○登米市議会ハラスメント防止条例

令和7年3月12日

条例第10号

(目的)

第1条 この条例は、登米市議会議員(以下「議員」という。)の間におけるハラスメント及び議員から職員に対するハラスメントの防止及びその根絶のために必要な事項を定め、もって市民から信頼される品格ある議会の実現に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) ハラスメント パワー・ハラスメント、セクシュアル・ハラスメント、妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントその他これらに類する言動であって、相手方の勤務環境を害するものをいう。

(2) パワー・ハラスメント 職務に関する優越的な関係を背景として行われる、業務上必要かつ相当な範囲を超える言動であって、相手方の勤務環境を害するものをいう。

(3) セクシュアル・ハラスメント 相手方に不快感を与える性的な言動であって、相手方の勤務環境を害するものをいう。

(4) 妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメント 妊娠したこと、出産したこと若しくは妊娠若しくは出産に起因する症状により勤務することができないこと等に対する言動又は妊娠、出産、育児若しくは介護に関する制度若しくは措置の利用に対する言動であって、相手方の勤務環境を害するものをいう。

(5) 職員 市の一般職の職員及び特別職(議員を除く。)の職員をいう。

(議長の責務)

第3条 議長は、ハラスメントの防止及び根絶に努めるとともに、ハラスメントと認める行為があったときは、迅速かつ適切に必要な措置を講じなければならない。

(議員の責務)

第4条 議員は、市民の代表者として常に高い倫理観を持ち、ハラスメントが個人の尊厳を不当に傷つけ、その能力の発揮や良好な勤務環境を害する行為であることを自覚し、自らの言動を厳しく律するとともに、いかなるハラスメントも行ってはならない。

2 議員は、ハラスメントの防止及び根絶に努めなければならない。

3 議員は、自らの行為がハラスメントの疑いがあるとされたときは、自ら誠実な態度をもって事実確認等の調査に積極的に協力し、説明責任を果たさなければならない。

4 議員は、議員間のハラスメント又は議員から職員に対するハラスメントに当たる行為があると認める事態に遭遇したときは、当該行為を行っている議員に対し、厳に慎むべき旨を指摘するなど、率先してハラスメントの防止に取り組むとともに、議長に対し当該事態を報告しなければならない。

(研修及び調査)

第5条 議長は、ハラスメントの防止及び根絶を図るため、議員に対し、必要な研修を実施しなければならない。

2 議長は、ハラスメントの実態を把握するため、必要があると認めるときは、議員、職員等に対し調査を実施することができる。

(相談等)

第6条 ハラスメント(議員の間におけるもの及び議員から職員に対するものに限る。以下この条、次条第12条及び第13条において同じ。)に関する申出、相談等(以下「申出等」という。)の円滑かつ公正な解決を図るため、議会事務局に議会ハラスメント相談窓口(以下「相談窓口」という。)を置く。

2 相談窓口に相談員を置き、相談員は議会事務局の職員をもって充てる。

3 議長は、第4条第4項の規定による報告があったときは、速やかに相談窓口に事実の確認及び調査を指示しなければならない。

4 相談員は、申出等を行った者(以下「申出人」という。)からの聴取等による事実の確認及び調査並びにハラスメントに関する相談を行い、その対応状況及び結果を速やかに議長に報告するものとする。

5 議長は、相談員に対し、申出等を解決するための必要な措置を講ずるよう命じることができる。

6 議長は、申出人及び調査等に協力した関係者が報復等の不利益を受けることを防止しなければならない。

(審査委員会の設置等)

第7条 議長は、ハラスメントの事実関係を把握するとともに、第12条第1項に規定する措置及びハラスメントの防止策を講ずるための審査を行うため、登米市議会ハラスメント審査委員会(以下「審査委員会」という。)を直ちに設置しなければならない。

2 審査委員会は、申出人の求めがあったときは、事案の調査等の途中であっても、審査を終えることができる。

(審査委員会の組織)

第8条 審査委員会は、議員及び職員のうちから、議長が指名する委員6人以内で組織する。

2 議長は、前項の規定により職員を指名するに当たっては、市長と協議の上、職員の派遣を要請するものとする。

3 審査委員会に会長及び副会長を置き、委員の互選によりこれを定める。

4 会長は、審査委員会を代表し、会務を総理する。

5 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。

(審査委員会の会議)

第9条 審査委員会の会議は、会長が招集する。ただし、会長が互選される前に開かれる会議は、議長が招集する。

2 審査委員会は、委員の半数以上が出席しなければ、会議を開くことができない。

3 審査委員会は、審査のため必要があると認めるときは、識見を有する者等に対し、その出席を求め、意見を聴くことができるものとする。

4 審査委員会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。

5 前項の規定にかかわらず、審査委員会は、申出等の対象とされた議員(以下「審査対象議員」という。)について、第12条第1項各号に掲げる措置を講ずるべき旨を審査の結果として報告しようとするときは、委員の3分の2以上の者が出席し、その4分の3以上の多数によりこれを決定しなければならない。

6 審査委員会の会議は、非公開とする。

(審査結果の報告)

第10条 審査委員会は、審査を終えたときは、速やかにその結果を議長に報告しなければならない。

(審査結果の通知及び弁明)

第11条 議長は、審査の結果の報告を受けたときは、申出人及び審査対象議員に対し、その内容を通知するものとする。

2 前項の規定により通知を受けた審査対象議員は、その通知を受けた日から14日以内に、弁明書(審査の結果に対する弁明を記載した書面をいう。)を議長に提出することができる。

(審査結果の措置及び公表)

第12条 議長は、審査の結果の報告があったときは、ハラスメントの事実が確認された議員に対して、全員協議会に諮り、次の各号のいずれかの措置を講ずることができる。

(1) 議員の辞職勧告を行うこと。

(2) 議会の役職の辞任勧告を行うこと。

(3) 一定期間の出席自粛勧告を行うこと。

(4) この条例の規定を遵守させるための警告を行うこと。

(5) 前各号に掲げるもののほか、議長が必要と認める措置を行うこと。

2 議長は、前項の規定により措置を講じたときは、ハラスメントの事実が確認された議員の氏名及びその要旨を議会報及び議会のホームページに掲載し、公表するものとする。

3 前項の規定にかかわらず、申出人が公表を望まないときは、ハラスメントの事実が確認された議員の氏名及びその要旨を公表しない。

(被害者等のプライバシーの保護)

第13条 議員は、ハラスメントの被害者及び関係者のプライバシーの確保に十分配慮し、当該ハラスメントに関し、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

(議長職務の代行)

第14条 議長が調査等の対象になった場合にあっては副議長が、議長及び副議長が共に調査等の対象となった場合にあっては、年長の議員がこの条例に規定する議長の職務を行うものとする。

(委任)

第15条 この条例の施行に関し必要な事項は、議長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(適用区分)

2 第6条から第13条までの規定は、この条例の施行の日以後に行われたハラスメントについて適用する。

登米市議会ハラスメント防止条例

令和7年3月12日 条例第10号

(令和7年3月12日施行)