○登米市景観条例
平成24年3月13日
条例第4号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第6条)
第2章 景観計画(第7条―第9条)
第3章 景観法に基づく行為の制限(第10条―第14条)
第4章 景観重要建造物等(第15条―第18条)
第5章 景観地区(第19条・第20条)
第6章 景観形成の推進(第21条―第24条)
第7章 雑則(第25条)
附則
私たちが暮らす登米市は、ラムサール条約に登録されている伊豆沼・内沼及び市を北から南に流れる北上川・迫川のつくる水辺空間、宮城県有数の米どころを支える広大な田園風景、歴史・文化に彩られた建造物並びに四季折々の植生等に育まれた良好な景観があり、これらはかけがえのない市民共有の貴重な財産である。
この登米市固有の景観は、この地に生まれ育った住民の原風景として、一人ひとりの心の中に深く刻み込まれ、故郷を思う時に懐かしさ、温かさ、安らぎ等を感じるとともに、地域への愛着を強め、誇りを高めているものである。
この魅力にあふれた登米市固有の景観を「守り」「活かし」「創り」「育て」るため、市民、事業者及び市の三者の連携のもとに、次世代の地域に伝え残すための様々な取組を実践する必要がある。
これらの取組は、登米市固有の景観を保全することのみならず新たに良好な景観を創出することにつながり、市の歴史・文化を継承し、豊かで魅力ある生活環境を創造し、町並みや田園風景などの美しい風景を資源とした観光その他の地域間交流の促進に結び付け、もって市民生活の向上並びに地域経済及び地域社会の健全な発展に寄与することを目指し、ここに登米市景観条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、市における良好な景観の形成の促進及び景観法(平成16年法律第110号。以下「法」という。)の施行に関し必要な事項を定めることにより、市民生活の向上並びに地域経済及び地域社会の健全な発展に寄与することを目的とする。
(理念)
第2条 風格ある歴史・文化を表す風景を市の重要な財産として次世代に引き継ぐとともに、自然と共生したふるさとの風景を守り育て、景観の価値を高めなければならない。
2 景観に新たな価値又は魅力を加えることにより、市の持続的な発展を支え、市民にとって心地よく、にぎわい及び活力の感じられる景観を創り、生み出していかなければならない。
(1) 建築物 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。ただし、これに附属する門及び塀を除く。
(2) 工作物 建築物以外のものであって、次に掲げるものをいう。
ア 煙突、排気塔その他これらに類するもの
イ 鉄筋コンクリート造の柱、鉄柱その他これらに類するもの
ウ 高架水槽、物見塔その他これらに類するもの
エ 観覧車、飛行塔、メリーゴーランド、ウォーターシュート、コースターその他これらに類するもの
オ コンクリートプラント、アスファルトプラントその他これらに類するもの
カ 石油、ガス、飼料等の貯蔵に係るもの
キ 汚物処理施設、ごみ処理施設その他これらに類するもの
ク 自動車車庫の用途に供するもの
ケ 彫像、記念碑その他これらに類するもの
コ 擁壁、柵、塀その他これらに類するもの
サ 電気供給のための電線路、電気通信のための線路、空中線系(その支持物を含む。)その他これらに類するもの
(市民の責務)
第4条 市民は、景観が市民共有の財産であることを認識し、市全体の良好な景観の形成に積極的な役割を果たすよう努めるとともに、市が実施する良好な景観の形成に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、土地の利用等の事業活動が景観の形成に大きな影響を与え、また、事業所の施設が景観の重要な要素であることを認識し、市全体の良好な景観の形成に自主的に努めるとともに、市が実施する良好な景観の形成に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(市の責務)
第6条 市は、良好な景観の形成を進めるための施策を総合的に策定し、計画的に実施するとともに、施策の実効性を高めるものとする。
2 市は、市民及び事業者の主体的な取組を促すため、景観に関する知識の普及、意識の高揚に関する施策その他必要な支援に努めるものとする。
第2章 景観計画
(景観計画の策定等)
第7条 市は、市の全域について法第8条第1項の規定に基づく景観計画(以下「景観計画」という。)を策定するものとする。
2 市は、景観計画を策定し、又は変更しようとするときは、法第9条の規定によるほか、第21条に規定する登米市景観形成会議の意見を聴くものとする。
(重要景観計画区域)
第8条 市は、景観計画に定める景観計画区域のうち、特に良好な景観の形成に関する施策が必要と認められる区域を重要景観計画区域(以下「重要景観計画区域」という。)として定めるものとする。
2 市は、重要景観計画区域の拡充に努めるものとする。
3 市は、重要景観計画区域を定めたときは、当該区域内の権原を有する者からの意見を踏まえ、土地又は建物の状況を考慮しつつ、必要に応じ、当該重要景観計画区域を法第61条第1項に規定する景観地区として定め、又は法第74条第1項に規定する準景観地区として指定するよう努めるものとする。
(景観計画への適合)
第9条 市長は、建築物の建築等又は工作物の建設等を行うに当たっては、景観計画に適合させなければならない。
2 建築物の建築等又は工作物の建設等を行う者は、景観計画に適合させるよう努めるものとする。
第3章 景観法に基づく行為の制限
(届出を要する行為)
第10条 法第16条第1項第4号の条例で定める行為は、次のとおりとする。
(1) 土地の開墾、土石の採取、鉱物の掘採その他土地の形質の変更
(2) 木竹の伐採
(3) 屋外における物件の堆積
第11条 法第16条第1項及び第2項の規定による届出は、着手日の30日前までに行うものとする。
(届出を要しない行為)
第12条 法第16条第7項第11号の条例で定める届出を要しない行為は、別表のとおりとする。
(特定届出対象行為)
第13条 法第17条第1項の条例で定める特定届出対象行為は、法第16条第1項第1号及び第2号に掲げる行為とする。
(勧告、命令等の意見聴取)
第14条 市長は、法第16条第3項の規定による勧告、法第17条第1項又は第5項の規定による命令その他の行為をしようとする場合において、必要があると認めるときは、第21条に規定する登米市景観形成会議の意見を聴くことができる。
第4章 景観重要建造物等
(景観重要建造物等の指定)
第15条 市長は、法第19条第1項に規定する景観重要建造物及び法第28条第1項に規定する景観重要樹木(以下「景観重要建造物等」という。)の指定をしようとするときは、あらかじめ、第21条に規定する登米市景観形成会議の意見を聴かなければならない。
2 市長は、前項の規定により景観重要建造物等を指定したときは、その旨を告示しなければならない。
3 前2項の規定は、法第27条第1項及び法第35条第1項の規定による景観重要建造物等の指定の解除について準用する。
(景観重要建造物の管理の方法の基準)
第16条 法第25条第2項の管理の方法の基準は、次のとおりとする。
(1) 景観重要建造物の修繕は、原則として修繕前の外観を変更しないこと。
(2) 消火器の設置その他の景観重要建造物の防災上の措置を講ずること。
(3) 景観重要建造物の敷地、構造及び建築設備の状況を点検し、規則で定めるところにより市長に報告すること。
(景観重要樹木の管理の方法の基準)
第17条 法第33条第2項の管理の方法の基準は、次のとおりとする。
(1) 景観重要樹木の良好な景観を保全するため、せん定その他の措置を講ずること。
(2) 景観重要樹木の滅失、枯死等を防ぐため、病害虫の駆除その他の措置を講ずること。
(3) 景観重要樹木の現状について、規則で定めるところにより市長に報告すること。
(管理に関する命令又は勧告の意見聴取)
第18条 市長は、法第26条及び法第34条の規定により必要な措置を命じ、又は勧告しようとするときは、あらかじめ、第21条に規定する登米市景観形成会議の意見を聴かなければならない。
第5章 景観地区
(指定等の手続)
第19条 市は、法第61条の規定により都市計画に、景観地区を定めるとき、又は景観地区に係る都市計画を変更しようとするときは、あらかじめ、第21条に規定する登米市景観形成会議の意見を聴かなければならない。
(認定等を要しない建築物)
第20条 法第69条第1項第5号の条例で定めるものは、次のとおりとする。
(1) 建築基準法第6条第2項の規定により同条第1項の規定による確認を受けることを要しない建築物
(2) 地下に設ける建築物
(3) 法令又はこれに基づく処分による義務の履行として行う行為に係る建築物
(4) 設置期間が90日を超えない建築物であって、行事等に必要な仮設のもの
第6章 景観形成の推進
(登米市景観形成会議)
第21条 市長は、市民との協力により、良好な景観の形成を推進するため、登米市景観形成会議(以下「景観形成会議」という。)を置く。
2 景観形成会議の委員の定数は15人以内とし、その任期は2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 前2項に定めるもののほか、景観形成会議に関し必要な事項は、規則で定める。
(景観形成組織の認定)
第22条 市長は、地域の良好な景観の形成に関する活動を目的とし、現にその活動を行っている住民の組織で、規則で定める要件を満たすものを景観形成組織として認定することができる。
2 法第11条第2項の条例で定める団体は、景観形成組織とする。
3 景観形成組織に関し必要な事項は、規則で定める。
(表彰)
第23条 市長は、良好な景観の形成に寄与している建築物又は工作物のうち、特に優れているものについて、その所有者、設計者又は施工者を表彰することができる。
2 市長は、前項に定めるもののほか、良好な景観の形成に貢献したと認められる個人又は団体を表彰することができる。
3 前2項に定めるもののほか、表彰に関し必要な事項は、規則で定める。
(支援)
第24条 市長は、次に掲げる者に対し、規則で定めるところにより必要な支援を行うことができる。
(1) 景観地区内において良好な景観の形成に寄与する建築物の建築又は工作物の建設を行うもの
(2) 第22条第1項の規定により認定を受けた景観形成組織
第7章 雑則
(委任)
第25条 この条例の施行に関し、必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成24年4月1日から施行する。
(登米市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)
2 登米市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(平成17年登米市条例第48号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
別表(第12条関係)
区分 | 行為 | |
建築物 | 重要景観計画区域 | 外観の変更に係る面積が10平方メートル未満の修繕若しくは模様替又は色彩の変更 |
重要景観計画区域以外の区域 | 1 高さが10メートル未満であり、かつ、延床面積が1,000平方メートル未満の新築、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更 2 外観の変更に係る面積が外観の全体の面積の2分の1未満の修繕、模様替若しくは色彩の変更 | |
煙突、排気塔その他これらに類するもの | 1 建築基準法第6条第1項の規定による確認(以下「建築確認」という。)を要しないものの新設、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更 2 高さが10メートル未満(工作物が建築物と一体となって設置され地盤面から当該工作物の上端までの高さが10メートルを超える場合にあっては、当該工作物の高さが5メートル未満)の新設、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更 3 外観の変更に係る面積が外観の全体の面積の2分の1未満の修繕、模様替又は色彩の変更 | |
鉄筋コンクリート造の柱、鉄柱その他これらに類するもの | ||
高架水槽、物見塔その他これらに類するもの | ||
観覧車、飛行塔、メリーゴーランド、ウォーターシュート、コースターその他これらに類するもの | ||
コンクリートプラント、アスファルトプラントその他これらに類するもの | ||
石油、ガス、飼料等の貯蔵に係るもの | ||
汚物処理施設、ごみ処理施設その他これらに類するもの | ||
自動車車庫の用途に供するもの | ||
彫像、記念碑その他これらに類するもの | ||
擁壁、柵、塀その他これらに類するもの | 景観計画に定める登米(とよま)周辺重要景観計画区域 | 1 建築確認を要しないものの新設、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更 2 設置の期間が6か月以内の新設 |
景観計画に定める登米(とよま)周辺重要景観計画区域以外の区域 | 1 建築確認を要しないものの新設、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更 2 高さ5メートル未満の新設、増築若しくは改築若しくは模様替又は色彩の変更 3 設置の期間が6か月以内の新設 | |
電気供給のための電線路、電気通信のための線路、空中線系(その支持物を含む。)その他これらに類するもの | 1 建築確認を要しないものの新設、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更 2 高さが20メートル未満(工作物が建築物と一体となって設置され地盤面から当該工作物の上端までの高さが20メートルを超える場合にあっては、当該工作物の高さが10メートル未満)の新設、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更 3 外観の変更に係る面積が外観の全体の面積の2分の1未満の修繕、模様替又は色彩の変更 | |
その他 | 1 面積が1,000平方メートル未満の土地の開墾、土石等の採取、鉱物の掘採その他土地の形質の変更 2 木竹の伐採 (1) 森林施業計画によるもの (2) 施設の保守の支障となるもの (3) 高さ5メートル未満であり、かつ、伐採面積が300平方メートル未満のもの 3 屋外における物件の堆積 (1) 物件の堆積が6か月以内のもの (2) 公共工事に係るもの (3) 堆積の用に供される土地の面積が50平方メートル未満であり、かつ、高さが1.5メートル未満のもの |