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トップ > ふるさとライブラリー > 登米の昔話 > 金売り吉次

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金売り吉次

原文

むかぁしむかぁし、京都のお公家さまにね、三人の娘がいだんだって。三人いて年頃になって、二人は結婚したげっとも、おこやひめっつ娘は、なかなか結婚が決まらながったんだって。だんだん歳はとってしまったし、親だぢも、おこやひめ本人も、うんと気をもんできたんだってね。そんでおこやひめは、清水(きよみず)の観音様に、願掛けをしたんだって。わだしの夫になる人がどごにいるか教えて下さい、わだしの夫になる人がどごにいるか教えて下さいって、毎日行って願掛けしたの。
21日の満願の日に、まくらがみに神様が出てきてね、あのな、お前の夫になる人は、奥州金成はたというところに、炭焼きをしているとうたという者だ、それがお前の夫になる人だから、訪ねていってみろって言われだの。おこやひめはそれを親に告げだんだと。そしたらなんで奥州まで行がなくたっていいんじゃないか、京都にだってお前の夫になる人がいるはずだ、反対されだげっとも、おこやひめは、神様のお告げだからなんぼしたって行きたいとがんばったんだって。
そして旅支度をしてね、船を乗り継ぎ乗り継ぎして石巻まで着いたと。石巻からはね、今度は北上川をさかのぼって、金成に一番近いところで降ろしてもらったの。そして金成のはたというところの炭焼きとうたという人のところに行くんだけど、どう行けばいいかを、途中で聞き聞きして、やっとその、はたというところのとうたの元に着いだとな。
着いてみたればなんとなんとほったて小屋で、そのとうたという人も、髪もひげもぼうぼうに生やして、顔も真っ黒くしみつけている人だったとね。ありや、結婚してくれとは言えなかったから、どうぞ今夜一晩泊めてけんか、って頼んだれば、あぁこんなどごでもいがったら泊まれ、だげどな、おれの食う米や味噌はある、お前の食う米や味噌はないぞって言われだど。そんならば、このお金やるがら、米がら必要なものを買ってきてけらいんって、とうたに金貨一枚渡したと。
とうたは金貨を懐にして買いに出掛けたら、途中に沼っこがあって、その沼に鴨がいだったと。ああ、あの鴨取っていって今夜あの人に鴨汁ごちそうすっがなぁと思ったんだって。なにか、石こかなにかないがなぁと思ったげっとも周りには石もなんにもながった。あ、そうだ、なんだがあの人からもらったものがあるど思って、重いがらと思ってそれを鴨めがけて投げだらね、さっぱり当だんなくてぽとーんと沼さ落ちてしまっだど。
米もなんにも買わないで帰ってきたとね。あらなにも買ってこながったのすかって言われて、途中の沼にな、鴨がいて、鴨を取って今夜鴨汁してかせようど思って、あれをぶっつけて取ろうど思ったら、さっぱり鴨に当だんながったって言った。そうしたら、あらーもったいないごどしたねぇ、あのお金あっとねぇ、米でも何でもいっぱい買うにいんでがすと、っで言われだど。そしたらまたのおこやひめがね、あらもったいないごとしたねぇ、あの銭あっど、いっぱいなんでも買うにいいのにーってまたぼやいたと。そしたらとうたがね、なあにあんなものだらな、おれが炭焼きしている窯のそばに、びかびか光っていっぱいあるって言われだんだって。
次の日行ってみだら、ほんとに窯のあだりに金がびかびか光ってあったんだって。おこやひめはね、その金を見で、京都の親のところに使いを出したんだって。このとうたの炭焼き窯のそばに金がどろどろ流れている、誰か金に明るい人と、それを掘る人を寄越してけらいんって。遣い出したらね、京都から来たんだって。そのうちに、おこやひめととうたも結婚して、おこやひめはとうたのひげもちゃんとそってやる、りっぱな男になったんだって。そしてそこで学問もいろいろ教えたんだって。そしたら頭のいいとうたはたちまちその学問も覚えたんだどね。
そして結婚していたから、男の子が3人生まれたんだって。そのうちにとうたはその金を京都に売って金持ぢになったんだって。男の子も、きちじ、きちない、きちろくという3人の息子も、たぢまぢ大きくなって、その吉次がその後を継いで、京都に運んで金売りをしたんだど。そして、きちない、きちろくは、その金堀りの監督をして、どんどん掘って、京都に売ったので、奥州一の金持ぢになったんだどっしゃ。それで金(かね)売り吉次という名がついたんだど。えんつこもんつこさげすた。


この昔話の朗読を聴く

【mp3ファイル/再生時間:7分34秒】

標準語

昔々、京都のお公家さまに、三人の娘がいました。
三人とも年頃になって、二人は結婚しましたが、おこやひめという娘はなかなか結婚が決まりませんでした。
だんだん歳はとってしまったし、親達も、おこやひめ本人も、気をもんできました。
そこでおこやひめは、清水(きよみず)の観音様に、願掛けをしました。
「私の夫になる人がどこにいるか教えて下さい、私の夫になる人がどこにいるか教えて下さい」
毎日毎日、行って願掛けをしました。
そして二十一日の満願の日。
おこやひめの枕元に神様が出てきて、
「あのな、お前の夫になる人は、奥州金成、はたというところで炭焼きをしている、とうたという者だ。それがお前の夫になる人だから、訪ねて行ってみなさい」
と言いました。
おこやひめはそれを親に告げました。
おこやひめの両親は、
「なんだって、奥州まで行かなくたっていいじゃないか。京都にだってお前の夫になる人がいるはずだ」
と反対しましたが、おこやひめは
「神様のお告げだから、どうしても行きたい」
と頑なに言いました。

おこやひめは旅支度をして、船の乗り継ぎを繰り返して、石巻まで行きました。
石巻からは、今度は北上川をさかのぼって、金成に一番近いところで降ろしてもらいました。
そして、
「金成のはたというところの、炭焼きとうたという人のところに行くのだけれど、どう行けばいいでしょうか」
と途中で聞きながら、やっとその、はたというところのとうたの元に着きました。
着いてみると、そこはなんとも粗末な小屋です。
そして、とうたという人も、髪もひげもぼうぼうに生やした、顔の真っ黒く汚れた人だったそうです。

おこやひめは、結婚してくれとは言えなかったから、
「どうか今夜一晩泊めてくださいませんか」
と頼みました。すると、
「あぁ、こんなところでもよかったら泊まれ。だけど、おれの食べる米や味噌はあっても、お前の食う米や味噌はないぞ」
と言われました。
「それならば、このお金をあげますから、米や必要なものを買ってきてください」
と、おこやひめはとうたに金貨を一枚渡しました。

とうたは金貨を懐にして買い物に出掛けました。
すると途中に沼があって、鴨が泳いでいます。
「ああ、あの鴨を捕まえて、今夜あの人に鴨汁をごちそうしようかなぁ」
とうたは思いました。
「石かなにかないかなぁ」
と思いましたが、周りには石もなにもありません。
「あ、そうだ。なんだかあの人からもらったものがある」
とうたは、重いからちょうどいいと思って、それを鴨めがけて投げました。
金貨は鴨に全く当たらず、ぽとーんと沼に落ちてしまいました。

とうたは結局、米もなにも買わないで帰ってきました。
おこやひめに
「あら、なにも買ってこなかったのですか」
と言われたとうたは、
「途中の沼に鴨がいたから、鴨を捕まえて、今夜鴨汁にして食べさせようと思って、あれをぶつけて取ろうとしたんだが、全然鴨に当たらなかった」
と言いました。
おこやひめは
「あら、もったいないことをしましたね。あのお金があると、米でも何でも、いっぱい買えたのですよ」
と言い、そのことをずっとぼやいていました。
すると、とうたが
「なあに、あんなものだったら、おれが炭焼きしている窯のそばにぴかぴか光っていっぱいある」
と言いました。

次の日行ってみると、本当に、窯のあたりに金がぴかぴか光ってありました。
おこやひめはその金を見て、京都の親のところに使いを出しました。
「とうたの炭焼き窯のそばに、金がどろどろ流れています。誰か金に詳しい人と、それを掘る人を寄越してください」
と。
すると、京都から、おこやひめのお願いした通りの人たちがやってきました。

そのうちに、おこやひめととうたは結婚しました。
おこやひめがとうたのひげをちゃんとそってあげると、とうたはりっぱな男になりました。
おこやひめは、とうたに学問もいろいろと教えました。
すると、もともと頭のいいとうたは、たちまちその学問を覚えてしまいました。
二人の間には、男の子が三人生まれました。
とうたは出た金を京都に売って金持ちになっていました。
きちじ、きちない、きちろくという三人の息子もたちまち大きくなり、きちじがとうたの後を継ぎ、金を京都に運んで売るようになりました。
きちない、きちろくは、金堀りの監督をして、金をどんどん掘り、それをきちじが京都に売ったので、三人は奥州一の金持ちになりました。
それで、吉次には、『金(かね)売り吉次』という名がつきました。
これでおしまい。

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