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展示案内
 

企画展:「トーレス・ガルシア(理性の自然)の版画集展」
(企画展示室1.2.3)

巨匠・トーレス・ガルシア/ Joaquin Torres Garcia 氏(18741949年)のテキストとデッサンが描かれているリトグラフィ(石版画)の 版画集(理性と自然・理論)、45点の作品は展示会場、第1展示室から第2、第3展示室の全会場に展示されています。トーレス・ガルシア氏の版画集は小さいながら貴重な日本初公開の展示に成りました。
 トーレス・ガルシア氏はウルグアイの画家で、17歳でスペインに渡り、バルセロナに学び、その後、バロセロナで子供の為の絵画教育実験学校を主催する等、スペインで画家、そして理論家として、文化人として活躍していたのです。
 その後、36歳の時、 1910年から19 32年迄の22年間パリに住み、欧州の幾何学構成アートの歴史に大きな足跡を残しました。
 パリで美術評論家として活躍していた ミッシェルスフォール/Michel Seuphor 氏との出会いで、彼らは 1930年、パリでセルクル・エ・カレ展(Cercle et Carre 展)を組織し(モンドリアン、ジャン・アルプ、カンデインスキー、ファントンゲルロー、ペブスナー、ナウム・ガボ、ソヒー・トビー・アルプ等、多くの幾何学構成主義の抽象作家が参加)、それはヨーロッパの幾何学構成アートの作家達をパリに集合させた重要な企画展で在りました。
 モンドリアンを、はじめとする同じ傾向の作家達と交流し大きな歴史を築いたのです。スフォー氏はパリに住み、トーレス・ガルシア氏はその後、1932年、ウルグアイに帰国、隣国アルゼンチンを中心に、南米の画家達に大きな影響を与えたのです。
 幾何学構成アートとダダイズムを思わせるテキストの文字の遊びを中心にしたトーレス・ガルシアのテキストとデッサンの版画集は、1932年パリの イマン/IMAN出版社より発行され、この貴重な版画集を佐藤 達氏にプレゼントして下さったのが、パリに住む、世界的な美術評論家のジェラール スリゲラ/ Gerard Xuriguera 氏なのです。
 佐藤達氏は3年前、毎週金曜日の昼食会で、このテキスト知っているかと見せられ、それを手に取った時は衝撃で心体が震えたそうです。汚さない様にそっとまじまじと見つめていたら、欲しいか、サトルの為に持って来たんだから、と、言われて嬉しかったそうです。
 そして達氏は「Satoru Sato Art Museum に欠かせない貴重な資料で、スホールとモンドリアンとトーレス・ガルシアの横の繋がりのコレクションが出来たのですから、惜しまず、Satoru Sato Art Museum に寄贈しよう」と決めたそうです。



82年前の版画集の展示、これは歴史的に貴重な作品で在り、理論は詩的に説いて、デッサンは可愛いと言うより、幼児や小学生でも何かを感じ取れる優しい雰囲気で、日本語訳は春日華榮(かすが はなえ) 氏にお願いし、和訳した文章も展示されています。


 



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