○だれもが活き生きと暮らせる登米市男女共同参画推進条例

平成23年3月11日

条例第9号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第8条)

第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策(第9条―第18条)

第3章 男女共同参画を阻害する行為の制限(第19条―第21条)

第4章 男女共同参画審議会(第22条―第25条)

第5章 雑則(第26条)

附則

私たちは、豊かな水辺空間と肥よくな耕土が広がる登米市で、性別にかかわりなく一人ひとりの人権が尊重され、生涯にわたり豊かな人生を実現できるまちを目指しています。

わが国においては、日本国憲法に個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の批准など国際社会における取組と連動しながら、男女平等の実現に向けた取組が進められてきました。

しかし、家庭や職場、地域の中で、男女の固定的な役割分担意識や社会慣行が今なお残っており、仕事と生活のバランスが取れていないこと、重要な方針や計画を決定する場に女性が少ないことなどを改めていかなければなりません。また、あらゆる暴力を禁止する取組の必要性など、人権を尊重する視点で解決しなければならない課題も生じています。

さらに、私たちを取りまく社会経済情勢は、少子高齢化、高度情報化、国際化などの急激で多様な変化が続いており、これらの変化に対応し、だれもが活き生きと暮らせる登米市を築くため、すべての人が性別にかかわりなく個人として尊重され、共に責任を分かち合い、その個性と能力を十分に発揮できる男女共同参画社会の実現が求められています。

こうした状況を踏まえ、市及び市民、事業者、教育関係者又は市民団体の協働のもと、男女共同参画社会の実現を目指すことを決意し、ここに、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関する基本理念を定め、登米市(以下「市」といいます。)、市民、事業者、教育関係者及び市民団体の責務を明らかにするとともに、市の施策の基本的事項を定め計画的に推進することにより、だれもが活き生きと暮らせる男女共同参画社会を実現することを目的とします。

(定義)

第2条 この条例で使われる用語の意味を次のように定めます。

(1) 男女共同参画 男女が、性別にかかわりなく、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に平等に参画する機会が確保され、それによって男女が等しく政治的、経済的、社会的及び文化的利益を受けることができるとともに責任を担うことをいいます。

(2) 積極的改善措置 社会のあらゆる分野における活動の男女間の格差を改善するため、必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、積極的に参画するための機会を提供することをいいます。

(3) 市民 次のいずれかに該当する人をいいます。

 市内に居住する人

 市内の事務所又は事業所に勤務する人

 市内の学校に在学する人

 市内に滞在する人

(4) 事業者 市内において事業を行う個人又は法人をいいます。

(5) 教育関係者 市内において学校教育、社会教育、家庭教育その他のあらゆる教育に携わる個人及び法人その他の団体をいいます。

(6) 市民団体 さまざまな分野において、より多くの人が豊かに生活できることを目的として継続的に活動を行う特定非営利活動法人その他の団体又は自治会等をいいます。

(7) セクシュアル・ハラスメント 性的な言動を受けた個人に不快感又は不利益を与え、職場などの生活環境を害することをいいます。

(8) ドメスティック・バイオレンス 夫婦、恋人等の男女間において身体的又は精神的に苦痛を与える暴力的行為をいいます。

(9) ワーク・ライフ・バランス 仕事と生活の調和のことをいい、だれもが、仕事、家庭生活、地域生活、個人の自己啓発その他の活動について、自らの希望に沿って行える状態をいいます。

(10) 協働 共通の目標を達成するために、互いの信頼関係のもと、対等な関係に立って協力することをいいます。

(基本理念)

第3条 男女共同参画の基本理念は、次のとおりとします。

(1) 男女の人権の尊重 男女の個人としての人権が尊重され、男女が直接的にも間接的にも性別による差別的取扱いを受けることなく、個人として能力を発揮する機会が確保され、国籍にかかわらず個人として尊重されることです。

(2) 社会における制度又は慣行についての配慮 性別による固定的な役割分担意識等に基づく社会における制度又は慣行をなくすよう努めるとともに、これらが男女の自由な活動の選択を妨げることがないよう配慮されることです。

(3) 政策等の立案及び決定への共同参画 男女が平等に、市における政策又は事業者、教育関係者及び市民団体における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されることです。

(4) 家庭生活における活動と他の活動との両立 家族を構成する男女が、家庭の重要性を認識し、互いの協力と社会の支援のもとに、子育て、介護その他の家庭生活及び職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野における活動が両立できるよう配慮されることです。

(5) 教育の場における配慮 学校教育、社会教育、家庭教育その他のあらゆる教育の場において、男女共同参画の推進に配慮した教育が行われることです。

(6) 暴力的行為(身体的又は精神的苦痛を与える行為をいいます。以下同じです。)の根絶 あらゆる形態の暴力的行為を根絶することが、男女共同参画社会を実現するために不可欠であるという認識を持たなければならないことです。

(7) 性と生殖に関する健康と権利の尊重 男女が互いの身体的特徴及び性について理解を深め、妊娠、出産その他の性と生殖に関し、それぞれの意思や権利が尊重され、生涯にわたり心身の健康を維持できるようにすることです。

(8) 性同一性障がい者等に対する配慮 性同一性障がいを有する人又は先天的に身体上の性別が不明瞭である人等の人権について配慮されることです。

(9) 国際的視野での協調 男女共同参画の推進に向けた取組は、国際社会が目指す理想の一つであり、国際社会における取組と密接に関係していることを考慮し、国際的な視野で協調して行われることです。

(市の責務)

第4条 市は、この条例の基本理念(以下「基本理念」といいます。)に基づき、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含みます。以下同じです。)を総合的に策定し、実施しなければなりません。

2 市は、前項の施策以外の施策の策定若しくは変更又は実施に当たっては、基本理念に沿うよう配慮しなければなりません。

3 市は、男女共同参画の推進に関する施策を実施するため、必要な推進体制を整備するとともに、財政上の措置その他の必要な措置を講じなければなりません。

4 市は、男女共同参画の推進に当たっては、自らが率先し、市民、事業者、教育関係者及び市民団体(以下「市民等」といいます。)との協働により行うとともに、国、県及び他の地方公共団体と連携して取り組むよう努めなければなりません。

(市民の責務)

第5条 市民は、基本理念に基づき、男女共同参画に関する理解を深め、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において男女共同参画の推進に自らが積極的に取り組むよう努めなければなりません。

2 市民は、市又は事業者が実施する男女共同参画の推進に関する施策及び事業活動の実施に当たっては、市、事業者、教育関係者及び市民団体との協働により行うよう努めます。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、基本理念に基づき、男女が職場における活動に対等に参画する機会が確保されるよう必要な体制の整備に努めます。

2 事業者は、男女が共にワーク・ライフ・バランスを実現できる職場環境の整備に努めます。

3 事業者は、男女共同参画の推進に関する市の施策又は他の事業者及び市民が実施する事業活動に協力するよう努めます。

(教育関係者の責務)

第7条 教育関係者は、男女共同参画の推進に果たす教育の重要性を認識し、自ら男女共同参画の理念を理解するとともに、基本理念に配慮した教育を行うよう努めなければなりません。

2 教育関係者は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければなりません。

(市民団体の責務)

第8条 市民団体は、基本理念に基づき、男女共同参画に関する理解を深め、その運営又は活動に男女が平等に参画できる環境を整備するとともに、方針の立案及び決定に当たっては、男女が互いに能力を発揮できるよう努めなければなりません。

2 市民団体は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければなりません。

第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策

(計画の策定)

第9条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、基本理念に基づき、基本的な計画(以下「計画」といいます。)を策定します。

2 市長は、計画の策定及び変更に当たっては、第22条に規定する登米市男女共同参画審議会の意見を聴くとともに、市民等の意見を反映することができるよう必要な措置を講じます。

3 市長は、計画を策定又は変更したときは、速やかにこれを公表します。

(推進体制の整備等)

第10条 市は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、必要な体制の整備、情報の収集、分析及び調査研究を行います。

2 市は、市民等が行う男女共同参画の推進に関する活動に必要な環境整備に努めます。

(市民等の理解を深めるための措置)

第11条 市は、市民等が男女共同参画に関する理解を深め、男女共同参画の推進に向けた取組を積極的に行えるよう啓発活動、情報の提供その他の必要な措置を講じます。

2 市は、男女共同参画推進の人材育成を行うため、研修の実施、活動の場の提供その他の必要な措置を講じます。

(事業者が行う活動への支援)

第12条 市は、事業者が行う男女共同参画の推進に関する活動を支援するため、情報の提供、助言その他の必要な措置を講じるよう努めます。

(教育の分野における措置)

第13条 市は、学校教育、社会教育、家庭教育その他のあらゆる教育の分野において、男女平等の意識づくり、個性及び能力の育成、男女共同参画を推進するための教育の充実等に必要な措置を講じるよう努めます。

(家族経営的な農林業及び商工業等の分野における措置)

第14条 市は、家族経営的な農林業、商工業等の分野において、男女が、個人として能力を十分に発揮し、その能力が正当に評価され、経営活動及び地域活動に平等に参画する機会が確保されるための必要な措置を講じるよう努めます。

(仕事及び生活の両立支援)

第15条 市は、家族を構成する男女が、共に仕事、子育て、介護等で家族的責任を果たすことができ、その他の家庭生活、地域等における活動の両立を可能とするため、ワーク・ライフ・バランスに配慮した必要な支援を行うよう努めます。

(政策の立案及び決定への共同参画)

第16条 市は、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野における活動において、男女間に参画する機会の格差が生ずることのないよう、市民等と協力し、必要な措置を講じるよう努めます。

2 市は、各種委員会等における委員の委嘱又は任命に当たっては、男女が共に政策の立案及び決定並びに具体的な施策の実施に参画できる機会を確保し、男女の均等な登用に努めます。

3 市は、市の職員の登用に当たっては、性別にかかわらず、本人の意欲及び能力に応じて、均等な機会を確保します。

(実施状況等の公表)

第17条 市長は、毎年、男女共同参画の推進に関する施策の実施状況等を公表します。

(市の施策に関する意見又は苦情の申出)

第18条 市民等は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策若しくは男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策に関する意見又は苦情を市長に申し出ることができます。

2 市長は、前項の規定による申出を受けたときは、適切に対応しなければなりません。この場合において、市長は、必要があると認めるときは、登米市男女共同参画審議会の意見を聴くことができます。

第3章 男女共同参画を阻害する行為の制限

(性別による権利侵害の禁止等)

第19条 すべての人は、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、性別による差別的取扱いをしてはなりません。

2 すべての人は、セクシュアル・ハラスメント及びドメスティック・バイオレンスを行ってはなりません。

(性別による権利侵害に関する相談体制の整備等)

第20条 市は、前条に関する相談に対し、適切な対応を行うため必要な相談体制を整備します。

2 市は、前条に関する相談に関して、関係機関と連携し、適切かつ迅速に必要な支援を行います。

(公衆に表示する情報への配慮)

第21条 すべての人は、公衆に表示する情報において、性別による固定的な役割分担若しくはセクシュアル・ハラスメント及びドメスティック・バイオレンスの暴力的行為を助長し、若しくは連想させる表現又は不必要な性的表現を行ってはなりません。

第4章 男女共同参画審議会

(男女共同参画審議会)

第22条 市長は、男女共同参画の推進に関する重要な事項について調査審議するため、登米市男女共同参画審議会(以下「審議会」といいます。)を設置します。

2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項について調査審議します。

(1) 第9条第2項に規定する事項

(2) 第18条第2項に規定する事項

(3) 前2号に掲げるもののほか、男女共同参画の推進に関し必要な事項

3 審議会は、必要があると認めるときは前項各号に規定する事項について調査審議し、市長に意見を述べることができます。

(組織)

第23条 審議会は、委員10人以内で組織します。

2 委員は、次に掲げる人のうちから、市長が委嘱します。

(1) 男女共同参画に関し識見を有する人

(2) 関係団体の推薦を受けた人

(3) 公募により選任を受けた人

3 委員の任期は2年とし、再任を妨げません。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とします。

(会長及び副会長)

第24条 審議会に会長及び副会長を置き、委員の互選により定めます。

2 会長は、会務を総理し、審議会を代表します。

3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、その職務を代理します。

(会議)

第25条 審議会の会議は、会長が招集し、会長がその議長となります。

2 審議会の会議は、委員の過半数の出席がなければ開くことができません。

3 審議会の議事は、出席委員の過半数で決め、可否が同数のときは、議長が決定します。

4 会長は、必要があると認めたときは、審議会の会議に関係者の出席を求め、説明又は意見を聴くことができます。

第5章 雑則

(委任)

第26条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定めます。

(施行期日)

1 この条例は、平成23年4月1日から施行します。

(登米市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

2 登米市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(平成17年登米市条例第48号)の一部を次のように改正します。

〔次のよう〕略

だれもが活き生きと暮らせる登米市男女共同参画推進条例

平成23年3月11日 条例第9号

(平成23年4月1日施行)

体系情報
第3編 執行機関/第1章 長/第7節 地域振興
沿革情報
平成23年3月11日 条例第9号