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トップ > ふるさとライブラリー > 登米の昔話 > 大だこ弥吉

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大だこ弥吉

原文

むかし、北方の、今は田圃になっている姉とり沼の東端、大だこに、弥吉つ夫婦が住んでいたったど。田も畑も作ってる百姓だったつげんとも、非常に魚とり好きで、暇さえあれば、網ですくったり、釣ったりしてだど。
家の後ろがすぐ沼になってだがら、小舟、一そう沼さ浮べでて、春から秋までは、沼で魚つりする日が多かったど。
お盆過ぎのある暑い日に、魚つりしてだら、非常におもせぐ釣れるんで、お昼食うのも忘れて釣ってだら、急に雷雲が出てきて、ピカッとお光りしたがと思うと、「ゴロ、ゴロ」と雷鳴ってきて、ザァーと雨降り出したんで、すぐ近くの弁天様のお堂さ逃げこんだと。
姉とり沼の西端の方に、松島と呼んでる丘あって、松いっぱい生えている。その松林の中に弁天様祀った、小さなお堂あったんだおねぇ。
そごで忘せで食わながった昼飯を食ったら、大分涼しくもなったんで、眠くなり、ゴロリと横になり、眠ってしまったど。
夢の中に弁天様現れで、
「弥吉、弥吉。疲れでっとこ誠に済まねぇが、妹のどこさお使いに行ってけろ。用事は機(はた)織るオサ、届けでもらいでぇんだ。歩いて行くのたいへんだから、お前が乗るもの呼ぶので、それさ抱き付き、目つむって息殺してっと、忽ち着くがら、どうぞお願いする」
と言われたがど思ったら、ポカッと目さめだど。
さあてなぁ、神様頼むと言ったけなぁと思ってあたり見回しだら、寝でた枕元に、オサあったど。ああこれだなと思って外さ出てみたら、いつ晴れだが雨はもう上がって、うす雲の間から太陽照り出していたったど。乗るもの呼ぶからと言ったっけぇと思ってだら、何時来たのが、大きな大蛇、足元さ来てだったと。弁天様のお使いは蛇だと聞いてだが、これだなと思った弥吉は、頭を土さすりつけるようにしてだ大蛇さ抱き着いたら、スルスルすべり出し、シュー、シューと水の中も走ったと。弥吉は言われた通り、目つむって息殺してだら、間もなく走るの止めて静かになったと思ったがら目あげで見だら、お姫様みていな神様立ってで、声かげたど。
「弥吉つお前だが、姉からの頼まれ物、頂くから」
と言うので、預かってきたオサ差し出したら、
「お疲れのところ御苦労だった。お礼に私の持ってる宝石あげっから」
と言って、手のひらさ乗るような小さい石の挽臼出して、「一日一回、この挽臼さ米三粒のせて、三回まわしなさい。お前の小遣いには十分間に合うだけの金が出るから」と言って、その挽臼を渡されたど。
弥吉はたいへん喜んで、いただいた挽臼をふところに入れ、また大蛇さ抱き着いて元のところへ戻り、早速家さ帰って米三粒、挽臼さのせで回して見だら、一回まわす毎にチャリンと一枚ずつ、三枚のお金が出たど。終ったら神棚に上げて手をたたき、ありがとうございましたと礼を言って、翌日また、お金をいただくようにして一週間ほど続いたど。お金も大分たまったので、欲しい物もあるので、佐沼さ行って買って来っからと出かけだと。
弥吉のするごど、毎日かげに隠れて見でだおかだ、弥吉いねえうちに俺も少し小遣い貰っておかなくてわがんねぇと思って、お椀こさいっぱい米入れで持って行き、挽臼さ盛り上げて載せ、回し始めたど。一回まわす毎に、チャリンと音がして一枚のお金が出るので、三回まわしたが、さて、今に親父帰ってくっとおこられっかも知れねぇと思ったので、いきなり回し始めだど。そしたら上玉、プーンと音をたてて空中高く舞い上がり、どこさが飛んで行ってしまったど。
帰って来た弥吉、それとわかったが、飛んでいった上玉は二度と戻るわけではなく、それからこのあたりでは、馬鹿欲の深い人を、弥吉おかだみていだと言うんだど。おしまい。


この昔話の朗読を聴く

【mp3ファイル/再生時間:5分6秒】

標準語

むかし、北方の、今は田んぼになっている姉とり沼の東端、大だこに、弥吉という夫婦が住んでいたそうだ。田んぼも畑も作っている百姓だったそうだが、非常に魚とりが好きで、暇さえあれば、網ですくったり、釣ったりしていたそうだ。
家の後ろがすぐ沼になっていたので、小舟を一そう沼に浮べておいて、春から秋までは、沼で魚つりをする日が多かったそうだ。
お盆過ぎのある暑い日に、魚つりをしていたら、たいそう面白いくらいに釣れるので、お昼を食べるのも忘れて釣っていたら、急に雷雲が出てきて、ピカッと光ったかと思うと、「ゴロ、ゴロ」と雷が鳴ってきて、ザァーと雨が降り出したので、すぐ近くの弁天様のお堂に逃げこんだそうだ。
姉とり沼の西端の方に、松島と呼んでいる丘があって、松がいっぱい生えている。その松林の中に弁天様を祀った、小さなお堂があったんだね。
そこで忘れていて食べていなかった昼飯を食べたら、大分涼しくもなってきたので、眠くなり、ゴロリと横になり、眠ってしまったそうだ。
夢の中に弁天様が現れて、
「弥吉、弥吉。疲れているところ誠に済まないが、妹のところへお使いに行ってくれ。用事は機(はた)を織るオサを届けてもらいたいのだ。歩いて行くのはたいへんだから、お前が乗るものを呼ぶので、それに抱き付き、目をつぶって息を殺していると、たちまち着くから、どうぞお願いする」
と言われたかと思ったら、ポカッと目がさめたそうだ。
さて、神様が頼むと言っていたなぁと思ってあたりを見回したら、寝ていた枕元に、オサがあったそうだ。ああこれだなと思って外に出てみたら、いつ晴れたのか雨はもう上がって、うす雲の間から太陽が照り出していたそうだ。乗るものを呼ぶからと言っていたなぁと思っていたら、いつ来たのか、大きな大蛇が、足元に来ていたそうだ。弁天様のお使いは蛇だと聞いていたが、これだなと思った弥吉は、頭を土にすりつけるようにしていた大蛇に抱き着いたら、スルスルすべり出し、シュー、シューと水の中も走ったそうだ。弥吉は言われた通り、目をつぶって息を殺していたら、間もなく走るのを止めて静かになったと思ったので目をあけて見たら、お姫様みたいな神様が立っていて、声をかけたそうだ。
「弥吉というのはお前か、姉からの頼まれ物を、頂くから」
と言うので、預かってきたオサを差し出したら、
「お疲れのところ御苦労だった。お礼に私の持っている宝石をあげよう」
と言って、手のひらに乗るような小さい石の挽臼を出して、「一日一回、この挽臼に米を三粒のせて、三回まわしなさい。お前の小遣いには十分間に合うだけの金が出るから」と言って、その挽臼を渡されたそうだ。
弥吉はたいへん喜んで、いただいた挽臼をふところに入れ、また大蛇に抱き着いて元のところへ戻り、早速家に帰って米三粒を、挽臼にのせて回して見ると、一回まわす毎にチャリンと一枚ずつ、三枚のお金が出てきたそうだ。終ったら神棚に上げて手をたたき、ありがとうございましたと礼を言って、翌日また、お金をいただくようにして一週間ほど続いたそうだ。お金も大分たまったので、欲しい物もあるので、佐沼に行って買って来るからと言って出かけたそうだ。
弥吉のすることを、毎日かげに隠れて見ていた奥さんは、弥吉のいないうちに自分も少し小遣いを貰っておかなくてはいけないなぁと思って、お椀にいっぱい米を入れて持って行き、挽臼に盛り上げてのせ、回し始めたそうだ。一回まわす毎に、チャリンと音がして一枚のお金が出るので、三回まわしたが、さて、今に旦那が帰ってくると怒られるかも知れないと思ったので、勢いよく回し始めたそうだ。すると上玉は、プーンと音をたてて空中高く舞い上がり、どこかに飛んで行ってしまったそうだ。
帰って来た弥吉は、それとわかったが、飛んでいった上玉は二度と戻るわけはなく、それからこのあたりでは、馬鹿みたいに欲の深い人を、弥吉の奥さんみたいだと言うそうだ。おしまい。

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