○登米市子ども・子育て条例
令和4年9月15日
条例第22号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 子どもの権利を守る責務及び役割(第4条―第8条)
第3章 子どもの支援に関する市の基本的な施策(第9条―第13条)
第4章 情報提供及び検証体制(第14条―第17条)
第5章 雑則(第18条)
附則
子どもは社会の希望、未来をつくる力であり、生まれながらにして、生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利を持っています。
子どもは一人ひとりがかけがえのない存在であり、登米市の「宝」です。
子どもは大人からの愛情を受けることにより、自分や他者を大切にする心を育みます。また、自ら気づき、考え、行動することにより、多くのことを学ぶことができます。そして、経験することを通して、生きる力を育みます。
水と緑の豊かな自然に囲まれたこの地において、子どもの健やかな成長と子育てを支援することは未来への投資でもあり、保護者の経済状況や幼少期の成育環境によって格差が生じることがないよう、子どもの最善の利益を考え、子どもに関わる全ての者が一体となって子育てに取り組むことが必要です。
このことから、基本理念を明らかにし、一人ひとりが自らの役割を認識し行動することにより、全ての子どもが安心して健やかに成長することのできる地域社会の実現を願い、ここに、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、登米市(以下「市」といいます。)において、子どもや子育てを取り巻く環境が多様化する中、子ども・子育て支援の推進に関する基本理念を定め、市、保護者、市民等、学校等関係者及び事業者それぞれの責務及び役割を明らかにするとともに、市が取り組むべき施策を総合的かつ計画的に推進することで、全ての子どもが安心して健やかに成長することのできる地域社会の実現を図ることを目的とします。
(1) 子ども 18歳に達する日の属する年度の末日までの間にある者をいいます。
(2) 保護者 親及び里親その他の親に代わり子どもを養育する者をいいます。
(3) 市民等 市民並びに市内において市民活動を行う個人及び団体をいいます。
(4) 学校等関係者 幼稚園、保育所、認定こども園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校等その他子どもが学び、及び成長することを目的として通学し、通園し、通所し、又は入所する施設の関係者をいいます。
(5) 事業者 市内において事業活動を行う個人及び団体をいいます。
(6) いじめ等 いじめ、虐待、体罰、差別、偏見等子どもの心身に重大な影響を及ぼすものをいいます。
(7) 協働 市、保護者、市民等、学校等関係者及び事業者がそれぞれの果たすべき責務及び役割を認識し、互いに協力して取り組むことをいいます。
(基本理念)
第3条 子どもが教育の機会を確保され、成長段階に応じた学びや遊びなどを通じて人間関係を構築し、自ら意見を表明するなど主体的に社会に参加することができる環境を整備していきます。
2 子ども一人ひとりがかけがえのない存在であることを認識し、子どもがいじめ等に悩み、又は苦しむことなく安心して生きていくことができるよう、子どもの人権を尊重していきます。
3 子どもが自らを大切に思う気持ちや他者を思いやる心を育み、規範意識を身につけることにより、他者の人権を尊重し、次代の社会を担うことができるよう支援していきます。
4 子どもや子育て家庭への支援は、協働して継続的に行っていきます。
第2章 子どもの権利を守る責務及び役割
(市の責務)
第4条 市は、基本理念にのっとり、子どもへの支援に関する総合的かつ計画的な施策を、国、県、他の地方公共団体その他の関係機関と連携し、実施していきます。
2 市は、保護者、市民等、学校等関係者及び事業者がそれぞれの役割を果たすことができるよう、これらの者に対して必要な支援を行っていきます。
(保護者の役割)
第5条 保護者は、基本理念にのっとり、子どもの最善の利益を第一に考えるとともに、子どもにとって家庭が自分らしく過ごせる居場所となるよう、愛情をもって子どもの成長及び発達に応じた養育に努めなければなりません。
2 保護者は、家庭が子どもの人格形成に基本的な役割を果たすことを認識し、子どもが豊かな人間性及び社会性を身につけて成長していくために必要な協力を周囲から得て、より良い家庭環境をつくるよう努めなければなりません。
(市民等の役割)
第6条 市民等は、基本理念にのっとり、子どもへの支援の重要性について関心及び理解を深めるとともに、子どもへの支援に関する施策に協働して取り組むよう努めます。
(学校等関係者の役割)
第7条 学校等関係者は、基本理念にのっとり、子どもがその成長及び発達に応じて、主体的に学ぶことができるよう子どもへの必要な支援に努めます。
2 学校等関係者は、いじめ等から子どもを守り、子どもの安全及び安心を確保するよう努めなければなりません。
(事業者の役割)
第8条 事業者は、基本理念にのっとり、社会的な影響力及び責任を意識して、子どもの健やかな成長を支援する活動を行い、子どもへの支援に関する施策に協働して取り組むよう努めます。
2 事業者は、雇用する労働者が子どもに接する時間を十分に確保し、仕事と子育てを両立することが可能となるよう、雇用環境の整備及び当該労働者が仕事と生活の調和について考える機会の確保に努めます。
第3章 子どもの支援に関する市の基本的な施策
(子どもの成長への支援)
第9条 市は、子どもが健やかに成長するために、安全で安心な環境づくりに努めるとともに、子どもが社会の一員として自立していくことに繋がる施策を検討し、関係機関等と連携を図り、事業の実施及び改善に努めます。
(相談支援体制の整備等)
第10条 市は、子どもとその家族への支援の充実を図るため、子どもに関する問題について安心して相談することができる総合的な相談の体制を構築していきます。
2 市は、子どもが抱える様々な悩みに対して、子ども自身が相談できる機会を確保するための事業の実施及び改善に努めます。
(支援が必要な子どもへの支援)
第11条 市は、障がい、いじめ等、不登校、経済的困難、家庭環境等により支援を必要とする全ての子どもに対して、その状況に応じ、関係機関等と連携し、必要な支援を行っていきます。
2 市は、関係機関等と連携し、いじめ等の防止及び早期発見に取り組んでいきます。
(家庭環境に応じた子育て家庭への支援)
第12条 市は、様々な子育て家庭に対して、その環境に応じ、協働して子どもが安心して生活することができるための必要な支援を行っていきます。
(切れ目のない支援)
第13条 市は、市民が安心して子どもを産み、育て、子どもが健やかに成長することができるよう、妊娠、出産並びにその後の子育てにおける様々な段階及び状況に応じた必要な施策を検討し、事業の実施及び改善に努めます。
第4章 情報提供及び検証体制
(子どもへの分かりやすい情報提供)
第14条 市、市民等、学校等関係者及び事業者は、自らが行う子どもへの支援に関する施策や取組等について、子ども自身が理解を深め必要な支援を受けることができるよう、必要な情報を分かりやすく伝えるよう努めます。
(意見表明や社会参加の促進)
第15条 市は、子どもが社会の一員として自分の考えや意見を表明するなど社会に参加する機会を設けるよう努めます。
2 市、保護者、市民等、学校等関係者及び事業者は、子どもの意見表明等の社会参加を促進するため、子どもの考えや意見を尊重するとともに、子どもの主体的な社会活動を支援するよう努めます。
(広報及び啓発)
第16条 市は、子どもへの支援に関する関心及び理解を深めるため、必要な広報及び啓発を行っていきます。
(調査検証等)
第17条 市は、子どもへの支援に関する施策の推進に関し、調査、検証及び見直しを行うため、登米市子ども・子育て会議条例(平成25年登米市条例第44号)に規定する登米市子ども・子育て会議の意見を聴くものとします。
第5章 雑則
(委任)
第18条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定めます。
附則
この条例は、令和4年10月1日から施行します。