○登米市議会基本条例

平成23年12月22日

条例第35号

目次

前文

第1章 総則(第1条)

第2章 議会及び議員の活動原則(第2条―第4条)

第3章 市民との関係(第5条―第8条)

第4章 市長との関係(第9条―第12条)

第5章 自由討議の拡大(第13条)

第6章 委員会等の活動(第14条)

第7章 政務活動費(第15条)

第8章 議会改革の推進(第16条)

第9章 議会・議会事務局の体制整備(第17条―第20条)

第10章 議員の身分・待遇、政治倫理(第21条―第23条)

第11章 最高規範性及び見直し手続(第24条・第25条)

附則

私たちは、日々進展する時代の変革に的確に向き合い、議会の使命を果たさなければならない。

地域主権改革により地方自治体は自らの責任において、自治体全ての事務を決定することとし、これらの事務に対して議会の審議権、議決権及び監視権が及ぶなど、その権限が強化された結果、議会の担うべき役割と責任も大きくなった。地方分権が国の統治構造改革の重要課題であり、この改革が進むかどうかは常に強力な政治主導が求められる。

議会は、市長とともに市民の信託を受けた市の代表機関である。議会は、市民の意見、利害等を多様に代表し、複数の人が話し合い、ものごとを決定する合議制の機関として、市長は、独立して職務を執行し、意思決定する独任制の機関として存在する。それぞれが、異なる特性を活かし、市民の意思を的確に反映させるために競い、協力し合いながら市として最高の意思決定を導く共通の使命を担っている。

私たち登米市議会は、監視機能及び立法機能を十分に発揮するため、公平性、公正性及び透明性を確保し、市民にわかりやすく開かれた議会運営のもと、市民への情報の提供と共有化を図り、市民との対話を重ね、政策提言や政策立案を積極的に行っていくものである。

理念を共有し、志を高く持ち、努力を惜しまず、市民主権に基づく持続可能な自立したまちづくりを行うため、市民参画を強力に推進する。市民とともに活動し続け、議会の使命を果たすため、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、議会及び議員の活動原則を定め、議会の役割を明らかにするとともに、議会に関する基本的事項を定めることにより、地方自治の本旨に基づき、市民福祉の向上及び市政の発展に寄与することを目的とする。

第2章 議会及び議員の活動原則

(議会の活動原則)

第2条 議会は、次に掲げる原則に基づき活動を行うものとする。

(1) 公平性、公正性及び透明性を確保するとともに、市民に開かれた議会を目指すこと。

(2) 市民の多様な意見、要望、提言その他の意見(以下「市民の意見等」という。)を政策形成に適切に反映させるために、市民参加の機会の拡充に努めること。

(3) 市民の意見等をもとに政策の立案、形成及び提言(以下「政策立案等」という。)の強化に努めること。

(4) 市民の立場から、適正な市政運営が行われているかを監視し、評価すること。

(議員の活動原則)

第3条 議員は、次に掲げる原則に基づき活動を行うものとする。

(1) 議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを認識し、議員相互間の自由な討議を重んじること。

(2) 市政の課題全般について市民の意見等を的確に把握するとともに、自己の資質を高める不断の研さんに努め、市民全体の奉仕者及び代表者としてふさわしい活動をすること。

(3) 議会の構成員として、特定の団体及び一部地域の代表にとどまらず、市民全体の福祉の向上を目指して活動をすること。

(会派)

第4条 議員は、議会活動を行うに当たり、会派を結成することができる。

2 会派は、政策を中心とした同一の理念を共有する議員で構成するものとする。

3 会派は、政策立案等を積極的に行うものとする。

第3章 市民との関係

(市民参加及び市民との連携)

第5条 議会は、市民に対して積極的にその有する情報を提供し、説明責任を十分に果たさなければならない。

2 議会は、定例会のほか、全ての会議を原則公開とする。

3 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第100条の2の規定による専門的事項に係る調査の委託並びに法第115条の2(法第109条第5項において準用する場合を含む。)の規定による意見の聴取を十分に活用して、市民の意見等を議会の討議に反映させるよう努めるものとする。

4 議会が請願及び陳情を審査するときは、請願者及び陳情者から請願及び陳情の趣旨の説明を受ける機会を持つものとする。

5 議会は、市民と意見を交換する機会を幅広く確保し、議員の政策立案能力を強化するとともに、積極的に政策立案等を行うものとする。

(広報・広聴活動)

第6条 議会は、市政に係る重要な情報を市民に対して提供するとともに、議案に対する各議員の賛否を公表するものとする。

2 議会は、議会広報、ホームページその他の広報手段を活用し、市民が議会及び市政に関心を持つよう議会広報活動に努めるものとする。

3 議会は、市民の意見等を把握するため、市民及び議員が自由に情報及び意見を交換する場(以下「意見交換会」という。)の開催等の広聴活動を積極的に行うものとする。

4 議会は、前3項の広報・広聴活動の充実を図るため、議員で構成する広報広聴委員会を設置する。

5 前項の広報広聴委員会の設置に関し必要な事項は、議長が別に定める。

(政策企画調整会議)

第7条 議会は、広聴活動による市民の意見等を政策及び課題として、政策立案等を行うため、議員で構成する政策企画調整会議を設置することができる。

2 前項の政策企画調整会議の設置に関し必要な事項は、議長が別に定める。

(議会モニター)

第8条 議会は、議会運営に関する市民の意見等を聴取し、議会運営に反映させるため、必要に応じ議会モニターを設置することができる。

2 前項の議会モニターの設置に関し必要な事項は、議長が別に定める。

第4章 市長との関係

(市長等との関係)

第9条 議会は、市長との立場及び権能の違いを踏まえ、市長その他の執行機関及びその職員(以下「市長等」という。)と緊張感ある関係を保持し、事務執行の監視及び評価を行うとともに、政策立案等を行うことにより、市政の発展に努めなければならない。

2 定期議会における一般質問は、広く市政に係る論点及び争点を明確にするため、一問一答方式により行うことができるものとする。

3 議長から定例会又は常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下「委員会等」という。)への出席を要請された市長等は、議長又は委員長の許可を得て、議員又は委員の質問に対して反問することができるものとする。

4 議員は、会期中又は閉会中にかかわらず、議長を通じて市長等に対し文書による質問を行うことができる。この場合において、市長等に文書により回答を求めるものとする。

(市長による政策等の形成過程の説明)

第10条 議会は、市長が提案する政策、施策、事業等(以下「政策等」という。)について、当該政策等の水準を高めるため及び市民への公開のため、市長に対して、次に掲げる事項の説明を求めるものとする。

(1) 政策の発生源

(2) 提案に至るまでの経緯

(3) 隣接する地方公共団体及び他の地方公共団体の類似する政策との比較検討

(4) 市民参加の実施の有無及びその内容

(5) 登米市総合計画基本構想及び基本計画との整合性

(6) 関係する法令並びに条例及び規則(以下「条例等」という。)

(7) 財源措置

(8) 将来にわたるコスト計算

2 議会は、前項の政策等の提案を審議するに当たっては、立案及び執行の論点及び争点を明らかにするとともに、執行後における政策評価に役立てる審議に努めるものとする。

(政策説明資料の提出要求)

第11条 議会は、市長が予算及び決算を議会に提出し、議会の審議に付すに当たっては、前条の規定に準じて、市長に対し施策別又は事業別の説明資料の提出を求めることができるものとする。

(議決事件)

第12条 法第96条第2項の規定による議決事件については、意思決定機関である議会が、市政における重要な事件の決定に参画する観点と執行機関である市長の政策執行上の必要性を比較考量のうえ、次のとおり定めるものとする。

(1) 登米市総合計画基本構想及び基本計画の策定、変更又は廃止

(2) 登米市行財政改革大綱の策定、変更又は廃止

(3) 登米市環境基本計画の策定、変更又は廃止

(4) 原子力発電施設に係る市及び市民の安全に関する協定等の締結又は解消

第5章 自由討議の拡大

(議員相互間の討議)

第13条 議会が討論の場であることを十分に認識し、議長は、市長等に対する会議への出席要請を必要最小限にとどめ、議員相互間の自由な討議を中心とした議会運営を行うものとする。

2 議員は、定例会及び委員会等において、議員相互間の議論を尽くして合意の形成に努めるものとする。

第6章 委員会等の活動

(委員会等の適切な運営)

第14条 議会は、社会経済情勢等により新たに生じる行政課題に迅速かつ的確に対応するため、委員会等の専門性及び特性を活かし、適切な運営に努めなければならない。

2 委員会等は、議会における政策立案等を積極的に行うとともに、市政運営が適正に行われているかの監視及び評価を行うものとする。

3 委員会等は、市民に対して、政策等に係る調査及び審査の経過を説明するとともに、意見交換会を積極的に開催するよう努めるものとする。

第7章 政務活動費

(政務活動費)

第15条 会派又は議員は、調査活動の基盤の充実を図ることにより、政策研究、政策提言等が確実に実行されるよう別に条例の定めるところにより、政務活動費の交付を受けることができる。

2 前項の規定により政務活動費の交付を受けた会派又は議員は、条例の定めるところにより、透明性を確保するとともに適正に執行しなければならない。

3 議会は、政務活動費の収支報告書及び支出に係る領収書等の証拠書類を公開する。

第8章 議会改革の推進

(議会改革推進会議)

第16条 議会は、議会改革に継続的に取り組むため、議員で構成する議会改革推進会議を設置する。

2 議会は、必要があると認めるときは、学識経験を有する者等を前項の議会改革推進会議に構成員とすることができる。

3 第1項に規定する議会改革推進会議の設置に関し必要な事項は、議長が別に定める。

第9章 議会・議会事務局の体制整備

(調査機関の設置)

第17条 議会は、市政の課題に関する調査のため必要があると認めるときは、議決を経て、学識経験を有する者等で構成する調査機関を設置することができる。

2 議会は、必要があると認めるときは、議員を前項の調査機関の構成員にすることができる。

3 第1項に規定する調査機関の設置に関し必要な事項は、議長が別に定める。

(議員研修の充実強化)

第18条 議会は、議員の政策形成及び立案の能力の向上を図るため、議員研修の充実強化に努めるものとする。

2 議会は、議員研修の充実強化に当たり、広く各分野の専門家及び市民との研究の場を積極的に設けるものとする。

(議会事務局の体制整備)

第19条 議長は、議員の政策形成及び立案の能力の向上を図るため、議会事務局の調査及び法務に関する機能の充実強化に努めるものとする。

(議会図書室)

第20条 議会は、議員の調査研究に役立てるため、議会図書室の充実に努めるものとする。

第10章 議員の身分・待遇、政治倫理

(議員定数)

第21条 議員定数は、別に条例で定めるところによる。

2 議員定数の改正に当たっては、市政の現状と課題及び他の地方公共団体の状況並びに議会が果たす役割を考慮するとともに、市民の意見を聴取するため、参考人及び公聴会の制度を十分に活用するものとする。

3 議員定数の条例改正に係る議案は、市民の直接請求による場合及び市長が提出する場合を除き、議員定数の基準等の明確な改正理由を付して、法第109条第6項又は法第112条第1項の規定により、委員会等又は議員が提案するものとする。

(議員報酬)

第22条 議員報酬は、別に条例で定めるところによる。

2 議員報酬の改正に当たっては、行財政改革の視点及び他の地方公共団体との比較だけではなく、市政の現状及び課題並びに将来の予測及び展望を十分に考慮するとともに、市民の意見を聴取するため、参考人及び公聴会の制度を十分に活用するものとする。

3 議員報酬の条例改正に係る議案は、市民の直接請求による場合及び市長が提出する場合を除き、議員報酬の基準等の明確な改正理由を付して、法第109条第6項又は法第112条第1項の規定により委員会等又は議員が提案するものとする。

(議員の政治倫理)

第23条 議員は、市民全体の代表者として、高い倫理的義務が課せられていることを自覚し、良心及び責任感を持って、議員としての品位を保持し、識見を高めなければならない。

第11章 最高規範性及び見直し手続

(最高規範性)

第24条 この条例は、議会における最高規範であって、この条例の趣旨に反する議会に関係する条例等を制定してはならない。

(見直し手続)

第25条 議会は、必要に応じて、この条例の目的が達成されているかどうかを検証するものとする。

2 議会は、前項の検証の結果、制度の改善及び条例等の改正が必要と認められる場合は、適切な措置を講じるものとする。

この条例は、平成24年4月1日から施行する。

(平成25年2月14日条例第4号)

この条例は、公布の日又は地方自治法の一部を改正する法律(平成24年法律第72号)附則第1条ただし書に規定する規定の施行の日のいずれか遅い日から施行する。

(平成27年3月10日条例第25号)

この条例は、公布の日から施行する。

(平成29年3月29日条例第8号)

この条例は、平成29年4月1日から施行する。

(平成30年12月20日条例第48号)

この条例は、公布の日から施行する。

登米市議会基本条例

平成23年12月22日 条例第35号

(平成30年12月20日施行)

体系情報
第2編 会/第1章
沿革情報
平成23年12月22日 条例第35号
平成25年2月14日 条例第4号
平成27年3月10日 条例第25号
平成29年3月29日 条例第8号
平成30年12月20日 条例第48号