向け、固定資産評価や公営企業会計システムの構築などの移行作業を進め、公営企業として効率的な事業運営や組織・業務の合理化を図りながら、将来にわたり健全で持続可能な企業経営を目指してまいります。

また、集中豪雨等により浸水被害が発生している迫町大東地区における被害の軽減を図るため、排水路の整備を行い、市民の不安解消に努めてまいります。

 

最後に、基本政策5の市民と行政が「ともに」創る協働によるまちづくりについてであります。

市民参加と協働によるまちづくりの推進につきましては、市長へのメールや提言箱、移動市長室、市政モニター制度などの広聴活動を通して、市民ニーズや地域の課題を把握し、より多くの意見や要望がまちづくりに反映できるよう取組を進めてまいります。

地域づくりの推進につきましては、コミュニティ組織における地域づくり計画の見直しに当たり、地域の課題解決を図る事業にこれまで以上に取り組んでいただけるよう支援するとともに、とめ市民活動プラザを中心として、スキル向上のための研修会や各種講座の開催などにより、市民活動団体等の育成と新たなリーダー養成に努めてまいります。

また、総合支所が地域づくりの拠り所としての機能を更に発揮するため、地域づくり検討会議における活発な意見交換や話し合いの下、地域課題を自助・共助・公助に整理しながら、公助とすべき地域課題は関係部署と連携して課題解決や政策へ結び付けるなど、地域の特性を活かした地域づくりの推進に努めてまいります。

女性の活動支援につきましては、子育て世代の女性の視点で女性が暮らしやすいまちづくりについて、検討・提案いただく場として設置しました女性会議を引き続き開催し、提案いただいた意見について、実現可能となるよう調査・検討を重ね、市が実施する各種施策に反映させることで、女性の市政参加を推進してまいります。

4 平成31年度の当初予算

以上、申し上げてまいりました重点施策、主要施策を遂行するため、平成31年度の当初予算は、一般会計470億2,992万9千円、特別会計242億5,344万4千円、企業会計139億6,024万1千円、総額では、852億4,361万4千円となりました。

予算全体では、前年度当初予算比で8.7パーセントの減、一般会計は12.4パーセントの減、特別会計は4.4パーセントの減、企業会計は2.8パーセントの減となっております。

本市の財政を見通しますと、歳入の柱である市税収入は、国内景気が回復基調の見込みであるものの今後も大きな伸びは期待できず、更に普通交付税は、合併算定替による特例加算額が段階的に縮減されている影響などにより大幅な減額が見込まれ、これらに加えて、地方譲与税や各種交付金につきましても大きな増加が見込めないなど、これまで以上に一般財源の確保が難しくなることが確実に見込まれており、今後の財政運営につきましても、自治体財政の生命線である財政調整基金からの繰り入れに頼らざるを得ない厳しい状況が想定されます。

歳出面におきましては、少子高齢化の急速な進展に伴う社会保障関係経費や子育て支援の各種施策に係る経費の増嵩が想定される中、継続事業として実施している(仮称)新クリーンセンターや(仮称)新登米懐古館の整備に加え、小中学校の環境整備や道路、下水道等のインフラ整備などに多額の需要が見込まれております。

このような状況の中、平成31年度の予算編成に当たりましては、歳入に見合った歳出予算を編成するという基本姿勢に立ち、徹底した経費の見直しとゼロベースからの積み上げを行い、第二次登米市総合計画に掲げた政策目標の実現に向け、重点化すべき施策を絞り込むなど、限られた財源を効果的・効率的に配分したところでありますが、財源確保のために財政調整基金をはじめとする各種基金から多額の繰り入れを行うなど、厳しい予算編成となったところであります。

5 結びに

今、まさに本市の持続可能性が問われております。もはや課題の先送りは許されない、待ったなしの状況であります。市長に就任してから今日まで、市政の発展のために邁進してまいりましたが、平成のその先の時代に、緑豊かな我が郷土を引き継ぐため、決して困難な状況から目をそらすことなく、諸課題に全力で立ち向かう所存であります。

この難局打開のため、市民の皆様並びに議員各位の格段のご理解とご協力、ご支援を賜りますようお願い申し上げ、施政方針といたします。

お問い合わせ

登米市総務部市長公室

〒987-0511 登米市迫町佐沼字中江二丁目6番地1

電話番号:0220-22-2090

ファクス番号:0220-22-9164

メールアドレス:koho@city.tome.miyagi.jp

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