所信表明(平成21年6月)
4年間の実績
本日開会されました平成21年第2回登米市議会定例会において、市民の皆様、議員の皆様に所信の一端を述べさせていただきますこと、誠に光栄に存じます。
この度、私は多くの市民の皆様のご支援・ご支持を賜り、再び登米市長に就任させていただきました。
「対話と交流を通し、新しい発想と若い力で市民の皆様とともに可能性溢れる登米市を創造していきたい。」
4年前の新生登米市誕生にあたり、私はこのような決意をもって市政運営に臨ませていただきました。
その気持ちは今も変わることなく、これからの4年間、この情熱と組織力のすべてをかけ、未来永劫、持続的な発展を遂げる登米市の強固な基盤づくりに邁進してまいる所存であります。
振り返ってみますと、まさにこの4年間は、誕生したばかりの登米市の一体感醸成のため、組織と人の進むべき方向性を確立し、安全・安心の体制づくり、産業の振興など、新しいまちづくりの事業推進に奔走した4年間でありました。
登米市誕生にあたり、可能性溢れる市民の皆様の力の結集は、市政運営の大きな原動力であります。
私は、まず市民の皆様とともに歩み、築いていくべき登米市の未来の姿を「登米市総合計画」にお示しし、9万市民の福祉向上を担っていく基礎自治体としてのあるべき姿を「登米市行財政改革大綱」に描きました。
また、教科書のない地方分権時代を生き抜く、しっかりした基盤をもった組織をつくるための研修を実施し、職場に新しい風をおこす職員の育成に努め、この職員集団とともに「安全・安心なまちづくり」「産業振興による元気なまちづくり」「環境に配慮したまちづくり」の3つをキーワードとして、事業推進を図ってまいったところであります。
1.安全・安心なまちづくり
1つ目のキーワードは、「安全・安心なまちづくり」であります。
安全・安心は、誰かがそのすべてを実現してくれる訳ではなく、自ら気づいて注意を払い、危険を回避しながら状況に応じて確保していくものであります。
市民一人ひとりには、それぞれライフステージがあり、様々な日常が訪れます。そのような中、どうしても個人だけでは確保できない「安全・安心」を補完していくのが行政の使命であると考えております。
最も尊い市民の生命を守る医療体制の整備については、「登米市立病院改革プラン」を策定し、質の高い医療を安定的に提供できる体制の構築を進めております。
「疾病から身を守り、心豊かに、健康で安らかな社会生活を送っていただく、そのための二次医療を、他の地域に依存するのではなく、しっかりと登米市で守っていかなければいけない。」私は、その思いをこのプランに込め、2病院5診療所体制への再編を進めているところであります。
一方、医師不足は、市民の皆様の不安を募らせます。
「医師をいかにしたら招聘できるのか」
そのため、宮城県ドクターバンクの活用はもとより、人的ネットワークによる医師の招聘対策を推進してまいりました。
さらに、医師の育成と招聘を併せて図る「医学生奨学金等貸付制度」を創設しましたところ、平成19年度には2名、20年度には3名の医学生に活用いただき、また本年度は6名から申請をいただくなど、本市独自の制度として広く認知され、利用いただいているところであります。
私は、地域医療を志す医学生が安心して学べる環境づくりの支援策としても、本制度を活用してまいりたいと考えております。
命を支える医療と表裏一体をなす救急救命体制を推進するため、広域4事業の一つであり、安全・安心の拠点施設「消防防災センター」を整備いたしました。
また、救急業務においても、高規格救急自動車の増車と救急救命士の育成を図り、平成22年度には救急7隊の運用体制が整備され、今後、ますます急増すると予想される救急需要に十分に対応できる体制が整うことになりました。
命を守る医療、救急救命体制の充実強化と併せ、保健・福祉・介護の連携は、健康でいきいきとした社会生活を守る重要な取り組みであります。
その中で、健康づくりの基本指針となります「元気とめ21計画」は、「一次予防」や「介護予防」のより一層の充実を図る道標であります。
また、大地と水と光が育んだ食べ物は、私たちの命はもちろん、未来の登米市を担う子どもたちの心と身体を培います。その重要性を謳った「登米市食育推進計画」は、病気というリスクを遠ざけ、重症化を防止し、健全な心と身体をつくるための取り組みであります。
一方、広域4事業の一つ、養護老人ホーム「きたかみ園」につきましては、社会福祉法人への助成により、4月1日から民設民営でスタートし、居宅での生活が困難な高齢者の方々が、安全・安心に、そして快適に暮らせる環境を整備することができました。
また、障害者福祉においては、障害者の方々が地域で自立し、安心して生活することが出来るよう、登米市独自の負担軽減策を実施し、新体系による福祉サービスの利用促進を図ってまいりました。
安全・安心のサイクルは、介護を組み入れ、はじめて成り立ちます。
介護保険制度の充実についても、市内の5箇所に地域包括支援センターを設置し、高齢者福祉計画並びに第3期・第4期介護保健事業計画を策定し、地域ケア体制、認知症ケア体制の確立に取り組んでまいりました。
さらに、幼少年期のライフステージにおける安心対策も重要であることから、登米市の未来を担う子どもたちを育てる環境づくりを強化するため、まず子育て支援室を設置し、ファミリーサポート事業、子育て用品支給事業など、様々な子育てのシーンに対応した環境整備に努めてまいりました。
一方、安全・安心の基盤づくりを進めていく上で、それを脅かす緊急事態も発生しました。アスベスト問題や耐震問題であります。
健康や生命の危険にも及んでいくことだけに、公共施設のアスベスト除去をはじめ、耐震補強が必要な校舎・体育館の改修を最優先課題として対応したところであります。
一般住宅においても、耐震診断助成事業や耐震改修助成事業、さらには通学路周辺の危険ブロック塀等の除却助成など、不安を取り除き、市民生活を安全・安心に送っていただけるよう、居住環境の整備にも取り組んでまいりました。
2.産業振興による元気なまちづくり
2つめのキーワードは、「産業振興による元気なまちづくり」であります。
私は、産業振興とは、そこに存在する資源に光を見い出し、知恵と情熱を注いで、まちに活力を漲らせていくことだと考えております。
「規模を拡大してみよう」「新しいことにチャレンジしてみよう」「付加価値を高めてみよう」。
そのような戦略的で前向きな発想は、自分の可能性へのチャレンジでもあります。
その挑戦する心を応援していくことが産業振興だと考えております。
農業は、大地の声なき声を聞き、水の動きを見つめ、風に逆らうことなく、一つひとつ自然と向き合う作業の積み重ねで成り立つ産業であります。
基幹産業である農業は「登米市食料・農業・農村基本計画」や「登米市農業生産1日1億円創出プラン」により振興を図ってまいりました。
農家の皆様の日々の積み重ねは、原油高騰による燃料、資材等の価格の上昇や経済不況における消費の減退など、市場価格の変動する中で、登米市の農業産出額を、平成20年度約314億円に押し上げ、登米ブランド認証制度や、ビジネスチャンス支援事業等の創設と相まって、持続的な生産体制の構築に向けた着実な基盤を築いております。
林業振興にあっては「登米市公共施設木造化・木質化指針」に基づき、学校などの公共施設の整備に地域産材を積極的に活用し、木の香りのする施設づくり、空間づくりを進めております。
商業は、商品を仲介して、生産者と消費者の心を結びつける夢のある経済活動であります。消費者が何を求めているのか、どのようにしたら消費者の笑顔を勝ち取れるか、消費者動向に向けた戦略的な展開が必要になってまいります。
その一つが、消費者と商店街の皆さんの心と心のふれあいの風景を、市内の随所で見られるようにとの願いで創設した制度、地域共通商品券「とめっこマネー」であります。
雇用の場の創出につきましては、地域に大きな活力を生み出す速効性のある施策であります。新産業対策室を設置し、既存企業の育成と企業誘致に努めたところ、規模を拡大した企業は4社、新規企業立地も4社を数え、新たな雇用の場を創出することができました。
また、平林工業団地、津山中央工業団地を完売したことから、引き続き戦略的に企業誘致を進めていくため、迫町北方地区に企業用地を確保したところであります。
地域活力を起こし、そして蓄積していくためには、まちに活力を生み出す農・商・工の連携が必要であり、その実現を図るため、新たな産学官連携事業の基礎づくりに向け、石巻専修大学との協力協定を締結し、その基盤づくりに努めております。
3.環境に配慮したまちづくり
3つ目のキーワードは、「環境に配慮したまちづくり」であります。
各施策を展開する上で、常に考えていかなければならないことは環境負荷低減への取り組みです。
その基本理念を定めた「登米市環境基本条例」を制定したことは、ラムサール条約登録湿地である伊豆沼をはじめ、登米市の豊かな自然環境を守っていくスタンスを示すものであります。
「地域環境保全の創造」「持続可能な社会の形成」「地球環境の保全」の3つを基本理念に据えたこの条例に基づき、登米市環境基本計画を策定し、市民参加の下で、希少動植物の生態系保全をはじめ、環境と産業とが共生するまちづくりが本格的にスタートいたしました。
環境基本条例に基づき制定された「登米市平筒沼いこいの森自然環境保全条例」は、次代に継承すべき貴重な自然環境を、適正に保全する具体的な行動を規定し、その対象地域を特定している点で、環境保全推進の先導的な役割を担っております。
日常生活に最も身近で、環境保全を脅かすものとして、水質の悪化が挙げられます。
公共用水域の水質保全については、「登米市下水道整備基本構想」を基軸に公共下水道、農業集落排水事業、浄化槽設置整備事業を実施し、全市をカバーした水質保全対策が着実に進んでおります。
一方、大気汚染防止やごみの減量化・資源化、地球温暖化の防止に向けた取り組みの一環として、市民の皆様のご協力をいただきながら、使用済み食用油から作られたバイオディーゼル燃料を、市民バス等の燃料として使用し、環境保全先進自治体としてのアピールを行っております。
また、長期的な展望に立ち、都市計画構想を描いた「登米市都市計画マスタープラン」においても、自然環境の保全に配慮したまちづくりを掲げたところであります。
3つのビジョン
これからの4年間どのようなビジョンをもって行政運営をしていくか、その方針について3つの視点から申し上げたいと思います。
1.変革・創出
まず第1点目は、「変革・創出」であります。
常に現状に甘んじることなく、リスクをおそれず、果敢に現状を変えていく知恵と勇気は、新たな可能性を引き出し、活力ある地域社会をつくる推進力であると言えます。
市の組織にあっては、部の枠を超えた中で、市民福祉の向上を実現したいという一念が、保健・福祉・医療・介護を有機的に連携させ、地域包括医療ケア体制を誕生させました。
また、産業経済部においては、これまで各課が取り組んできた事業を、部内で横断的・一体的に推進する「ビジネスチャンス支援事業」「食材・物産ステップアップ事業」を創設し、市民の立場から利用しやすい制度に改善したことは、新たな取り組みであると評価しているところであります。
なお、この新規事業創設にあたっての財源についても、他の事業内容を見直し、部内で自ら生み出しており、私はこのような手法について、他の部署においても積極的に取り組むことを期待しているところであります。
登米市には、自然や農林産物、文化や産地の技術、観光資源など多種多様な資源が存在します。
斬新な視点により資源を再発見し、これまで埋もれていたそれら資源の活用や組合せなどにより、新たな魅力ある付加価値づくりをシステムとして展開し、積極的に発信しながら登米市に新しい風を起こしていきたいと考えております。
このように、変革というキーワードには、市のポテンシャルを最大限に引き出し、新たなまちを創出していくエネルギーがあると認識しているところであります。
2.自立・自律
2点目は、自らの意思と力で立っていく「自立」と、自らを律する「自律」であります。
私たちのまちづくりの舞台、地域とはなんでありましょう。
「地域とは家族の集まりである。」と、ある郷土史家は話しています。
まちづくりは、生活の最小単位、世界でただひとつの家族が暮らす、この地域を舞台に展開されます。
地域の自治は誰が担ってくれるのでしょうか。
地域を治めるということは、自らの知恵と力を持ち寄り、心を一つに束ね、それをみんなで決めた目標に向かって、協力して進んでいくことではないでしょうか。
必要なのは、ふるさとを愛する心と、困難を乗り越える勇猛心、そして力を合わせて素晴らしいまちにしていこうという前向きな心ではないでしょうか。
誰かが切り開くのではなく、自分ができることをできる範囲で実行し、自ら進んで参加していく、その覚悟を地方分権が私たちに求めている、そんな気がしてなりません。
水面に落ちた一滴のしずくが、静かな水面に波紋を広げるように、自らの地域は自らの手で治めていくという情熱の結集は、人々の心に染み入り、波紋を広げ、やがて大きなうねりとなり、地域を、社会を包み込み、人の心を動かしていく原動力となることを念願しております。
行政の存在目的は、地域に暮らす家族の笑顔をつくり、住んでよかったと思えるまちを市民の皆様と共につくっていくことであります。
「市民の皆様の立場に立ってものごとを見て、行政になにができるかを考え、そして具体的な行動に結びつけていく。」その感性と思考と行動が、パートナーシップの絆をどんどん太くし、揺るぎない信頼関係を形成していくのではないしょうか。
分権時代を生きていく道標として、「相手の思いを感じる感性」と「市民の幸せを願う思考」と「幸せづくりのための具体的な行動」を私自身、大切にしたいと考えております。
3.安全・安心
そして、3点目は、市民生活を送る上での根本「安全・安心」であります。
市民の守備範囲を超え、全市的な視点から確保していくべき安全・安心を、市民の視点から実現してまいります。
そのためには、リスクをいち早く察知する危機管理を基盤とし、災害を未然に防ぐ「防災」や、犯罪の芽を発生させない「防犯」、そして「疾病予防」や「介護予防」など保健・医療・福祉・介護面での「セーフティーネット」を強化し、最も尊い命を守るサイクルを確立していくことが重要だと考えております。
安全・安心の基盤の上にこそ、地域を思い、人を思う心豊かな日常が訪れます。
住んでよかったと思えるまちづくりを市民の皆様とともに進めていくためには、心の安定が前提であります。日々起こる様々な出来事の中から、波及するリスクを捉え、行政がカバーすべきことを素早く対応していく、その積み重ねが安全・安心の信頼を高めていくことだと、私は考えております。
重点施策
1.安全・安心の体制づくり
次に、3つのビジョンを実現する具体的な施策を申し上げます。
第1の重点施策は、「安全・安心の体制づくり」の強化であります。
はじめに、医療体制の整備と安心のネットワークづくりであります。
登米医療圏においては、医師数が全国平均の半分にも満たず、民間の病院も少ないという地域特性から、これまで市立病院、診療所が果たしてきた役割は非常に大きいものがあります。
市民の安全・安心の確保のため、救急医療体制の確保、地域内外の医療機関との連携強化、在宅医療の充実を基本に取り組み、市民に親しまれ、信頼される医療を提供していかなければならないと考えております。
そのため、病院改革プランを基本に、さらなる経営の健全化を図りながら、地域医療を守っていく必要があり、市民生活の安心を支える上で、私は、市政の優先課題として取り組んでまいります。
また、昨年末に「登米市地域包括医療・ケア構想」をお示しいたしましたが、本構想は、これまでのような急性期から慢性期までのすべてを病院が行う完結型の医療ではなく、市内はもとより、他の医療圏の医療機関との連携も含めた医療のネットワーク化の推進を主眼としております。
具体的には、24時間365日、地域の中で安全に暮らすことができることを目指し、市立病院と民間医療機関の連携による地域医療体制の安定化に取り組んでまいります。
さらに、在宅療養を支える体制づくりに関わる人材育成や在宅療養支援診療所、訪問看護ステーションなどの拡充、そして自宅療養困難者のための老人保健施設の整備、地域における連携ネットワークづくり等にも鋭意取り組んでまいります。
子育て支援につきましては、子育て世代の方々の要望を充足できるような支援を行うとともに、障害者福祉においては、これまでの施設中心の福祉サービスの提供から、障害者が地域で自立した生活が営めるよう支援してまいります。
さらに、高齢者に対する介護保険事業については、介護予防の充実強化を柱に、住み慣れた地域で自立した日常生活が送れるように事業を推進してまいります。
次に、安全・安心の双璧をなす消防・防災について申し上げます。
まず、防災面においては宮城県沖地震などに備え、自主防災組織の結成率100パーセントや防火水槽の計画的な設置に向けた推進に取り組むほか、一般住宅への住宅用火災警報器のさらなる設置促進を図ってまいります。
消防団につきましては、地域の消防防災力の維持・向上に不可欠な役割を果たしていますが、団員数は定数を下回り横ばい傾向にあることを踏まえ、市民皆様の理解と協力を得ながら、災害対応に必要な団員数の確保に努め、地域の安全・安心を守る消防団の充実強化に努めてまいります。
また、高い確率で宮城県沖地震が発生すると言われておりますが、万一の災害に備え、防災関係機関、自主防災組織及び災害協定を締結している民間事業者等との更なる訓練や研修会等を実施し、災害への対応能力を高めていくとともに、ハード面からは、道路網・上水道・下水道の整備のほか橋梁の延命化など、様々な市民生活の場面における安全・安心の確保に意を注ぎ、社会資本の整備を進めてまいります。
2.産業の振興
次に、第2の重点施策は「産業の振興」であります。
産業は、活力と雇用と定住を生み出す原動力であり、まちに生命力を吹き込みます。
農業は、地の利、水の利を生かし、太陽の光の力を借りて、無から命の糧をつくり出す登米市の基幹産業であり、安全・安心な農畜産物を生産する全国有数の主産地として、豊富な地域資源を活かした資源循環型農業を推進し、環境負荷低減と生態系保全などの環境に配慮した環境保全米をはじめ、園芸作物では農業生産工程管理、畜産ではトレーサビリティシステムの充実を図り、安全・安心な農畜産物の消費・販路拡大に取り組んでまいります。
また、私の目指すべきは、農・商・工が連携した多様な販路の拡大開拓により、生産物を残さずに売る農業であります。
1次・2次・3次産業を連携させた「6次産業」の確立を図るため、関係団体や民間企業との連携強化により、生産から加工、流通、販売まで一体的な流れを持つ地産地消流通システムの整備を図り、市内・市外に向けた消費拡大に努めてまいります。
さらに、地産地消の推進については、学校や福祉施設、病院等へ安定的に登米市産農産物を供給できる環境整備に努めるとともに、市民が積極的に市内産食材を評価し、選択して消費していただけるよう啓発に努め、地元での販売体制の拡充を図ってまいります。
まちに活力を漲らせる最大の戦略は、雇用の場の創出であります。
既存企業がもつ技術・製品等の情報発信の支援や規模拡大による雇用の場の確保はもちろん、企業誘致による新規雇用創出のため、引き続き関係機関への職員の派遣や企業訪問など、あらゆる機会を捉えて雇用の場の創出に取り組むとともに、新たに確保した長沼工業団地の地理的、価格的優位性を広くPRしてまいります。
また、厳しい経済情勢の中で、既存企業の支援、新たな企業立地の推進を図るため、豊富な専門的知識、経験、情報を有する民間人を登用する期限付き採用職員制度の創設を図るとともに、中小企業者の経営安定対策としては、中小企業振興資金やセーフティネット保証制度が円滑に活用できるよう迅速に対応し、登米市を支える産業振興を展開していただける支援体制を充実してまいります。
また、商店街のにぎわいづくりのため、地域商店会のみなさんと連携した「登米市商店街にぎわい戦略事業」を支援していくとともに、三陸縦貫自動車道登米インターチェンジの開通効果を生かした新たな観光客の誘客を図るため、観光資源の整備を進めると同時に、観光事業者と連携した観光ルートの開発に努め、観光産業の振興と商店街活性化の起爆剤となる事業推進に取り組んでまいります。
林業振興につきましては、市土の41%を占める山林の多面的機能の持続的な効用を発現させるため、策定した森林整備計画に基づき、針葉樹林と広葉樹林の長期的混交林化を進めてまいります。
また、森林空間を活かした森林セラピー基地の林道網等の整備に努め、交流と物流が一体となった事業展開を図ってまいります。
3.市民との協働
重点施策の第3は「市民との協働」についてであります。
登米市におきましては、市民の皆様がいきいきと暮らし、生活の基盤となるそれぞれの地域が、自信に満ち溢れるような社会の実現を目指しながら、これからも持続的発展を成し遂げていくことが求められております。
こうした状況を踏まえ、これまで推し進めてまいりました「市民との協働によるまちづくり」の基本姿勢を堅持し、更に発展させていかなければならないと意を新たにしているところであります。
私は日頃から、市民の皆様は優れた能力を備えており、また、それぞれの地域には無限といっても過言でないほどの可能性が秘められていると考えております。
今後、市民と行政とがパートナーシップによる協働のまちづくりを進めていく上では、こうした市民の皆様の能力と地域に秘められた可能性を十分発揮していただけるような仕組みづくりや、施策の展開が極めて重要であると認識しております。
そのため、これまでの取り組みを基礎としながら、「協働の理念づくりから実践」の段階と位置づけ、「協働でひらくこれからのまちづくり」をスローガンに掲げ、より実践的な取り組みを進めてまいります。
また、私たち市民の誰もが、市政に参加しやすい環境の整備を推進するとともに、分権時代にふさわしい登米市の自治の確立を目指すため、まちづくりの基本理念や市政運営のルールなどを明確にする「(仮称)登米市まちづくり基本条例」や、男女が互いに認め合い共生するまちの実現を目指す「(仮称)登米市男女共同参画条例」の制定に向けた取り組みにも着手したいと考えております。
二つの条例制定にあたっては、市民の皆様の意見を土台につくり上げることが重要であるとの認識のもとに、「市民と共に創り育てる条例」と位置付け、広く市民の皆様から意見を求める手法などについて十分な配慮に努めてまいります。
さらに、地域の皆様が、相互の結びつきを深めながら地域の課題などについて話し合い、その解決に向けた行動計画や約束事をまとめるなど、地域の将来ビジョンとなる、「市民が創る地域のまちづくり計画」の策定支援に引き続き取り組んでまいります。
4.教育
重点施策の第4は、「教育」についてであります。
私は、教育とは、一人ひとりの個性を輝かせ、能力を引き出し、心豊かに生きていける知恵と力を、たくさんの人との係わりの中から学んでいく機会を与えてくれる場だと考えております。
自主的にものごとに取り組み、考え、壁を越え、多くの人によい影響を与える円満な人格を育む尊い時間であります。
マスメディアの報道等で、様々な事件を目にしますが、今こそ困難を乗り越える意志、他を思いやる心など、一人の人間として生きていく力「人間力」が問われているときなのではないでしょうか。
「教育の営みは市民一人ひとりの自立のための支援である」ということを基本理念に、幼児教育では人間関係の基礎を育み、学校教育では、学校現場との連携を図りながら、学校と家庭での相互学習をサイクル化させる「登米っ子学習」の推進や、習熟度別学習の導入による個に応じた授業を展開することによって、「学力の向上」を図ってまいります。
地域コミュニティの活動拠点である公民館は、利用される皆様が、その運用についてご検討いただき、地域に愛される施設として利活用していただくことが望ましいと考えております。
指定管理者制度導入については、その方向性を確立していくことによって、それぞれの地域コミュニティに根ざした拠点が整備されていくものと認識しております。
社会体育では、これまでの生涯スポーツをさらに発展させるため、総合型地域スポーツクラブの拡充を図り、平成23年度までにすべての地域において、その活動ができるように取り組んでまいります。
施設面においては、校舎等の耐力度調査などの結果を元に、計画的な施設整備に取り組み、安全・安心な教育環境等の確保を図ってまいります。
また、登米市放課後子どもプランに基づき、放課後児童の安全な居場所確保対策として、地域ボランティアのご協力をいただきながら、各町域に放課後子供教室の開設を進めてまいります。
さらに、次代を担う青少年の国際性を培うため、青少年の海外派遣と受け入れ事業を継続し、相互交流を推進するとともに、芸術文化の面においては、ボランティア組織との連携・強化を図り、市民文化祭の開催、石ノ森章太郎ふるさと記念館、サトル・サトウ・アート・ミュージアム、高倉勝子美術館等の効率的な運営と、質の高い芸術文化情報の発信に取り組んでまいります。
これからのまちづくり
所信表明全体を通し、「これからのまちづくり」に対する私の考え方を申し上げます。
面積536km2に、現在8万8千市民が生活しているこの登米市は、50年、100年後のまだ見ぬ市民から託された大切な預かりものであります。
森林、湖沼、水田、河川と多様性に富んだ登米市の自然は、多くの生命を育み、壮大な生態系を構成し、私たちに澄んだ空気、水、食糧を与えてくれます。
この恵みの一つひとつに感謝しながら、登米市の将来像「夢・大地みんなが愛する水の里」を創造し、次代に引き継いでいく責任を私たちは担っております。
今この時を、情熱をもって真剣に生きることそのものが、未来をつくる一歩であることを忘れてはいけない、と自分に言い聞かせております。
一人ひとりの情熱と知恵を縦糸に、サポートという力を横糸に、人間力と地域力を紡ぎだし、市民の皆様とともに未来を切り開いてまいりたいと考えております。
平成の大合併という時代のうねりを乗り越え、市民一人ひとりの幸福の実現と、それに立脚した登米市の持続的発展の舵取り役としての使命を果たしてまいります。
市民の皆様、議員の皆様の深いご理解と絶大なるお力添えを賜りますよう心よりお願い申し上げ、登米市長2期目にあたっての所信表明といたします。
平成21年6月10日
登米市長 布 施 孝 尚