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トップ > ふるさとライブラリー > 登米の昔話 > とっき親父のおみろく参り

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とっき親父のおみろく参り

原文

むかぁし、むかぁしのごどだったどな。
おみろくまいじの、おみろくさまのおまつりがあったんだど。そんで、ときときつぅおどっつぁんがな、おみろく参りに明日はおまづりだがら行ってくっからなぁって、あしなさは遠いがらな、早くでねくて、くれぇうぢにでねくてわがんねがら、焼ぎめしにぎっておげよー、おがっつぁんさかだったどな。はいはいって、おがっつぁんはおっきなやぎめし握ってろぶづさ置いだどな。
さ、暗いうぢに起ぎて、あれ、焼ぎめしどごさ置いだーって言ったら、ろぶちさ置きしたーって、わらしだぢいっからおがっつぁんはっぱ起ぎねがったんだど。あれ風呂敷どごにあるーって言っだら、ほらこごのまくらもどにがすーっておがっつぁん言う。してうすぐらいどごだがら、風呂敷だど思って持って行っだど。
そして、焼ぎめしを包んで、しょって、とのぐちでね、腰かげで、脚絆はくべどしたんだど。そこさ、たでかげでだはしごあったんだど。かだっぽば自分のあすさ脚絆はいで、かだっぽうば、はしごのあすさ脚絆はかせで、さぁ焼ぎめしをしょって、くれえうちに家ではったどな。
そしてよっこらよっこらおみろぐまで、何時間もかけて歩いていったればな、銭っこあげて、お賽銭あげておがむべど思って、百文銭持っていったんだと。そして糸っこさ百文つならっていたのを出して、一文取って、一文を賽銭にあげんべど思ったんだと。そしたらときときっつからね、一文ば手さ持って、九十九文のつならった銭っこお賽銭箱さどさっと入れてしまっだどな。
あーれやー、一文お賽銭あげんべど思ったら、まずがってやあ、九十九文入れでしまった、あぁすかだねっちゃ、とにかく腹減ったと、お昼なってしまったっつがらな、じゃあお昼食うべぇと思って、くさはらっこさ腰かけて、しょってだ焼ぎめしをひらいだど。そすたれば、その風呂敷がな、風呂敷でなくて、ががさまの腰巻だったと。腰巻さくるんでしょっていったんだって。そして中開げて見たれば、焼ぎめしでなくて、ばんちゃんの、おはぐろつぼだったと。
あぁごしぱらやげだ、なにか買って食でど思ったって、銭はたった一文しかねぇし、うんとごしぱらやげで、ごしぱらやげで、急いでおみろくさまから来たど。ばんがだなったどはな、そしたらおらいだど思って、まぁぱがぱがとなって行ったら、隣のいさ行っで、こらぁこの、焼ぎめしだなんてや、おはぐろつぼあでがって、風呂敷だど思ったればががの腰巻で、腹減って腹減ってわがんねこのががって、隣のおがっつぁんの頭ごつんと叩いだど。したら、なんだべ隣のおやず、何したっておれどご叩くのやって、気づいたれば隣の家だっだど。あぁ今度はいさ行っておがだどご怒ったげっとも、なんじょにもなんないっちゃ、自分の間違いだったんだって、おにぎりもちゃんとあんのに、おはぐろつぼど間違って、しょっていったんだど。えんつこもんつこさげすた。


この昔話の朗読を聴く

【mp3ファイル/再生時間:4分44秒】

標準語

昔々のことだそうです。
おみろくまいりの、おみろくさまのお祭りがありました。
それで、せわしない父ちゃんが、
「明日はお祭りだから、おみろく参りに行ってくるからなぁ。遠くて、明日の朝は暗いうちに出ないとだめだから、焼きおにぎりを握っておけよ」
と、母ちゃんに言いました。
「はいはい」
と、母ちゃんは大きな焼きおにぎりをにぎって、炉縁に置きました。

さあ、次の朝。
父ちゃんは暗いうちに起きて、
「あれ、焼きおにぎりどこに置いたー」
と言いました。
「炉縁に置きましたよー」
と言いながら、子ども達がいるので、母ちゃんはさっぱり起きません。
「あれ、風呂敷はどこにあるー」
また、父ちゃんが言います。
「ほら、ここの枕元にありますよー」
母ちゃんが言いました。
薄暗いところだから、風呂敷だと思って、父ちゃんはそれを持って行きました。
そして焼きおにぎりを包んで、背負って、玄関で腰掛け、父ちゃんは脚絆をはこうとしました。
そこに、立てかけていたはしごがあったものだから、片方の脚絆は自分の脚にはいたものの、もう片方の脚絆は間違ってはしごの脚にはかせてしまいました。
そうして、さぁ焼きおにぎりを背負って、暗いうちに家を出ていきました。

よっこらよっこら、おみろくまで、父ちゃんは何時間もかけて歩いていきました。
おみろくに着いた父ちゃんは、お賽銭をあげて拝もうと、持って行ったお金百文を出しました。
糸につながれていた百文の中から、一文取って、その一文を賽銭にあげようと思ったのです。
ところが、せわしないから、一文を手に持って、つながれた九十九文の方を、賽銭箱にどさっと入れてしまいました。
「ああっ、一文だけお賽銭あげようと思ったら、間違って、九十九文入れてしまった。…仕方ない、とにかく腹が減った。お昼の時間になってしまったから、お昼を食べよう」
父ちゃんは、草っ原に座って、背負っていた焼きおにぎりを開きました。
そうしたらその風呂敷、風呂敷ではなくて、なんと母ちゃんの腰巻。
父ちゃんは、おにぎりを腰巻にくるんで背負っていたのです。
さらに、中を開けてみると、焼きおにぎりではなくて、ばあちゃんの、おはぐろつぼが入っていました。
「ああ腹が立った、何か買って食べたいと思ったって、お金はたった一文しかないし」
父ちゃんはうんと腹が立って、腹が立って、急いでおみろくさまから帰って来ました。
時刻は夕方になっていました。
父ちゃんは自分の家だと思って、まぁぷんぷんとして、隣の家に入っていきました。
そして、
「こらぁ、このっ、焼きおにぎりだなんて言って、おはぐろつぼを用意して、風呂敷だと思ったら母ちゃんの腰巻で、腹が減って腹が減ってだめだ、この母ちゃんがっ」
と、隣の母ちゃんの頭をごつんと叩きました。
そうしたら、
「なんだよ隣の親父っ、何をしたって言って、おれのこと叩くんだっ」
と言われて、ようやく父ちゃんは、そこが隣の家だって気づいたそうです。
そうして今度は、自分の家に行って奥さんを怒りましたが、どうにもなりません。
だって、自分の間違いだったんだから。
おにぎりもちゃんと炉縁にあったのに、父ちゃんが間違っておはぐろつぼを背負っていったんだそうです。

おしまい。

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