○登米市自然環境等と再生可能エネルギー発電事業との調和に関する条例
令和4年6月8日
条例第16号
(目的)
第1条 この条例は、登米市の豊かな自然環境や美しい景観及び安全・安心な生活環境(以下「自然環境等」という。)の保全と事業者による地域資源を活かした再生可能エネルギー発電事業との調和を図るために必要な事項を定めることにより、自然環境等に配慮した、潤いのある豊かな地域社会及び住み続けられるまちづくりに寄与することを目的とする。
(1) 再生可能エネルギー源 エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律施行令(平成21年政令第222号)第4条に規定するものをいう。
(2) 再生可能エネルギー発電設備 再生可能エネルギー源を電気に変換する設備及びその附属設備(送電に係る電柱等を除く。)をいう。
(3) 事業 再生可能エネルギー発電設備の設置(再生可能エネルギー発電設備を設置するために行われる土地の造成工事(立木の伐採、切土、盛土等を含む。)を含む。)及び再生可能エネルギー発電設備による発電を行う事業をいう。
(4) 事業者 事業を計画し、又はこれを実施する者をいう。ただし、国及び地方公共団体を除く。
(5) 事業区域 事業を行う一団の土地(再生可能エネルギー発電設備の附属設備である管理施設、変電施設、緩衝帯等に係る土地を含む。)であって、柵、塀等の工作物の設置その他の方法により他の土地と区別された区域をいう。
(6) 建築物 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定するものをいう。
(7) 事業地域 事業区域を含む行政区(登米市区長設置規則(平成17年登米市規則第5号)第1条に規定する区をいう。以下同じ。)及び事業の実施により自然環境等に一定の影響がある行政区をいう。
(8) 住民等 事業地域内に居住する者及び所在する法人その他の団体並びに事業地域内に土地若しくは建築物を所有し、又は使用する者で、事業により影響を受けると認められるものをいう。
(9) 廃棄物 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項に規定するものをいう。
(10) 土地所有者等 事業区域の土地の所有者、占有者及び管理者をいう。
(基本理念)
第3条 本市は「水の里」の名のとおり、先人の努力により長い年月をかけて守り育てられてきた自然環境等に恵まれており、このかけがえのない自然環境等を、現在及び将来に渡って市民が等しくその恵沢を享受し、持続可能な未来を構築できるよう、市民の意向も踏まえて、その保全及び活用が図られなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、この条例の適切かつ円滑な運用を図らなければならない。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、関係法令及びこの条例の規定を遵守するとともに、自然環境等に十分配慮し、住民等との良好な関係を保持し、かつ、地域振興に寄与するよう努めなければならない。
2 事業者は、事業の実施並びに再生可能エネルギー発電設備及び事業区域の管理に万全を期するよう努めなければならない。
3 事業者は、事業で発生する廃棄物を適正に処理するとともに、事業を終了しようとするときは、再生可能エネルギー発電設備を放置することなく速やかに撤去し、及び適正に処分し、並びに事業区域に係る土地を原状に回復するよう努めなければならない。ただし、第16条第3項の規定による事業区域の跡地の有効活用の推進を求められた場合は、この限りでない。
(市民の責務)
第6条 市民は、基本理念にのっとり、市の施策及びこの条例に定める手続の実施に協力するよう努めなければならない。
(土地所有者等の責務)
第7条 土地所有者等は、基本理念にのっとり、事業により、自然環境等を損ない、又は災害の発生を助長するおそれのある事業を行おうとする事業者に対し、土地を使用させないよう努めなければならない。
2 土地所有者等は、基本理念にのっとり、事業により、自然環境等を損ない、災害による被害等が発生しないよう、事業者に対し、土地を適正に管理することを求めるよう努めなければならない。
(適用を受ける事業)
第8条 この条例の規定は、再生可能エネルギー発電設備の出力の合計(以下「発電出力」という。)が10キロワット以上の事業に適用する。ただし、太陽光を再生可能エネルギー源とする事業で次に掲げるものについては、この限りでない。
(1) 建築物の屋根又は屋上で行う事業
(2) 次条に規定する抑制区域以外に設置する発電出力50キロワット未満の事業
2 この条例の規定は、既存の再生可能エネルギー発電設備を増設することにより、前項に規定する発電出力以上となる事業にも適用する。
(抑制区域)
第9条 市長は、次の各号のいずれかに該当し、かつ、特に必要があると認めるときは、規則で定めるところにより、事業者に対し事業の抑制を求めることができる区域(以下「抑制区域」という。)を指定することができる。
(1) 土砂災害その他自然災害による被害の危険性が高い場所であること。
(2) 豊かな自然環境が保たれ、地域における貴重な資源として認められる場所であること。
(3) 特色ある景観として良好な状態が保たれている場所であること。
(4) 歴史的又は文化的な特色を有する区域として保全する必要がある場所であること。
(5) 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める理由のある区域
2 市長は、必要があると認めるときは、前項の規定により指定した抑制区域を変更し、又はその指定を解除することができる。
3 市長は、前2項の規定により抑制区域を指定し、又はその指定を変更し、若しくは解除しようとするときは、登米市環境基本条例(平成19年登米市条例第6号)第34条に規定する登米市環境審議会(以下「登米市環境審議会」という。)の意見を聴かなければならない。
(説明会の開催)
第10条 事業者は、事業を実施しようとするときは、次条第1項の規定による届出を行う前に、住民等に対し、事業の内容等に関する説明会を開催しなければならない。
2 事業者は、次条第3項の規定による変更の届出を行う前に、住民等に対し、事業の内容等の変更に関する説明会を開催しなければならない。ただし、事業の内容等の変更が規則で定める軽微なものについては、この限りでない。
3 事業者は、説明会において住民等の理解を得られるよう努めるものとする。
4 住民等は、説明会を開催した事業者に対し、事業の内容等について意見を申し出ることができる。この場合において、事業者は、意見に対する見解を記載した書面を作成し、住民等に交付の上、誠意をもって当該住民等と協議しなければならない。
(事業実施に係る届出)
第11条 事業者は、事業を実施しようとするときは、次に掲げる事項を市長に届け出、かつ、同意を得なければならない。
(1) 事業者の氏名及び住所(法人その他の団体にあっては、その名称及び代表者の氏名並びに主たる事務所の所在地。第19条第1項において同じ。)
(2) 事業区域の所在地及び面積
(3) 事業の内容
(4) 再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(平成23年法律第108号)第9条第1項の規定による申請をする日(同項の規定による申請をする事業者に限る。)
(5) 再生可能エネルギー発電設備の設置に係る工事(以下「工事」という。)の着手予定日及び完了予定日
(6) 前各号に掲げるもののほか、規則で定める事項
2 前項の規定による届出は、事業に着手しようとする日として規則で定める日の90日前までに行わなければならない。
3 事業者は、第1項の規定により届出をした事項を変更しようとするときは、速やかにその旨を市長に届け出、かつ、同意を得なければならない。
(同意)
第12条 市長は、前条の規定による届出があった場合において、当該届出に係る事業の計画が規則で定める基準に適合していると認めるときは、同意するものとする。
3 市長は、同意に際し、自然環境等の保全及び災害の防止のために必要な条件を付することができる。
(工事の着手等の届出)
第13条 事業者は、工事に着手し、若しくは工事を完了し、又は工事を中止し、若しくは中止していた工事を再開するときは、速やかにその旨を市長に届け出なければならない。
(工事の確認)
第14条 市長は、前条の規定による届出があったときは、速やかに現地を確認するものとする。
(地位の承継の届出等)
第15条 事業者から事業の譲渡、相続、売買、合併又は分割によりその地位を承継した者は、地位を承継した日から起算して14日以内に市長に届け出なければならない。
2 地位を承継した者は、当該承継に係る事業について付された一切の条件を遵守するものとする。
(事業の終了等の届出)
第16条 事業者は、事業を終了したときは、事業を終了した日から起算して30日以内に市長に届け出なければならない。
2 事業者は、再生可能エネルギー発電設備の撤去が完了したときは、撤去を完了した日から起算して30日以内に市長に届け出なければならない。
3 市長は、第1項の規定による届出があったときは、当該事業区域の跡地の有効活用を推進するよう求めることができる。
(報告及び立入調査)
第17条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、事業者に対し報告及び資料の提出を求め、並びに市の職員に事業区域に係る土地に立ち入り、当該事業に関する事項について調査させ、関係者に質問させることができる。
2 前項の規定による立入調査をする市の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
(助言、指導又は勧告)
第18条 市長は、必要があると認めるときは、事業者に対して、助言又は指導を行うことができる。
2 市長は、次の各号のいずれかに該当すると認められるときは、事業者に対して、期限を定めて必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
(1) 第11条の規定による届出を行わないとき、又は届出の内容に虚偽があるとき。
(2) 正当な理由なく第12条第1項の規定による市長の同意を得ずに事業に着手したとき。
(3) 前条第1項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告若しくは資料の提出をし、又は立入調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に答弁せず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。
(4) 正当な理由なく前項の規定による助言又は指導に従わなかったとき。
3 市長は、必要があると認めるときは、土地所有者等に対して、助言を行うことができる。
(公表)
第19条 市長は、前条第2項の規定による勧告を受けた事業者が、正当な理由なく当該勧告に従わないときは、登米市環境審議会の意見を聴いた上で、当該勧告に従わない事業者の氏名及び住所並びに当該勧告の内容を公表することができる。
2 市長は、前項の規定により公表しようとするときは、あらかじめ、当該事業者に弁明の機会を与えなければならない。
(委任)
第20条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の日(以下「施行日」という。)前において、再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法第9条第1項の規定による申請を行った事業(以下「再エネ特措法による申請済事業」という。)について、この条例の規定は、適用しない。
3 前項の規定にかかわらず、施行日前において、再エネ特措法による申請済事業であっても現に工事に着手していない事業については、この条例の規定(第12条及び第18条第2項第2号を除く。)を適用する。