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トップ > ふるさとライブラリー > 登米の昔話 > まっか大根

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まっか大根

むかし、むかし、狼河原村に綱木の里と言うところがあったんだと。その年ゃ凶作で餓死する人いっぺぇいだんだど。ところがどうしたわけだが綱木の里だげぇ、米こ取れねぇがったげんとも、からいも、さつまいも、でーごん、なかでもでいごんは事のほかよがったんだどしゃ。みんな常日頃拝んでいる大黒様のお陰だど思っていたんだど。ところが隣り村、藤沢の吉高の方ではさっぱり「もの」取れねぇがったど。吉高の神様は腹がへって腹がへってしょうがねがったど。凶作なもんで神様さ上げる人いねぇがったど。
吉高の神様は、おらほばがりだべがど思って七曲峠から綱木の里の方眺めだっけ、なんと、どの家がらも煙こ上ってんだど。どうしたこったべぇと来て見だっけ、里の人達が大黒様のお陰で取れだがら、大好きないも餅あげっから食べてけらえんと、拝んでいだんだど。大黒様はニコニコして願いごと何んでもきき入れていたんだから、うんと慕われていたんだとしゃ。
吉高の神様は大黒様を殺して綱木の里も自分の支配にすっぺぇと考えだんだど。そしてある時、大黒様を招待して、でぇすきな餅出したど。餅に目のねぇ大黒様は、きりもかぎりもねぇぐ腹のぬげるぐらい喰ったど。そして、やっとの思いで里さけぇって来たげんとも腹苦しくて大変なんだとしゃ。里の人だずこれぇていへんだ。大黒様に死なれだんでぇ、来年は「ものみ」取れねぇがんべ。なじょにすっぺと、集ったげんともなかなか「ええ」話まどまらねがったど。
ちょうどそん時一人の坊さんが通りかかったので、これこれしかじかと餅のごと話すたっけ「それぇ大変なこった、すぐ大根かせっとよぐなっから」と教えてもらったんだと。すると、長老が「ゆうべ吉高の神様が夢の中に出て来て、でいごん抜くと罰あでる」と言ったど。みんなは「罰当るのやんだ、やんだ」と口を揃えて言ったどしゃ。坊さんは「大根は上の方は一本でもまっかになってるのあんべい、そのまっかをかいで喰わせれば抜いたことになるめぇ」というので、まっか大根をさがして喰せたらたちまちすっかり良くなったんで皆が安心したど。それから毎年、大黒様にまっか大根を上げる様になったんだどしゃ。
吉高の神様は、大黒の奴あんなに餅喰わせだがら今頃は腹がさけて「きしゃまった」と思って毎日七曲峠さ登って綱木の方眺めだげんとも、そんな様子さっぱりねぇがったんだど。そして腹がへるし、つかれ切って七曲峠でたおれてしまったど。
おわりでがす。


この昔話の朗読を聴く

【mp3ファイル/再生時間:3分26秒】

原文

むかし、むかし、狼河原村に綱木の里というところがあったそうだ。その年は凶作で餓死する人がたくさんいたそうだ。ところがどうしたわけだか綱木の里だけは、米は取れなかったのだけれども、からいも、さつまいも、大根、なかでも大根はことのほかよく取れたそうだ。みんな常日頃拝んでいる大黒様のお陰だと思っていたそうだ。ところが隣り村の、藤沢の吉高の方ではさっぱり作物が取れなかったそうだ。吉高の神様は腹がへって腹がへってしょうがなかったそうだ。凶作なもので、神様にお供えを上げる人はいなかったそうだ。
吉高の神様は、自分の方だけだろうかと思って七曲峠から綱木の里の方を眺めたら、なんと、どの家からも煙が上っていたそうだ。どうしたことだろうと来てみると、里の人達が大黒様のお陰で取れたから、大好きないも餅をあげますから食べてくださいと、拝んでいたそうだ。大黒様はニコニコして願いごとを何でも聞き入れていたものだから、たいそう慕われていたそうだ。
吉高の神様は大黒様を殺して綱木の里も自分の支配にしようと考えたそうだ。そしてある時、大黒様を招待して、大好きな餅を出したそうだ。餅に目のない大黒様は、際限なく、腹がぬけるくらい食べたそうだ。そして、やっとの思いで里に帰って来たのだけれども、腹が苦しくて大変だということだ。里の人達は、これはたいへんだ、大黒様に死なれてしまったら、来年は作物が取れないだろう、どうしようかと、集まったのだけれども、なかなか良い話はまとまらなかったそうだ。
ちょうどその時一人のお坊さんが通りかかったので、これこれしかじかと餅のことを話したら「それは大変なことだ、すぐに大根を食べさせれば良くなるから」と教えてもらったそうだ。すると、長老が「ゆうべ吉高の神様が夢の中に出て来て、大根を抜くと罰をあたえると言っていた」と言ったそうだ。みんなは「罰が当たるのはいやだ、いやだ」と口を揃えて言ったそうだ。お坊さんは「大根は上の方は一本でも二股になっているのがあるだろう、その二股の一方を刈って食べさせれば抜いたことにならないはずだ」というので、二股の大根をさがして食べさせたらあっという間にすっかり良くなったので皆は安心したそうだ。それから毎年、大黒様に二股の大根をお供えするようになったということだ。
吉高の神様は、大黒の奴あんなに餅を食べさせたのだから今頃は腹がさけて死んでしまっただろうと思って毎日七曲峠に登って綱木の方を眺めていたのだけれど、そんな様子は全然なかったそうだ。そして腹が減るし、疲れ切って七曲峠でたおれてしまったそうだ。
おしまいです。

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