施政方針(平成23年2月)
平成23年2月15日(火曜日)、平成23年第1回登米市議会定例会において、布施市長が平成23年度の施政方針を述べました。その全文を掲載します。
はじめに
平成23年登米市議会第1回定例会において、平成23年度「一般会計予算案」をはじめ、「各種特別会計予算案」並びに「諸案件」を提案し、ご審議をお願いするにあたり、市政運営に取り組む所信の一端と施策の大綱をご説明申し上げ、市民の皆様並びに議員各位のご理解とご協力を心よりお願い申し上げます。
社会・経済情勢
現下の社会・経済情勢に目を向けますと、世界経済は、先進国において緩やかな景気回復の動きがみられる一方で、新興諸国の活発な経済活動による躍進や経済連携の動きも報じられているところであります。
日本経済は、自律的な景気回復までには至らず、急激な円高の進行などにより足踏み状態となっており、未だ先行きの不透明感が払拭できない状況にあります。
国内では、少子高齢化に伴う人口減少社会への進行や、国内需要が低迷を続ける中で、若年層をはじめとする失業率が依然高い水準となっており、厳しい雇用情勢が続いております。
こうした状況の中、国では、新成長戦略が目指すデフレ脱却と雇用を起点とした経済成長を「新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策」により実現するとしております。
登米市においては、長引く景気の低迷による税収の落ち込みや、平成28年度から始まる地方交付税の段階的減額等により、今後の財政運営はますます厳しさを増してくることが想定されることから、将来を見据えた更なる行財政改革への取り組みが必要となっております。
一方で、長沼工業団地にトヨテツ東北株式会社をはじめ3社の企業立地が決定し、操業に向けた準備が着々と進んでおり、地域経済の活性化と新規雇用の創出に大きな期待を寄せているところであります。
平成23年度の予算編成
さて、国の財政状況や登米市を取り巻く様々な社会・経済情勢を踏まえ、編成した平成23年度予算の概要について申し上げます。
地方財政見通し
地域主権改革による国庫補助負担金の一括交付金化など、地方をとりまく環境が大きく変化する中、平成23年度の地方財政の見通しとしては、地方交付税の原資となる国税収入や地方税収入の伸びがなかなか期待できない状況にあり、社会保障関係経費の増嵩や、200兆円を超える地方債残高の償還のための公債費増加など、厳しい財政状況にあります。
このため、国においては、安定的な財政運営に必要な地方税や地方交付税などの一般財源総額の確保を基本に、地方交付税総額を増額することとしています。
平成23年度予算編成方針と財政規模
本市の財政状況は、合併特例債や臨時財政対策債などの借入額の増加により、公債費償還が引き続き高水準にあり、子ども手当や生活保護費などの扶助費が増加傾向にあること、更には、市立病院改革プランに基づいた相当額の繰出を一定期間行わなければならないことなど、厳しい状況にあります。
平成23年度の予算編成にあたっては、こうした状況を踏まえ、経常経費の削減により政策的経費の確保を図るため、一般行政経費は、枠配分方式の予算編成手法を継続し、削減に努めました。
政策経費については、昨年同様に新規政策事業の予算枠の確保を図り、市民の視点にたった事業や地域の課題解決を図る事業などを厳選するとともに、昨年10月に行った行政評価外部評価の視点に基づき全事業の検証を行い、真に必要な事業に重点的に配分することを基本として編成しました。
以上に基づき予算を調製した結果、平成23年度の予算規模は、一般会計が前年度予算対比5.2%増の415億3,495万円、国民健康保険特別会計など6特別会計予算の総額は、同0.6%減の223億9,588万円、病院事業など3公営企業会計予算の総額は同12.8%減の115億3,938万円となり、全会計を合わせた予算総額は、同0.3%増の754億7,021万円となりました。
市政運営の基本方針等について
さて、平成23年度の市政運営は、「働く基盤づくり」「安心して暮らせる地域づくり」「自立への取り組み」の3つの柱により進めてまいります。
まず、第1の柱「働く基盤づくり」であります。
「働くこと」は、暮らしの糧を得て、自己実現を図る「生きる基盤」であると考えます。
地域活力を生みだす源である農・林業、商工業の振興対策や新たな雇用創出と既存企業への支援を通じて、「働く基盤づくり」に取り組んでまいります。
次に、第2の柱「安心して暮らせる地域づくり」であります。
市民生活において個人や家庭だけでは確保できない「安全・安心」は地域において担い、地域で対応が困難な部分は市・県・国が担うという「補完性の原理」の中で、市が担うべき分野をしっかりとカバーしていくことが必要と考えております。
そのため、市民生活サポート体制の充実や快適な生活環境と社会資本の整備を市民の視点で進め、「安心して暮らせる地域づくり」を目指してまいります。
次に、第3の柱「自立への取り組み」についてであります。
地域主権改革の推進、地方交付税の段階的減額をはじめ、人口減少問題や税収の落ち込みなど、登米市を取り巻く現状はさらに厳しさを増しています。
基礎自治体には、「経済的依存からの自立」や「補完性の原理に基づいた地域の自立」への取り組みが必要であります。
市民・地域・行政それぞれが「自立」し、「自助」「共助」「公助」の円滑な連携を進め、これからの時代を乗り越える地域力を蓄えていかなければなりません。
また、3つの柱による市政運営にあたっては、「連携」を基盤に進めてまいりたいと考えております。
意志を伝え、情報を受け取り、双方の心を通わせ、連携していくところに「信頼」と「ゆるぎない絆」が生まれてまいります。
私はこの「3つの柱」と「連携」を基本に、人と人、組織と組織などの「つながり」を重視し、平成23年度市政運営を行ってまいります。
1 働く基盤づくり
2 安心して暮らせる地域づくり
3 自立への取り組み
結びに
さて、私たちが住む登米市には、大河・北上川と迫川が潤す「登米耕土」や「豊富な森林資源」、そして先人が長い年月をかけて築き上げた「歴史・伝統・文化」が息づいております。
豊かな自然環境や豊饒の大地に息づく市民の英知に、私は、高い可能性を確信しております。
本市を取り巻くさまざまな環境は日々変化しており、時代の大きなうねりと転換期の中にあります。
こうした変化に対応し、持続的な発展を遂げていくために、私たちは自立した地域社会をつくり、この素晴らしい登米市を未来へと引き継ぐ責務があります。
江戸時代中期に米沢藩主として活躍した上杉鷹山公は、作家・童門冬二氏がその著書の中でも紹介しているように、「自らできることは他に頼らず、互いに助け合ってできることはその中で行い、それでも困難なことは藩が支援する」という「自助」「互助」「扶助」のいわゆる「三助の精神」を基本に、藩の財政再建を成し遂げました。
「より身近なところで課題を解決し、どうしても解決が困難な課題は、より大きな枠組みの中でサポートする」という「三助の精神」は、「補完性の原理」に通じていくものであります。
時代の大きなうねりの中で、これからの自治体経営を行っていくためには、補完性の原理を基本に、個人・家庭・地域など、基礎自治体を構成する主体が「自立」し、地域相互や基礎自治体相互の連携により課題を解決する「水平補完」などによる自律的な取り組みが必要と考えております。
恵まれた資源を最大限に生かしながら、市民の皆様と力を合わせ、登米市が持続的に発展できるようしっかりとした基盤の構築に全力を挙げてまいります。
ご理解とご協力を申し上げ、施政方針といたします。
平成23年2月15日
登米市長 布施孝尚